SS 恐竜
春馬くんは、最近、おうち時間が増えた。
コロナ禍でもあまり変わらず、釣りに行ってたりしたみたいだけど、春馬くんはゲームしないけど、真央とよくルービックキューブ対決していたから、パズルはすきなんだと思う。
料理もなぞにレインボー化しないなら、美味しいと思う。
ー私より。
私も結婚してから、寮をでたけど、加納さんは料理しないけど、寮母さんに東京で習ったりしてる。
真央は大雑把だから、あてにはできない。イケメン先輩が料理上手らしい。
ーほんとうに、イケメンだよな?先輩。さすが柴原、世界一のイケメン釣ったよなあ?
って、春馬くんが真央をほめてる。
ね?
春馬くん。
私の方がレアだけど、リュウグウノツカイにも負けない大物を釣ってるよ?
ーウシガエルで釣れた気もするけど。
あの真冬の屋上で先に春馬くんが私を見つけてくれたけど。
ね?
春馬くん。
焼いたミニトマトは美味しいよね?
レインボーアイスは、私も真央も食べない。
「今日はすこし調子いいから、ご飯は私がつくるね?」
って声をかけてみるけど、春馬くんはソファーに座って、ずーっと手元に夢中になってる。
イケカマ係長からもらったウッドパズルから、最近はすっかりウッドパズルに夢中になってる。
最近はなんかよくわからないけど、数匹、恐竜を作ってた。
作ったら、空ちゃんが遊んでくれるから、渡してるから家にはないけど。
夜中にたまにトイレに起きると、スイッチ切り忘れたら、ガォー、ギコギコって動いてびっくりするって、萌ちゃんが困ってた。
最近、萌ちゃんは高校生になってますます可愛くなり、たまにウシ様の動画をとってる。
美術部の部員にみせると張り切ってる。偶然、ウシ様のあの男の子と同じ学校になったらしい。
春馬くん自身が、昔の俺に似てる。
って言うくらい雰囲気がある子だから、萌ちゃんの視界に入っちゃったのかなあ?
あまり愛想のいい子じゃないから、そこだけ春馬くんとは違うかも?
春馬くんは、電話を無視する時も前はあったけど、いまは、話してる。
であった時からの変なあいうえお作文も、いまもたまにある。
でも一緒に暮らしてるうちにわかってもきた。基本的に春馬くんはあまり話さない。
独り言はたまに言うけど、あれは、完全に独り言だし?
ね?
春馬くん?
「なんで、また作り直してるの?」
さっきから何回も完成しては首を傾げて、また一から繰り返してる。
「なんか完成動画みたいにスムーズにいかないんだ」
「ほとんど同じに見えるけど?」
私も映像を見たけど、見た目も動きもなんとなくあってても、春馬くんは違うらしい。
ね?
春馬くん。
「編集って知ってる?」
「そりゃあ、俺だって考えるけど。説明書あるし?たぶん、材質とか使う道具とかあるだろうけどさあ」
腕組みしながら、口をへの字にしてる。滅多に見せない負けず嫌いの春馬くんだね?
私はクスクス笑う。
「そんなに悔しいの?」
「だって、答えあるんだぞ?説明書あるぞ?完成動画だってある。負ける理由がないだろ?」
って悔しそうにしてる。
「真央も春馬くんも、モノに負けるのいやがるよね?」
誰かに勝ちたいとかは、ないみたいだけど。わりと共通の負けず嫌いは、みてわかる。
春馬くんは100きんのパラフィンろうそくだらけになった手を振りながら、
「もうこんな時間かあ?明日菜、腹へったよな?」
「今日は私がつくるよ?」
「えっ?無理しなくていいぞ?」
「少しくらい動かないとね。今日は気分いいから、大丈夫だよ?もうそろそろ悪阻もマシになるのかなあ?」
「けど柴原はずーっと不安定だったぞ?」
「真央は真央だし。春馬くんは、私にはイケメン先輩より、イケメンだから、イケメン先輩にならなくていいよ?」
…ジャングルにかえられたら、困る。真央は麻酔銃持って追いかけていきそうだけど。
「ああ、大丈夫だよ?俺にはイケメン先輩むりだ。先輩は一瞬俺の先輩だ。なんせあの柴原がイケメン先輩の言うことなら、きいてる」
「ってことは、春馬くんもきいてるんだね?」
「ついでにイケメン先輩は、イケカマ係長の助言きくぞ?イケカマ係長がうちのリーダーだしなあ」
「春馬くんの会社って、うちの事務所より、個性的だよね?」
イケカマ係長ってすごい美人さんだから、ついモヤモヤしちゃうけど。
ー明日菜がヤキモチやきなの知ってるから、バーディガーディは、イケカマ係長からのプレゼントだよ?
って真央が笑うけど。
ね?
春馬くん。
私は少し空ちゃんにまで、嫉妬しちゃうんだ。
だって、春馬くん手作りの、
ーまともな既製品。
パズルって偉大だね?
せっかく作ったから、レインボーはしないらしい。
私はクスクス笑ってた。