表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

634/652

SS


ガチって玄関の鍵があく音がして、うとうとしていた私は目が覚めた。


でも春馬くんは、わざわざ謎に優秀なウシ様センサーを避けていたから、たぶん顔をあわせたくないのかなあ?


って思ってそのまま寝たふりをしていた。


コロナの時に習慣化したからか、春馬くんはそのまま脱衣所に向かったみたいだ。


ため息がきこえた気もする。相変わらず、ひとりで悩んじゃうのかな?


ね?


春馬くん。


真央はもういないよ?


代わりに私がいるんだよ?


って思いながら、そっとソファーからおきて、手櫛だけど乱れた髪を軽く整える。


容姿を気にする仕草はもう癖になってしまってるんだ。


たまに無意識に癖になってるって自分でもわかるけど、


ね?


春馬くん。


気づいてるかなあ?


仕草があざとくなるのは、しょうがないよ?だって、私はいつだって、


ー春馬くんが大好きなんだから。


大好きな人に対して、無意識にかわいいって褒められたことをしちゃうんだよ?


ただ、春馬くんの記憶は生意気で甘え下手だった頃の、中学生の私なんだよね?


結婚してから激甘な春馬くんだけど。基本的に放置型でもある。


釣りやデミオやウッドパズルに夢中になると、私なんか視界に入らない。


さすがに返事はするけど…。


相変わらずマイペースさで、春馬くんは誘うと付き合ってくれるけど、基本的にはお義母さんからきいたパーカーのフードをすっぽり頭にかぶって、ただ扇風機の規則正しい風圧や音に癒されていた子供の頃のままなのかなあ?


ってふと思うし、それがウッドパズルや釣りでその空間に私が居ても気にならないなら、扇風機になりたいし?


って思うけど。つい口にしたら、


…明日菜先輩。


って後輩たちが微妙な顔をしたけど。


ちなみにその時は、福岡に戻る時に、わりと強引に引き止めてきたけど。


たまに春馬くんと話してると発想が混じってしまうけど。


そういえば萌ちゃんもウシ様の製作者のあの男の子が、犬を洗ったら、新品の犬のにおいがする。


って言うらしい。シャンプーのにおいだし、何年も飼育してる飼い犬らしい。


ーなに?ペットショップで買った新品の犬のにおいがするって。


…春馬お兄ちゃんも言いそうだよね?変なんだよ?


って萌ちゃんはよく同じ美術部になったその子の話をしては、笑う。


あまりにするから、壱さんと春馬くんが嫉妬してるけど。


春馬くんが萌ちゃんの初恋なら、萌ちゃんの場合、無意識なのかな?


純子さんが演じてるのは、零さんなら、無意識に性格的に春馬くんに似た人を選ぶのかもしれない。


あの子にもそういう雰囲気はある。


あまいセリフはあまり期待できないよ?だけど、萌ちゃんは三姉妹の長女だし、甘え下手だし?


…私は末っ子なんだけど。


優しいお兄ちゃんやお姉ちゃんは、甘える相手というより、笑わせてくれる存在だったのかな?


ううん、心配かけたくない相手で…。


たまに萌ちゃんと重なるけど、萌ちゃんは私なんかよりずっと強い子だ。


曲がってそうで、まっすぐな水流みたいなあの男の子に、きちんと蛇口をひねりそう?


ふと脳裏に浮かぶ修学旅行でみた朝倉の三連水車に,ただ導いた先人の努力と知恵に、遠い世界でまた広がる世界に。


いつか翼が生えて、ひろがり、けど翼がなくなっても根付いて欲しい平和な世界なのかもしれない。


私の世界がただ変わった修学旅行。


鮮やかな記憶と、怒りと。


第一印象最悪だったのに、


ね?


春馬くん。


いまでも相変わらず春馬くんは梅ヶ枝餅が大好きだけど。


不満そうに頬張ってた姿が思い浮かんで、ついクスクス笑ってしまう。


ーやっぱり愛おしいんだ。あまい記憶に変わるんだ。


そして時計をまたみて、少し心配になった。春馬くんにしては長風呂だ。


お風呂の事故は多いし、なるべく春馬くんの帰りにあわせてお風呂に入って温めていたけど。


大丈夫かな?


つい心配になって、ソファーから立ち上がっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ