SS センサー
「あっ、雨が降ってきた」
窓の外をみて私はつぶやいた。春馬くんが24時間営業のディスカウントショップに乾電池を買いに行ってる。
わりとストックがなかったら、ないことに気づくらしい。
いつも買ってるというか、最近、かえたような?らしい。
24時間営業、べんり。
って春馬くんはびっくりしてる。コロナ以降、24時間営業のお店はだいぶ減ってるけど。
やっぱりすごく助かるし、深夜は店員さんやお客さんの髪の毛がカラフルになるらしい。
私の仕事だとカラフルだけど、日常生活でたしかにあんまりあわないのかなあ。
お母さんがお母さんの若い頃は、夏休みとかに髪の毛の色が変わる子たちいたけど、夏休みの間だから、羨ましい性格だよね?って思ってた、らしい。
私の寮も学校もカラフルだから、私はもうそっちがふつうになってるけど、
ーそうなんだ?
って不思議に思う。たまに加納さんが苦笑する。
ーあなたを育てて守ってくれた先輩たちに感謝だね?
寮みたいな小さな共同生活だと、やっぱりいろんな意味で大変さも影響もあるけど、いい意味で染まらない子たちがいて、そういう子たちの場合、まわりの子達も、染めたくないらしい。
こっち側に来ちゃダメだよ?
そうカラフルな頭で優しく笑うんだ。
優しいけど、集団になるとまた違う作用が働くんだ?
って思ってた。
優しいけど、きいてる話は、
ー笑えない。
苦笑いすらできないから、若いからで許さないよ?そこは反省しなよ?って思いつつ、
ー誰かいたら、違う世界なんだろか?そもそも、けど、染まりやすいのかな?
大人はもう戻れないから、理解したくても、もうわからないまま見てる思春期。
たまに、違うとはっきり言ってくれる人がいるなら、ちがうのかな?
ただ、それはダメ!じゃなく、理由を説明してくれるのかな?
最近みかけたら、
ー髪の毛に悪いからやめた。
って話てた。春馬くんにいわせると、
ーどうせ白髪染める人たくさんいるよな?周囲の反応とかで、仕方なしに?軍曹からきいた。凛ちゃんのおばあちゃんに間違われるから、凛ちゃんのために、白髪染めたらしい。
ね?
春馬くん。
きっと純子さんは、そう話しただけだよ?キャラクター守って、お洒落な理由だよ?
って思いながら、視界の片隅にいた加納さんが、ひきつってた。
そういえば、同年代かあ。だけど。
そのあと、
ー明日菜もママになるわけだから、そりゃあ、そうだけど。
ってつぶやいてたなあ。私の東京のお母さんもみんなが楽しみに待っててくれる。
ーね?
って思いつつ、春馬くんに傘を渡しにいき、私は少し後悔したけど。
そのあと、念の為に?って春馬くんがぶつぶついいながら、ベランダ行って、
「ーげっ、ヤモリ」
そのつぶやきに私は悲鳴をあげたんだ。
ただ、駐車場は違うよね?
毎朝、春馬くんにベランダチェックしてもらったら、春馬くんがしばらくウシさまをベランダに置いてた。
うちのウシさま、もう守護神がわりになってきてるよなあ?
ってぼやいてるけど、
「相変わらずだね?春馬お兄ちゃん」
萌ちゃんがあきれて、空ちゃんは、一緒に探してた。
空ちゃんもいつか悲鳴あげるのかなあ?
って思いつつ、
「絶対、見ないよ?」
呼ばないで⁈
って春馬くんに言ったけど、もうなんか春馬くんの態度でわかるから、
春馬くん、センサーいらない、って思うんだ。
ね?
春馬くん。
たまには、センサーオフしたいくらいに、
ずっと一緒にいるんだね?
って笑ってたから、
「明日菜お姉ちゃん、退屈しないね?」
って、ずーっと年下の萌ちゃんから、あきれられたんだ。
春馬くんとであってから、ずっと、たしかに?
ね?
退屈はしてないかも?
ただ、
センサーオフしたい日は、あるよ?