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メダル

作者: NIN

 引っ越し準備をしていると、私は段ボールの中からメダルがのぞいているのに気づいた。それは光栄を象徴するもののはずなのに、メダルを見た途端、私の頭に過去の記憶が走馬灯のように流れ出した。小学3年生頃だろうか、ある人を自分の家に友達として招いた時、その人は私の机の引き出しを見るやいなや、自慢してんのと一言矢を飛ばした。当時、自分の引き出しにはメダルなどがずらりと並べられていた。友達は、メダルの並びが自慢、すなわち、自ら自分を素晴らしいと誇示をしているようで馬鹿馬鹿しいと言ったのだろう。そう私は解釈して、引き出しをすぐさま閉めた。それから14年たったが、私はこの出来事を動画のように覚えている。これは私の厄介な才能によるものだ。私は記憶が脳を刺すように頭に痛みを感じたから、メダルを捨てようとした。メダルを見て、嫌な記憶が読み起こされるくらいなら、きっかけになるものを捨てればいいと思った。メダルのケースをプラスチックゴミ箱に入れ、部屋の明かりで光るメダルを右の親指と人差し指でつまんだ。裏には、読書感想画コンクールと文字が刻まれていることに気づいた。メダルは小学3年生の時ではなく、高校生の時にいただいたメダルだった。自分が描いた絵がコンクールで選ばれ、それなりの成績を残したことをメダルは示した。だが、それより放課後夜7時まで一人美術室に残り、登校時に絵の構成をぽつぽつと独り言のこぼしそうになりながら考えた日々を思い出した。賞を取ったおかげで、美術部の入部に反発していた家族から2年かけて承認を得たことも思い出した。メダルは、頑張っていた日々を頭の中で咲かせた。

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