春馬 帰宅
家についたら、異世界人の車が駐車場に、なかった。南九州の片田舎は、
ー歩いていける近所に、店がない。
から、車は生活必需品になっていく。歩ける範囲にないし、バスもないしな?
博多って、歩く範囲になんでもあったな。
…東京はもっとあるんだろうな。
「わん!」
俺の足音に気づいたラッシーが、裏庭に続くフェンスから、小さく吠えた。
「ただいま、ラッシー。ちょっと待ってて?」
制服だとラッシーと遊べない。毛がつくから、ガムテープがいる。コロコロ?
あのコロコロってすごいよなあ。未来にコロナでホテル療養なると、掃除機は使えないから、コロコロが大活躍する。
めちゃくちゃ、べんり。
ローラにしたってすごいよなあ。ガムテープの裏表逆?すごい発想だよな。
ーガムテープの布板みたいにならないなは、なんでだろ?
あるのか?あるんだろうな。ウッドパズルそのままパクリ能力ある国あるし?
もはや、大爆笑だし?安いなら、なんかそっちでもいい気になるよなあ。
LEGOとLEGO互換みたいに?
…買ったらダメなのか?いや、ネット売ってるし?
ー?
には、なるよなあ。楽しそうだけどな。似たようなやつを比べてみるの。
どう考えても、さほど変化ない気もするけど。
ーもはや文化か?
…文化なんだろうなあ。
時刻に正確な地下鉄に、ビックリみたいな?地下ってすごいなあ。
そういえば、ラッシーもよく土掘るよな?夏になると涼んでる。冬もなんか掘ってるし?
土の中で冬眠するくらいだし?
相変わらずどうでもいいことが、頭をグルグルするけど、鍵を開けて玄関をあける。
そういえば昔は鍵なんかしなかったってじいちゃんは、鍵をよく忘れてたよなあ。
鍵といえば、昔のからくり金庫ってすごいな?からくりっ手品みたいだよなあ。
「ただいま」
いつものように言いながらあける。兄貴と異世界人が、かならず帰ってきたら、ただいまと言うように、毎回うるさく言う。
異世界人が言うには、
ーびっくりするから、らしい。
ちなみにじいちゃんは、
ーただいま帰りました。
って言葉を待ってた、らしい。
ー帰ってこなかった人たちがいる。待って待って、じいちゃんはくたびれたよ?
ー?
優しいしわしわの手が俺を撫でてだけど、じいちゃんが入院したとき、なんとなくわかった。
俺があの日、じいちゃんが煙になった日のネズミ花火。パンってラストに刹那の光と終焉の音。
は、
いま、猿を山に追い返す爆竹の音より小さいけと。爆竹で山に追い返せるなら、それでいい。
傷つかずに山に帰ってくれよ?
ラッシーは音に敏感なのに、あの日は俺のそばにいたよなあ。
無人の居間に、とりあえず後輩用以外のお土産をとりだし、
ーあっ、学業お守りどうしょうか?
俺の手から兄貴に渡した方がいいのか?って思うけど、異世界人から頼まれないなら、買ってないし?
そのまま土産物と一緒にテーブルにおいた。起きながら、
ーポテトチップ○買わなかったな?
って少しなんとなく後悔したけど、まあ、いまさらかあ。
自分の部屋に行く前に、洗濯物を洗濯機にいれ、
ーない。
洗濯カゴに入れる。異世界人が必ず俺の衣類は、チェックする。
ーもう変な虫やも物も拾わなくなったんだけどなあ。そういえば、修学旅行でひろわれたか?
彼女に。
俺の初カノか?神城って?
首を傾げつつ、二階の自室にはいる。はやくラッシーと散歩したい。
チラッと古びたミザールが俺の視界にうつる。ミザールで神城ってみえるのか?
みてるだろな、スターだし?
月のクレーターみたいには見えないかもだけど。きっと手作りの望遠鏡ですら、神城なら輝くんだろうな。
ー東京で。
俺はなんとなくミザールから目を離し、ジャージにきがえて、そのまま裏庭にいるラッシーにあいにいった。
もちろん、鍵をかけて。




