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変化(それぞれの視点)

今回は小話を書いてみました。

それぞれの変化を楽しんで頂けると幸いです。

〈髪を切ります〉

◇義弟関係では◇

 硬直しながら小刻みに揺れる体。

「姉上?寒いのですか?」

 決して寒いわけではない。

「ルルルルル…ルディ…」

「はい?」

 背後に立つルディが鏡越しに首を傾げた。

「ききききき切るのは…髪…だよね…」

「?ええ、そうですが?」

「髪以外は…切らないよね?」

「?はい」

「本当に…髪…だよね…」

 このあと可愛いボブに仕上がるのだった。



◇恋人関係では◇

「今回は寒くないのですか?」

「うん。ルディが髪を切るのが上手って知ったからね」

 前回は首をちょん切られる恐怖で震えていました…とは言えない。

「お好みの髪形はありますか?」

「ルディにお任せで」


 数分後…


「終わりましたよ」

 手鏡を渡されて髪を確認すると、髪は綺麗に揃えられていた。流石はルディ!

 満足しながら鏡で確認していると背後に立つルディが突然、私の首筋にキスをしながら鏡越しに妖艶な眼差しで私を見つめた。

 く…食われる!!!!!

 ……ことはなく。

 しばらくの間、使用人達にバレないよう、首筋に残ったキスマークを髪で必死に隠したのだった。



◇結婚後では◇

「ルディに髪を切ってもらうのも随分慣れてきたね」

 三回目ともなればもう怖いものはない。

 鏡で切られた髪の確認をしていると、今回も首筋にキスをされながら鏡越しにルディに見つめられた。

「もう。ルディ、くすぐったいから」

「レアが可愛いから口付けせずにはいられません」

「なにそれ」

 クスクス笑っているとルディは私の顎を持ち上げてキスをしてきた。

「…レア…」

「なあに?」

 長いキスのあと、唇を少しだけ離したルディが物言いたげに私の名前を呼んだ。

「今日はもう、このまま寝ましょう」

「え!?」

 そう言うとお姫様抱っこをされて寝室へ直行。

「ルディ!ちょっと!まだ昼間だし!!ルディ!?ルディ!!」

 く…食われるうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!

 その後二人を見た者はいない…。



〈仲良しの度合い〉

◇クラヴリー公爵令息と暗殺者の関係◇

 初対面で刃を弾かれる。


◇ランドール伯爵と暗殺者の関係◇

 ナイフ一本を天井に投げつけられる。


◇ランドール侯爵と諜報員の関係◇

「ちょ!?どんだけナイフ隠し持ってんだよ!!」

 複数本のナイフに襲われ、壁に人型が残る。



<雇い主 (執事視点)>

◇レアがいない間のランドール伯爵と執事の関係◇

「こちらの書類にも署名をお願い致します」

 黙々と執務をこなす旦那様の前に新たな書類を追加した。

「…ああ…」

 旦那様は追加した書類に見向きもせず、ひたすら執務をこなしている。

「…失礼致します…」

「…」

 こちらを一度も見向きもしない旦那様に今日も胃が痛くなるのだった。



◇レアと恋人期間中の執事との関係◇

「レアの様子はどうだ?」

 書類を持って執務室に伺うと、旦那様は書類から目を離し真っ先に尋ねてきた。

「不自由がないよう使用人一同努めております」

「何かあればすぐに報告をしてくれ」

「かしこまりました」

 以前では考えられない進歩に涙を拭ったのだった。



◇レアと結婚後の執事との関係◇

 夜。深刻そうな顔で頭を抱える旦那様に呼び出された。

「…非常にまずいことになった…。あれが見つかったらレアに怒られる…」

 その理由は大きな絵画の後ろに隠された秘密にあった。

「私からの提案ですが、今度の夜会の間に壁を修繕するというのは如何でしょうか?」

 私の提案に旦那様の目が輝いた。

「出来るのか?」

「旦那様がお望みであれば、私、身命を賭して臨む所存でございます!」

「お前だけが頼りだ。任せたぞ」

「お任せ下さい!!」

 呼び出されてまで相談してもらえるくらいまでの関係になれた喜びに号泣したのだった。



〈主従関係 (近衛兵視点)〉

◇ルディウス15歳 王太子17歳◇

「ルディウスを呼んで来てくれ」

「かしこまりました」


「殿下は本当にルディウス様がお気に入りなんだな」

「まあ、従兄だし弟みたいで可愛いんじゃないのか?」

「確かにな」



◇ルディウス16歳 王太子18歳◇

「ルディウス。探したぞ。どこに行っていたんだ?」


「え!?殿下自らルディウス様を探されたのか!?」

「お気に入りというよりは友達みたいな関係なのか?」

「…まあ歳も近いからな…」



◇ルディウス17歳 王太子19歳◇

「ルディウス!もちろん私も付いて行くからな!」


「え!?殿下がランドール侯爵の御付き!?」

「この二人ってどういう関係!?」

「殿下がご婚約されないのはランドール侯爵がいるからなのか!?」


 などと近衛兵の間では二人の禁断の恋の噂が流れたのだった。



〈リス科の成長 (おまけ)〉

◇子リス時代◇

「おい、新人!茶がねえぞ!」

「はい!直ぐに用意します、ジェローム編集長!」


◇リス時代◇

「今からランドール侯爵家に取材に行くぞ」

「はい!フィルマン社長!」


◇プレーリードッグ時代◇

「なんか面白い事件ないですか?ランドール侯爵夫人なら事件をご自分から呼びそうですし」

「あんた、随分と馴れ馴れしくなったわね…」





読んで頂きありがとうございます。

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