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夫婦にまつわるすれ違い、または溺愛を描く短編集  作者: キムラましゅろう


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32/43

番外編 未婚の男女にまつわるすれ違い、または溺愛を描く短編集  頭の中が大変だ




魔術学園に通うルフレ伯爵家の令嬢マリサの元に、今は離れて暮らす双子の妹のアリサからの手紙が届いたのは魔術学園の創立記念日の前の週の事だった。


一卵性の双子だが、アリサは魔力無しでマリサは魔力持ちとして生を受けた。


その持って生まれた魔力を活かし将来は魔術師を志すマリサは、親元を離れて遠くアデリオールにある魔術学園に通っている。


一方アリサは今は普通の貴族学園の一年生だ。


アリサには魔力は無いがそれを補って余る程の勤勉さと地頭の良さがある。


幼い頃から勉強や淑女教育を熱心に受け、教師陣のお墨付きを貰っていたアリサ。

学園でも常に上位の成績を収めているという。


その上スタイルもよくて美人だ。


その甲斐あってかアリサはとある国の高位貴族であり学園理事の一人に目をかけられ、その国の王甥の婚約者に選ばれた。


その王甥にあたるルーイ王子とは同学年の同級だそうだ。


在学中での婚約。

しかもお相手は王族。


何事も真面目で真摯に受け止め取り組むアリサは、選ばれたからには王家の一員になる者として恥ずかしくないように頑張ろうと努めた。


自分の為に、というよりは婚約者となったルーイ殿下の為に。


彼の隣で遜色なく彼を支えられる妻になりたい。


互いを尊重し心を預けられる、そんな絆を持つ夫婦となりたい。


そうなれるように努力しよう、アリサはそう思ったそうだ。


学園に通い妃教育も受ける。

アリサの生活は多忙を極めると共に充実した日々を過ごしていたらしい。


努力の甲斐あってか妃教育は順調にカリキュラムが進み、学園の成績も変わらず上位をキープ。


何もかもが順調であったのだが、一つだけアリサの心を悩ませる事が有るのだという。


それは婚約者であるルーイ殿下との関係だ。


ルーイ殿下は優しく、アリサに対していつも穏やかに接してくれる。


終始優しい笑みを浮かべ紳士的な態度を崩さない。


同じ年齢の男性に比べ、かなり落ち着いた印象があるのはやはり王族として教育を受けてきたからだろう。


だけどそれに違和感を感じる。

どうしても壁を作られているように感じるのだとアリサはいう。


本当はこの婚約に不満があるのではないか。


自由であるべきはずの学生時代に、しかも同じ学園に通う在校生の中から急に婚約者をあてがわれ、落胆しているのではないか。


彼には……本当は心に決めた愛する人がいるのではないか、とアリサは不安になる。


だってルーイはアリサの側にはあまり近付こうとしないのに、

とある女子生徒といつも一緒にいるのだそうだ。


ルーイの友人である高位貴族の令息達も常に行動を共にしているので二人っきりという事はないが、それでもいつも近くに居るいる事にモヤモヤしてしまうのだとか。


その女子生徒は男爵令嬢だそうで、男爵の庶子であったのだが見目の良さを認められて男爵が呼び寄せたらしい。


今まで市井で暮らしていた所為かざっくばらんで物怖じせず、フランクで天真爛漫なところが新鮮だと、男子生徒たちは思っているようで、常に彼女をちやほやしている。


ルーイ殿下もその一人なのだろうか……


アリサは心配で堪らないらしい。


もしルーイは本当はその男爵令嬢と恋仲だったとしたら……


自分の所為で二人の将来を引き裂いてしまったのだったとしら……


自分はどうしたらいいのかわからない。


もしかしたらルーイ殿下はアリサを正妃に、男爵令嬢を側妃か愛妾にと考えているのかもしれない。


もしそうだとしてもアリサにはどうする事も出来ない。


でもアリサは出来る事なら父と母のように互いだけを想い合う、そんな夫婦になりたいのだという。


それはマリサもそうなので、アリサの気持ちが痛いほどよくわかった。


普段は気丈で泣き言なんてあまり言わないアリサがマリサに泣きついた。


助けてほしいと、魔術師としてのマリサの力を借りたいと手紙には書いてあった。


“こちらに来れる?会いたいよ、マリサ……”


「もちろん!行くに決まってるでしょ!」


丁度創立記念で三日間の休暇がある。


マリサはトランクを取り出して、荷物を詰め始めた。




◇◇◇◇◇



「またあの令嬢と一緒だわ……」


友人の一人、アッペル子爵令嬢ジェシーが言った。


アリサはジェシーの視線の先にいる数人に目をやる。


四名の令息達と一緒にいる、マルタン男爵令嬢リティとアリサの婚約者であるルーイ王子がそこにいた。


近頃いつ見てもあのメンツである。


「殿下は何故あのような令嬢をお側に置いているのかしらっ」


ジェシーが忌々しそうに言う。

彼女とは入学以来の親友同士である。


「そうね……よほどお気に召されているのね」


アリサとは決められた時にしか会ってくれないというのに。


そんな事を考えているとジェシーが慌てたように耳打ちをしてきた。


「……アリサ様っ、殿下がこちらを見てるわ」


それを聞きアリサが王子の方に視線を戻すと、こちらを見ていた王子と目が合った。


瞬間、王子は慌てたように小さく身動ぎをした。

しかしすぐにいつも通りの落ち着いた笑みを浮かべて……そのまま行ってしまった。

リティや他の令息達が慌ててその後に付いて行く。


「………」


アリサはため息吐いた。


やはり自分は嫌われているのだろうか。

どうしてアリサには上っ面な顔しか見せてくれないのだろう。


何かを間違えてしまったのだろうか。


それともやはり……王子はこの婚約を受け入れ難いと思っているのだろうか。


もしそうだとするならば……


アリサはまた一つ、ため息を吐いた。




王子の態度はこうだが、週に二度ほど二人だけでランチをする事が決まっている。


学園内の個室で二人。

もちろん給仕係や護衛はいるが、王子の友人達は誰も居ない、アリサとルーイだけのランチタイムだ。


その時は二人で色々な事を話す。

主にアリサが喋って王子はそれを穏やかな笑みを浮かべて相槌をうちながら聞いている。


この時間だけはアリサは王子の婚約者なのだと実感出来るのだ。


王子の態度は相変わらず上辺だけの王子様仕様な感じだが……


「アリサ嬢、妃教育を頑張ってくれているんだね。教師達が皆褒めていたよ」


「そんな……私なんてまだまだです」


「……頑張り過ぎなくていいんだよ」


「……」


一見するとアリサを気遣っているように聞こえる。

でも普段の王子の様子から見ると、

「余計な事をして出しゃばるな」

と言っているように聞こえてしまうのだ。


もし王子がリティを側妃にと望んでいるなら、確かにアリサが出来過ぎると後々で困るのかもしれない。


アリサは王子の言葉に対して、小さく微笑みを返すだけにしておいた。



そうやって日々が過ぎてゆくほどアリサの胸は苦しくなる。

ただの政略的な婚約ならこうも苦しまなかったかもしれない。


だけどアリサは王子と出会った瞬間に恋に落ちてしまったのだ。

好きになってしまったからこんなにも胸が苦しくなる。


初めて王子に会った日。

傾国の美女もハンカチを歯噛みして悔しがるほど美しい容貌、優しくてスマートな接し方にアリサはポーっとしてしまった。


一目惚れとはこんな感じなのだと我が事ながらに感心してしまうほど、アリサは王子に夢中になったのだ。


――でも……彼の方はそうじゃないのね……


リティを見ていると王子の女性の好みはアリサとは正反対なのだと分かる。


リティはピンクブロンドのふんわりした髪に小柄で小動物のようだ。そして砂糖菓子のような可愛らしい顔立ちをしている。


対してアリサは身長は女性にしては高めでシルバーブロンドのストレートヘアと、全体的に冷たい印象がある。


性格もリティとは正反対のようであるし、きっと王子は内心アリサは可愛げがないとガッカリしているに違いない。


そう思うとどんどん気持ちが沈んで、自分がこのまま婚約者の座にいて良いものかと不安で堪らなくなる。


そんな気持ちを抱えているアリサに、

ある日リティが追い討ちをかけるような事を言ってきた。


放課後、妃教育の為の教本を寮に忘れ、それを取りに戻ろうとしている時の事だった。


珍しく王子と一緒に居ないリティがアリサに声をかけて来たのだ。


「ご機嫌よう、アリサ様♪」


「……ご機嫌よう、リティ様」


「アリサ様はこれからお妃サマのお勉強ですかぁ?大変ですね~でもぉ、ワタシのためにも頑張ってくださいね~♡」


「それはどういう意味かしら?」


「だってきっと卒業したらぁ、アリサ様がムズかしい公務(こーむ)とかをやる妃サマでぇ、ワタシがルーイ殿下のお子を産んだりルーイ殿下の陰のホントの奥さんになると思うんですよね~♡だからアリサ様はお勉強をしっかりしてぇ、ワタシの分の公務(こーむ)も引き受けちゃって欲しいんですぅ」


「……殿下がそうすると仰ったの?」


「?いいえ?でもぉ、ずーーーっと一緒に居たらわかるんですよねぇ~。絶っっ対ぃ殿下はそう考えてると思いますよ~♡」


「だからせいぜい頑張ってくださいね~」

と言いながら、リティは去って行った。


やはりそうなのだろうか……


仕方なくアリサを正妃に、そして最愛のリティを泣く泣く側妃に……と王子が考えているのではないかという事は、アリサもうっすらと頭に浮かんでいた。


もし、もしそうなら、そのような事はアリサにはとても耐えられない。


今すぐにでも婚約者辞退をしたい。

でもそんな事は許されるのだろうか。


健康面の懸念を理由にするか、

それともアリサ自身が何か大きな失態をするか……


もうどうしていいのか、アリサには分からなかった。


困り果て弱り果てて立ち尽くす。


その時、すぐ後ろから声が聞こえた。


「アーリサ!」


「!」


大切な自分の半身。

離れていてもいつも魂は一緒だと感じるかけがえのない存在。


来てくれた。

手紙を読んで直ぐに来てくれたんだっ……


「っマリサぁぁ……」


振り向く前から双子の姉のマリサだと分かったアリサが振り向きながらその名を呼んだ。

半泣きでくしゃくしゃな顔をしながら。


「わっ!アリサどうしたのっ?酷い顔してるよっ?」


「マリサぁ……私、もうどうしたらいいのか分からないっ……」


そう言ってアリサはマリサに泣きついた。

全く同じ身長のマリサにぎゅうぎゅうとしがみつく。


「アリサ……落ち着いて。わたしが来たからにはもう大丈夫だから。ね?」


マリサはそう言って、おいおい泣く双子の妹を懸命に宥めた。


結局その日は体調不良を理由に妃教育は休んだ。


寮の自室でマリサに話を聞いて貰う。


マリサは黙ってアリサの話を聞いてくれた。


全て話し終わり、アリサはマリサに尋ねた。


「ねぇマリサ……私は一体どうしたらいい……?もう自分では分からないの……」


「そうねぇ、でも手紙の内容と今聞いた話だけでは、王子本人がどう思っているのかは分からないのよね。全て憶測の域を出ていないわけだし」


「でも……普段の行動や状況などから、殿下のお考えは推し計れるわ。そしてその推測は当たっていると思うの……」


「ダメよアリサ。事が事なだけにちゃんと王子の本心を確かめてからでなきゃ!王位継承権第三位としても、一国の王子との婚約解消するというならばちゃんと下調べもしなくちゃ!」


「でもどうやって……?」


「まぁそこは、この未来の筆頭魔術師マリサ様に任せときなさいって♪10分だけ相手の頭の中を覗ける術式を魔術学園の許可を得て貸し出しして貰ったの。成績上位者にのみ許された特権よ。まぁでも10分しか許されてないし、さら~っと表面的な部分しか覗けないんだけど」


「そ、その術式で殿下の頭の中を覗き見するって事?」


「覗き聞き、って言う方が正しいかな?」


「そ、そんな事が許されるの?」


「綺麗事で言うなら良い方法とは言えないわね。でもアリサの人生が掛かっているのよっ!日和ってなんかいられないわっ!わたしに任せてっ!」


「マリサ……ありがとう……」


そう言ってアリサはまた、最愛の半身を抱きしめた。




次の日、さっそくアリサとマリサは昼休憩の時間にテラスでいつものメンバーと集まっている王子を見つけ、陰からこっそり覗き見た。


珍しくリティの姿がない。


いつも昼休憩なんてここぞとばかりに一緒に居たのに。


体調でも崩したのだろうか。


まぁ今はリティの事に気を取られている場合ではない。


隣ではマリサがさっそく術式を唱えている。


マリサの足元に魔法陣が現れマリサが淡い光に包まれる。


マリサの心のように優しく美しい光。

アリサはうっとりとその光景を見つめていた。


魔術師としてのレベルが上がると魔法陣も術式の詠唱も不要になると聞くがこんなに美しい光が見れなくなるのは勿体無いなとアリサは思った。


「よし、準備オッケィ。時間がない、さっそく王子の頭の中を拝聴するわよ」


マリサはそう言って、茂みに隠れながらテラスにいる王子の方を見た。


真剣な眼差しで王子を見つめる。

もの凄く集中しているのが分かる。


そして直ぐに、マリサが驚いたような声を出す。


「えっ……?」


「どうしたの?マリサ?」


マリサはアリサの方を見て首を傾げる。


「……凄い雑音が……」


「雑音?」


「いや、雑音なような喧しい思考が一気にこっちに流れて来て……ちょっと待ってね、集中してちゃんと聞き取ってみる」


頭の中を覗いているのになぜ雑音という表現を……?


喧しい思考って一体何っ……?


アリサは急に不安になる。


マリサはただ黙って王子の頭の中を()()()いた。


「………………………」


「マリサ……」


だ、大丈夫なのだろうか……


「………………ぷっ」


心配するアリサを予想に、マリサはいきなり吹き出した。


「マリサ?」


マリサはアリサに向き直る。

そして嬉しそうに笑みを浮かべで言った。


「これはもう直接アリサが聞いた方がいいわ。手を出して」


「え?でも私には魔力がないからマリサみたいには出来ないわ」


「大丈夫よ。魔力はなくてもアリサはわたしの半身。手を繋いでわたしを媒介にすれば出来るわ」


マリサはアリサの手を握った。


その途端、まさに雑音のような賑やかな声が聞こえてくる。

実際には声ではなく王子の思考が言葉となりこちらの頭に届いている訳なのだが。


早口で興奮したような声をしっかり聞き取る為にアリサは集中した。


『うおーーっ!アリサまで居るじゃないかっ!!アリサにそっくりな女子生徒が覗いて来たから最初「ん?」と思ったが、俺には直ぐにアリサではないと分かったぞっ!アリサは俺にとって唯一無二の存在で、この世に二人といない素晴らしい人だからなっ!という事はアリサと一緒に居るのは彼女の双子の姉のマリサ嬢か!ホントにそっくりだなっ!まぁ俺のアリサの方が数万倍は可愛いがなっ!(ドヤァ)入学式でアリサを初めて見た時は雷が落ちた感覚がしたなぁ!クールで知的な美しさに月の女神が降臨したのかと思ったわっ!!父上が言っておられた自分だけの天使を見つけた!と一瞬で思ったんだ!!しかもアリサは優秀で性格もイイっ!!一目惚れも二目惚れもしまくって、理事を務める叔父上に頼んで婚約者にして貰ったのだっ!!アリサが婚約者になったと知った時の喜びは今でも忘れられんっ!!世界中の花を買い漁ってアリサに贈りたいくらいだった!!でも俺の本心は喧しくて暑苦しくて鬱陶しいから絶対に表に出すなと王太后(おばあ)様に言われるんだ、だからようやく身につけたスキル、“オトナで落ち着いた完璧な王子様スタイル”でアリサに接せねば嫌われてしまうっ!!アリサに嫌われたら俺はもう生きてはいけんっ!!あぁ…好きだっ!!好きだアリサぁぁぁーーっ!!!」


「………………?」



アリサは目をまん丸にしてマリサを見た。


……何故だろう。頭の中に響いている声のはずなのに耳鳴りがする。


その間もルーイ王子の声は容赦なく届いた。



『昨日は体調不良で妃教育を休んだと聞いて心配したが、もう元気になったようで良かった!!国中の名医をアリサの元に派遣しようと言ったら侍従長に叱られたが、元気になってくれて本当に良かったっ!!しかし秘密裏にアリサの護衛の為に付けている暗部の者から報告があって驚いたが、あのクソ男爵令嬢の奴、何て寝惚けた事をほざきやがったんだ!!あのクソバカ令嬢を側妃にっ!?バカかっ!!天と地がひっくり返ってもそれは無いわっ!!それだけは絶っっ対に無いっ!!あの令嬢の父親である男爵が御禁制の品を密輸している証拠を掴む為に側に置いてあの令嬢の持ち物や衣類や言動を注視していただけの事だっ!!もう証拠も揃ったしアリサに余計な事を言って彼女に不快な思いをさせた罪も上乗せして親子共々牢にぶち込んでやったわっー!!後は父上の采配にお任せするとして、ようやくあの鬱陶しいクソバカボケ令嬢が視界に入らなくなって清々した!!やった!!万歳だっ!!それにしてもアリサがずっと俺の事を見てくれているぞっ!?なんだっ!?どうしだんだっ!?恥ずかしいが死ぬほど嬉しいじゃないかっ!!あぁ…今すぐアリサの元に駆け寄って抱きしめたいっ!!愛してると叫びたいっ!!でもアリサにドン引きされて嫌われるのが死ぬほど、いや死ぬ事より怖いっっ!!気を抜けば頭の中で考えている事がそのまま口から出てしまうのだっ!!そうならない為にはやはり適度な距離を取ってサラサラと気取った態度を取り続けるしかないのかっ!!くぅぅっ!!父上はよくこんな感情を我慢出来ていたなっ!!母上に対していつもクールに接せれていたなんて、それだけで尊敬出来るっ!!父上、貴方は凄いですよっーー!俺なんて、今すぐにでもここから叫びたいっ!アリサ、愛しt……』


そこでぷつんと騒音(笑)が途絶えた。


10分経って、魔術の効果が切れたのだろう。


マリサがニヤけ顔でアリサに言う。


「アリサ、顔が真っ赤だよ?」


「~~~~っ……」


アリサは自身でも分かるくらいに赤く、熱くなった顔を両手で覆い隠す。


「いやでも…なんて言うか……王子、頭の中がもの凄いスパークリングしてたね♪弾けまくっていたわね♪」


「……………………うん……」


「アリサ、良かったね。すんごい愛されてるじゃない」


「…………………うん……」


「頭の中があんなにスパークリングしている人でもイイんでしょ?好きなんでしょ?」


「うん」


「じゃあ怖がらず、恥ずかしがらずに行っておいで。アリサも素直になって王子と接しておいで」


「うん……マリサ、ありがとう」


「幸せになるんだよ、わたしの半身」


「マリサぁぁ……」


アリサはマリサを抱きしめた。

ぎゅうっと力を込めてから、「行ってくる」とそう言ってルーイ王子の元へと歩いて行った。


アリサが近付いて行くとルーイ王子は勢いよく立ち上がりアリサを出迎えた。


表面上は清廉な楚々とした王子様然とした様子だが、

きっと頭の中は忙しくスパークしてる事だろう。


アリサがくいっと手を引いて王子を何処かへ連れて行った。


慌てて付いて行こうとする護衛を王子は手で制していた。


そして王子も真っ赤になりながらも嬉しそうに真っ赤なアリサに大人しく付いて行く。


「ふふふ♪」


マリサはそれを見て思わず微笑んだ。


これから二人で思いの丈を打ち明け合うのだろう。


マリサの双子の半身は、どうやら幸せな花嫁になれそうだ。




そして学園の卒業後すぐに

ローラント王国王弟ヴィンセントの息子であるルーイ王子とルフレ伯爵令嬢アリサの結婚式が盛大に挙げられた。


その式の最中、魔術師試験に一発合格をし、晴れて一級魔術師となったマリサがお祝いとして大量のオタリア(桜に似た小さくて可憐な花)の花弁を式場内に舞い散らせた。


その美しい光景を共に眺めるアリサとルーイ王子の幸せそうな様子を、マリサは満足そうに見つめていた。





             おしまい




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ルーイ王子の脳内スパークリングは父親からの遺伝です。


ルーイ王子のお母さんとお父さんのお話は、

『なかった事にいたしましょう』という作品で読めます☆


よろしければお暇な時にお読み頂けましたら光栄にございます。



いつも誤字脱字報告、本っっ当にありがとうございます!!

多くて本っっ当に申し訳ないです!!

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― 新着の感想 ―
パパさんと違ってお澄ましが出来る状態からの婚約でしたか……カッコつけるより脳内スパークリングを頑張って語る必要がありましたね。ナイスアシストです、マリサ様。 ルーイ君は素敵な自分の天使に出逢えてよかっ…
[一言] 王子の脳内スパークリング発言が大部分を占めるところに吹いてしまいました。 うぷぷ。
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