ルービックキューブな彼女 6
ルービックキューブをクルクル回しながら、ぼんやりするのが好きだ。
もちろん視界に入るから、なんとなく揃えたり、無意識に考えたりしてもいるだろけど。
それをみていた同僚は車のMTと似たようなもんだ、と言ってた。
無意識にもう判断してしまう、いっしゅの癖みたいなもんだ。
そういう考え方もあるんだ。無意識に指や脳みそがオート化してるのか。
…AIに僕は負ける気しかしない。
そういえば将棋はコンピュータ相手にプロが対戦してるよな…。
あいにくと僕にはボードゲーム系の才能が皆無だ。最近見たテレビでカードゲームがすごい金額ついていたけど。
似たようなオタクの趣味なのに、僕のコレクションには、まったく価値がないものしかない。
ルービックキューブもバラして組み立てて、オリジナルの楽しみ方をする人たちもいるけど、僕にはそういう発想すら浮かばないから、すごいなあ、だけど。
すごいなあ、で終わる。自分でもまったくオリジナル性がないタイプだ。
いや、僕の場合、まわりがすごいからそう思うのかもしれないけど。
(…はやく立ち去ってくれないかなあ?)
それともこの子もルービックキューブが好きなのかな?
それなら少しくらい僕が話をしても犯罪者には見えないかな?
チラッとルービックキューブから目を離し、防犯カメラを確認する。きちんと手元がカメラに映るように意識しながら僕は口にした。
「きみもルービックキューブが好きなの?」
僕の言葉に、
「あっ、無視はしないんだ?お人よしだね?」
って呆れたように、相変わらず耳に残る声で言われたけど。
「あっ、無視してよかったんだ」
それならそうと言って欲しい。
って、思った。