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SS. 蓮


「蓮、こんどの新しい子たち、アレだから。あんた担当ね?」


って、僕の上司が言った。


僕は苦笑する。


「あれって…」


新しくできた福岡支社は実験モデルとしての意味もある。


僕は平社員だけど、一部だけが知っ出るけど、経営者一族の血を引く。


まあ、僕だけじゃないし、祖父は、家族経営主義じゃない。


あまり他の社員の生活までかかるのは、僕自身も遠慮したい。


ただ新しいプロジェクトは、僕の幼い頃に感じた悔しさや無力さを、少しはマシにしてくれる、かも、しれない。


自分から福岡支社を志願したし、少し変わった上司を僕は尊敬している。


自由と平等は、=には、決してならない。なったら、でたらめな世界になるだろう。


そう無気力な怒りを抱えたまま、淡々と暮らしていた僕を変えてくれたのが、目の前にいる係長だ。


自分たちは,国により、死刑対象になる。自分たちが生きられる世界は限られてていて、それでもいい。


ー他人に強要しない。


だけど、自分の生き方だ。


そう淡々と、けどブライドももって、キャリアをつんでいく、彼女や旦那さんの強さに惹かれた。


まあ、惹かれたと言っても、恋愛じゃないけど。初恋がでたらめな悪夢に変わってからは、僕は誰にも恋をしないときめていたし、どこからか、僕が経営者の血縁だという事をきいた変な女性から、アプローチもある。


わりと身を守る乙女化した時期もあった。


だから、上司がいうアレな後輩とやたら仲がいい美人の真央が入社した時に感じた感情は、不思議だった。


後輩は、直接の部下になるから、コロナ禍でなかなか気を遣いながらも、コミュニケーションをとっていたけど。


…あまり変わった発想をするし、俺の彼女は神城明日菜と妄言はくし?


たまにほんとうに、悔しそうなかなしそうな切ない顔をみせていて、そういう時は美人の同期がそっと寄り添ってた。


ふたりに流れる独特の空気は、


「付き合ってるわけじゃないのは、わかるけど、不思議な絆よね?」


って係長は言うけど、僕には付き合ってるようにしか、見えない。


いつしか、僕の目が真央を追い出してたから、そう感じただけだろうけど。


後輩よりも覚えがはやくて、愛嬌もふりまき、なんでもこなす彼女からだけど、女性社員からは浮いていた。


もちろんコロナ禍だから、新入社員の歓迎会なんかできるわけもなく、彼女と直接話す機会は僕にはあまりなかった。


どちらかというか、僕の血筋目当てで近づく女子に近い派手な見た目だし。


係長はああ言うけど、やたら後輩と中がいい。僕にもクラスメイトや親しい友達はいるけど、映画にふたりで行くことはない。


だけどなぜか僕の目は彼女をおって、逆に押し切られたけど。


見た目とは違う猫と犬の間のような彼女は、いまや僕のかけがえのない家族で、


…僕の後輩は独り言は多いけど、わりとマトモだった。


ほんとうに神城明日菜が彼女だと真央からしらされた時、僕の心にあったのは、


ー安堵感だ。


真央じゃなかった。神城明日菜という存在が、2人のあの独特の雰囲気を出していたらしい。


そして、ふと思う。


お似合いだ。


と。


ただし、僕と真央は、美女とゴリラだ。



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