SS 子供たち
「あっ、ママだ」
雑音がわりに、つけっぱなしにしていたテレビをみて、2歳下の幼馴染が口にした。
お母さんの中学生時代の親友とかで、家族ぐるみで仲がいい。
今日は母親同士がショッピングに行き、とくに書いたいものがなかった俺とこいつは残ってた。
俺の妹と、こいつの妹もお母さんたちについて行ったから、ひとりじゃ留守番があぶないから、と、こうやって留守番している。
ーもちろん、俺たちふたりだけでなく。
「おっ?若い頃の明日菜も可愛いなあ?」
「パパニヤニヤするのやめて、へんたいみたいだから?あっ?蛙の変態じゃないからね?」
「柴原か⁈」
「うちの母親を、旧姓で呼び捨てやめてもらえませんか?」
俺が春馬おじさんを睨んだら、
「ーまおーさま?」
「なんでだよ⁈」
「パパだからだよ?」
反射的にツッコミしたら、かぶるように、説明がくる。俺の2歳したの幼馴染は、
ー自分の父親のあしらい方がうまい。
テレビでは、俺たち親がまだ若い頃の恋愛ドラマの再放送があっていた。
ヒロインは、となりにいる幼馴染の母親で、春馬おじさんの奥さん。
ー神城明日菜。
中学時代の同級生と、10年越しの遠距離恋愛を実らせ、結婚して二児の母となっても、スター性は失われてなかった。
ーますますきれいに魅力的になってくよね。明日菜は幸せそうだよね?
が、いつもうちのゴリラのようなお父さんにかける、お母さんの言葉で、
ーうちのゴリラは、ゴリラ界のイケメンよね?
ってカラカラ笑う。父さんは毎回落ち込むけど、
「そういえば、柴原って、きれいになったよなあ、おちついてるし、キャリアウーマンだな」
相変わらず母を旧姓でよぶこの人には、通じない。
明日菜おばさんは、俺たちにも大人気だし、俺が気にしてる轟木凛ちゃんも、明日菜お姉ちゃんみたいになりたい!って言う。
演劇部に入って頑張ってるみたいだ。
海外国籍の俺は、迷ってインターナショナルスクールに通ってる。
おれの性格だと日本だとあわないだろうって、父親が悩んで決めていた。
「お父さん、お母さんが仕事とはいえ、浮気されていやじゃなかったの?」
「おばさんの仕事は、仕事だろ?浮気じゃないんじゃないか?」
「じゃあ、イケメンゴリラおじさんが、仕事だから、イチャイチャしてても平気?」
「ーきみわるいだけで、心配になるお財布だな?」
「じゃあ、真央おばさんがイチャイチャは?」
「…親父がんばれ?というか、妹には、こんな質問するなよ?」
あいつはまにうけそうだ。
「じゃあ、最後」
「まだあるのか?」
「凛お姉ちゃんが劇でお姫様したら?」
…王子役とイチャイチャ?
「ー絶対、見に行かない」
「って言うとおもった。はい、チケット」
紙切れが目の前にくる。
なにこれ?
「うちの学祭チケットだよ?ヒロインは私で相手役が凛お姉ちゃん」
「そういや、男子部員少ないって言ってたな?って一年生でヒロイン大丈夫か?」
ただでさえ、美少女で存在感あるコイツは目だってる。俺は少し不安に思って、幼馴染をみたら、
「絶対、きてね?」
父親ゆずりの優しい少し茶色がかった瞳が俺をみつめてきて、
あまりにじっと俺をみるから、少しだけ、
ードキッとしたけど。
「あっ、お父さんたちくると、パニックなるから、こないでね?」
って落ち込むセリフを春馬おじさんに言っていた。




