イケカマ係長 放浪記
ハアイ?おひさー。
覚えてる?イケカマ係長よ?
相変わらずあのドアホなうちの部下たちの悪ふざけネームで、私は美女よ?
ダーリンは日本人で、ちょこまかコリスみたいでめちゃくちゃ可愛いのよ!
もう可愛いの!ちょこまかなくせに、仕事は課長なのよ?
うちは実力主義よ。そういえば最近、蓮が主任になったわね。
まあ、あの子はいずれグループを担う存在で、人格者でもあるし、あの子よりあの子の伴侶が引っ張ってくかしら?
私のいまは部下の悪ガキコンビね。
どうしても優菜と比べると幼いふたりになるけど。
というか同じ年齢に見えないけど。
広いけど狭いこんな田舎町の寂れたスナックで、真央の名前をきくなんてねー。
「真央ちゃん、そういえば外資に勤めたってうちの甥っ子が言ってたけど」
「うちの若手代表ね。というか、真央のストーカー?村上が黙ってなさそうだけど」
「そうそう。村上さんとこの坊やがガードしてたわよ。浮き名はたくさんあったみたいだけど」
ことんと、筑前煮が置かれた。
「なに飲むの?」
「梅酒をロックで」
梅酒って、梅干しってなかなかの文化よねー。
「日本長いの?」
「そうねえ、ぼちぼちかしら?ダーリンは日本人だし?」
いちおう左手には旅行だし、リングしてるわよ。田舎じゃ見ないハイブランドで決めたアタシよ?
ダーリンいたら、できない格好なのよねーん。
「甥っ子さんも難儀ね〜。あきらめなさい。真央はもう子持ちだし、蓮に勝てる男なんかなかなかいないわよ?」
まあ、違う意味で村上はくるでしょうし、アタシにはダーリンだけど。
ダーリンしかいないけど。
「こんな田舎じゃ新しい出逢いもねー。こんどの合コンに人集めのなんか,あればいいけど」
「合コン?ああよくある自治体主体の?」
「なかなか参加者あつめに苦労してるみたいね」
「田舎暮らしって大変そうだけど。あら、そういえば、うちの部下にひとり田舎暮らし向いてそうな子いるわね」
可愛いし、けど。すぐに私は左右に首を振る。この場所じゃあの子は悪目立ちしそうだし。
あの子たちは情勢がおさまれば、また海外に行きたいといろんな知識を学んでる。
銃も時には、力だけど、それより、違う力で対抗するために、哀しみの負の連鎖を、断ち切ることはできないけど、導火線を長く長く細長く繋ぎ合わせる間に消化や鎮火を?
ーえ?電波?
見えない力が圧倒的に押しつぶされそうになるけど。
…いまの優菜なら、きっと大丈夫だから。
そう思ってる。
けど、楽しそうなイベントよね。
アタシは梅酒のロックを一口のんだ。