クリスマス
春馬くんが仕事でミスをしたとは、真央からきいた。
正直、私にはわからない世界だから、真央の言葉に、
ーそうなんだ。
と、しかわからなかった。
私は13歳からずっとある意味で限られた世界しかしらずに育ち、役柄である程度は勉強したりするけど、脚本や原作がある世界だし。
かわいい後輩たちの方がずっとダンスや歌のレッスンを真面目にしてる。
彼女たちの夢は日本だけじゃない。
自らそう願う後輩たちがただ眩しいし、それくらいには、私は世間知らずに育ってる、
と、いう自覚があるからかなあ。
仕事でミスをしても、春馬くんがネットニュースにならないだろうし?
チラッと私絡みで、なるとしたら嫌だな?ってなるくらい。
だけど、不思議なことに春馬くんの妻として、家族になって、福岡が居場所になってからは、少しだけ、東京の空気から抜け出せてる気もするんだ。
これか南九州の片田舎だったらまた違うだろうけど。
それともいちど、ほんとうに春馬くんを忘れてしまった過去があるからかなあ?
クリスマス用に自分なりに頑張ったご飯は、冷めてしまって、もう日付けも変わるけど。
ーね?
春馬くん。
ただ無事に帰ってきてね?
そう思うんだ。
たくさんの切ない怒りや哀しみに、ただ、のみこむしかなかった幼い自分から、ちょっとは成長できたかな?
ただ、あいたくて、ただ、
ーおかえりなさい。
そう言いたいんだ。
真央の話では、係長さんご夫婦がミスをカバーしてくれて、イケメン先輩や春馬くんは帰宅できるらしいけど。
ーどうしたんだろ?
って不思議になる。
春馬くんがそこまでミスするなんて、、、。
であった時から…。
ううん、であう前から、ただまっすぐで、優しい春馬くん。
まるで、春をつげるかぜみたいに、ただ優しいし、優しさを、いつもわけわからない、あいうえお作文で誤魔化して、束縛もしないようで、自己主張が激しいご当地マグカップや、へんてこなお菓子。
ただ私は苦笑いする。
ーね?
春馬くん。
ただ、つかれたあなたを、ただ、
ーおかえりなさい。
それだけを私は言える。
…睡魔に負けないなら。
かな?
ってあくびを噛み殺しながら、幸せを噛み締めていた。
いままでも春馬くんはきっとわたしの知らない世界で、ミスしたり、のりこえたり、頑張ってたよね?
けど、春馬くんが私の泣き事をきいてくれることは、あっても、
ーあの日のトイレまでは、隠していてくれた。
いつだって、ただ優しい春馬くん。
ーね?
どうして私を選んでくれたの?
ーね?
どうして、春馬くんじゃなきゃダメなんだろ?
ただ、こんなふうに、春馬くんが落ち込んでる時に側にいれる。
ほんとうに奇跡だね?
聖夜はすぎるけど。
そもそも私は、というか日本人はイベントだろうし。
でも、ふたりではじめてのクリスマスの夜に、
…睡魔がおそう。
だって、慣れないお料理頑張ったし?