SS 料理前
ー悪阻ってこんなにキツいんだ。
ひとにより、なんにもたべられず、入院したり、点滴したりするともきくけど。
ーお腹の赤ちゃんのために、がんばって。
そう言われても、
ーこんな想いまでして、赤ちゃん欲しい?
って思ったりもする。それくらい悪阻で最悪だったのに、
ー3人もいるのよ?
って、お母さんはコロコロ笑ってた。
春馬くんの側のお義母さんは、きをつかいすぎず、優しくお母さんと一緒のような、違うような?
ー私は竜生のときは悪阻がそうでもなくて、だから、春馬をすぐ妊娠したけど、春馬が悪阻がきついし、竜生がまだまだ大変で、2人でいいや?ってなったわ。
ってしみじみいう。
そして私をみては(スマホカメラ)、
ーまさか私の人生にこんな可愛い娘がでかるなんて。
しみじみとしていた。
ー春馬にイライラしたら、直接、ストレートに言ってあげてね?
そのアドバイスは、真央からももらったから、素直に頷いた。
真央のイケメン先輩は、真央ですら、気づけない気分の変化にいちはやく敏感に気づいてくれて、サポートしてくれたらしい。
真央も春馬くんもマイペースだけど、自分の気持ちには鈍感な事が多い。
周囲にあわせる、いきていくためにある程度、我慢は必要だけど、春馬くんや真央は幼い頃からの、すりこみで、我慢って感じてないみたい。
ね?
春馬くん、真央?
それは、キツいよ?側から見てても。
いつもギャァギャァも困るけど。
ーギャァギャァも小さなうちは可愛いんだけどね?
ってお義母さんは苦笑いしながら、でもこうも言った。
ーギャァギャァすら、言わなくなって、おとなしくなりすぎたら、張り合いなくなってたわ。
うちの地元にはお姉ちゃんがいるけど、春馬くんのとこは、お義兄さんは、東京。
春馬くんは、福岡だ。南九州の片田舎には夫婦ふたりしかいない。
いまさら新婚よ?晩婚人生かしら?
とは言え、お義父さんはまだまだ現役の公務員でがんばってる。
日夜、地元のために、
ー猿対策。
今年は猿が多いって福岡でもニュースになってる。
というか、猿は元から多かったけど、子供が襲われるは、あまりなかった。
田舎の子供達は野生猿の怖さを知ってるから。
ー春馬の料理が不味いときは、必ず言ってね?あの子のおじいちゃんがよく変なこと教えていたから。
って苦笑いしていた。
春馬くんはあまり私におじいさんの話をしないけど。
ー春馬くんの料理はまさに、ロシアンルーレット。
当たり外れがひどい。
いまの私の状態なら優しいと思うけど、悪阻で味覚?食べたいものがなんとなく変わったから、自分でもよくわからない。
ふと目に入ったウッドパズル。
「私も弾いてみていい?」
キッチンいる春馬くんの後ろ姿に声かけたら、
「ああ、かなり丈夫だから、無茶しても大丈夫だよ?調律も自由にしたらいい」
そう言って、調律の仕方を教えてくれて、私は春馬くんの設定より、少し低音にしてみた。
そして、なんとなく、ひいた。
ー故郷。




