SS 午前2時の座敷童
ふと私は夢をみた。
夜中にふと気づいて、びっくりした。
夫は出張で、不在だったはず。
私たちの家は義父が大切にしてしていた、古めのよくある家で、南九州では、台風の勢力がつよいまま、上流がよくある。
だから、屋根瓦の家だけど、結婚したときに和室はほとんどフローリングにかえていた。
だから、
ー座敷童にしては?
「このへやにペットはあるけど、お座敷ないわよ?座敷童さん?」
って、常夜灯の薄明かりの中、入り口にしゃがんで、うずくまる長男、竜生に声をかけた。
「どうかしたの?」
黙って首を振るけど、私はペットから起き上がり、
「おいで?」
と両手を広げてみせた。
ぎゅっとしてあげる。
はぐだっけ?
次男の春馬にいったら、
ーラッシーいるから、バグは可愛いけど、いらないよ?
ってスルーで、夫と義父が爆笑していたけど、基本的に春馬はまだ小さいから、ハグだよ?
とハグして、
ーなんの反応もなかった。
それも夫たちが爆笑していたけど。すぐにラッシーと泥まみれに遊びに行ったけど。
その時、私が使用していたシャンプーのにおいが苦手だったときづいたのは、だいぶあとからだけど。
最近、小学6年生になり、思春期に入った、というか、小学生1年生になったら思春期らしいけど、1年生から思春期鬱病というらしい。
田舎の主婦からしたら、びっくりだけど。私たち親以上に竜生が悩んでるのは、なんとなく気づいてた。
「どうしたの?」
絶対、言わない、って感じで肩がゆれるから、
「座敷童さんはお座敷なくてもいてくれるの?」
もう一度いったら、
「座敷童じゃないよ」
どうして?って吹き出した。
そのまま、
「もう春馬の兄貴いやだ」
しぼるように小さな言葉がでた。
「ほかの弟がよかった?」
「ーいや、春馬がいいけど、もっとなんか、なんたが、嫌だ」
って小さな背が泣いた。
私はそんな小さな、けど、いつのまにか私より立派な骨格をした竜生をハグしながら、
ーかける言葉がなかった。