SS 夢とリアルは?
「ねえ、ママ。ママは女優さんが夢だったの?」
ってダイニングテーブルにクロムブックを開いて、上の子がいう。
最近の子供達は、すっかりパソコンで宿題を提出するが定着してる。
私は毎回の光景が不思議だけど。下はまだタブレットだけど、上はすっかりパソコンを使って、学校とのやりとりしてる。
コロナ禍で、一気に加速したオンラインはさらに加速中らしい。
オンライン嫌いの私の大切な人は、海外行って、オンラインに感謝してるけど。
「いまパパは、気象予報士の資格取りたいって、頑張ってるよ?」
そうしたら、いまの赴任先で少しは役にたてるかなあ?
って言ってた。
私は試験問題見て、静かに閉じたけど、下の子はたまに、図鑑と見比べたりしてる。
真央の上の子もバラバラとめくってたかなあ。
「こういうのを自然とよめたひとがむかしの預言者やあくまか?」
ってぶつぶつ言ってたけど。春馬くんみたいな感覚過敏はうちの子たちには、幸いなかった。
「あんなもんない方がいい」
って春馬くんもほっとしてたかなあ。
うちのマンションから遠くに脊振山脈がみえる。むかし、気象界の手品師と呼ばれた人が観測していた山。
マンションは暖かいのに、あの脊振の山間部は積雪してる。
きっとあの山はとてもさむいよね?あの日の屋上みたいに。
「私は具体的な夢は、なかったかなあ?女優も修学旅行で、たまたまスカウトされただけだし?」
「たまたまスカウトで、いまも続いてるから、適職だったの?」
「ーたぶん?」
なんで私と春馬くんから、こんな冷静な子が生まれたんだろ?
「なに?夢が宿題なの?なら!はい!将来の夢はウシサマ超えます!」
下の子がよってきて、手を上げた。
「あんたAIを越える気?」
「違うよ?うしサマだよ?」
「まあ、最近まで、ウシ様になりたいって言ってたから、それよりは成長したのかなあ?まあ、大変だろうけど、がんばれ?」
上の子があきれて、下の子の頭をなでていたら、
「うん!だってママみたいに、夢はかなうよね?だって、ママの夢は、パパのお嫁さんでしょ?」
「あっ、たしかに」
って上も頷くから、私の顔が熱をもつ。
そして、ふたりして、顔を見合わせると、
「パパって、どこがいいんだろうね?」
ってキョトンとしていた。
そして長女が少し考えて、
「夢は、まだわからないけど、叶うと思う」
って、奇妙な宿題を提出して、褒められた。
らしい。




