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SS ウッドパズル 失敗



「明日菜、ちょっといい?」


って春馬くんがよんだ。ある日の平日。


最近は、少しずつウッドパズルへの過集中も収まってきたらしい春馬くんは、接着剤を素直に使用しはじめた。


私がネットでさがしたUVライトの接着剤は、


ーべんり。


って、素直に言ってるけど、スピードは落ちた。


たぶん、わくわく感スリル感が安心に変わったのかなあ?


適当になった?って首を傾げてるけど。


いまも首を傾げてる。


「なにそれ?楽器?」


「うん、だけど、音がなあ」


って、肩をすくめてる。最近はあの悔しそうな顔もしなくなってきた。


その分、スピードが落ちて、難易度は、適当になった。


純粋にパズルを楽しみだしたらしい。


ルービックキューブと同じく息抜き?に変わった、らしい。


私にはよくわからないけど、


ーできない自分もいる、に納得できた。


らしい、


接着剤べんり、っていいながらも、ほとんど使用しないし、相変わらずやり直すけど、春馬くんはリラックスした顔をしてる。


真央も言ってたなあ、むだに集中力はあるけど、過集中になると、しばらくコントロールができない。


大人になり、少しずつ経験から避けれるようになったけど、やっぱり治らない。


楽しみより苦痛がくる。いらない負けず嫌いになる。


ただ悔しくてしかたない、し、便利なものを拒否してしまう。


が、あるらしい。


「明日菜ってピアノひけたよな?」


「習い事レベルだけど、一応?でもそれピアノなの?」


「オルゴールと鉄琴みたいな?ただ失敗したんだよなあ」


って、左から2番目のキーをたたく。他の音は澄んでるけど、そこだけ、たしかに?


「予備の部品がなくてさ。たぶん、木の響きがいるんだろうなあ」


なんか弾ける?


って手渡しできた。


不思議なアルファベット表記だけど、音が1音ずつ確かに音階で違うし、私は音楽専門じゃないから、許容範囲かなあ?


「よく考えてるね?このパズル」


「パーツを土台から切り離す時に、木が乾いていたのかパリパリでさ、かるーい音して、バキッだって、いやびっくり」


って肩をすくめる春馬くんは、それでも、もう楽しそうにしてる。


「この音好きなの?」


「うん、きれいだよな?」


って春馬くんの少し茶色がかった瞳が穏やかに優しく笑う。


スッキリした笑顔で、笑うんだね?


私はリクエストとおりに、説明書にもあったし?ジングルベルをひいた。


澄んだ音色がたしかに、たまに、


ーかこん?


となる。


ね?


春馬くん。


ズレてるけど、


ー穏やかに優しい響きだね?


って思ったんだ。


ちなみに真央はきれいに完成したら、オート化したらしい。


それはそれで楽しそうだった、らしい。


まあ?真央は子育て忙しいしね?


春馬くんのパズルをみながら、


ーオートってべんり。


だね?


って思うんだ。


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