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SS デート ①


「明日菜、デートって俺たちだけで、したことあるっけ?」


ソファーに座って、秋の旅番組の特集雑誌をみながら、春馬くんがふと言った。


「魚釣り?」


「あれ、デートって言うのか?」


朝早くに海に行って、私は春馬くんが魚釣りしてるのをのんびり見ている。


私が釣りをすることはないけど、春馬くんが楽しそうにしてるし、糸島の海はとてもきれいで気持ちいい。


たまに漁師さん?かなあ?バケツの小魚を手掴みに空に放り投げて、トンビが器用に空中キャッチして食べてる。


釣りをしてると、相変わらず野良か、飼い猫か、わからない猫が魚をくわえていく。


ほそい漁港までの道の道端には、木のベンチがあり、のんびり高齢の女性が座ってる。


ほそい道をこえたら、春馬くんが釣りをしてる場所がある。漁港が管理してる駐車場に、お金を春馬くんははらう。


トイレもあるから、私が春馬くんと行く時はその場所が多いし、基本的に春馬くんは有料の駐車場がある場所をえらんでるみたいだ。


まだ結婚前に2年ぶりにあったとき、福岡空港から、春馬くんが最初につれて行ってくれた場所。


が、私達のデートって言われたらそうかなあ?


あとは、少し嫌な思いでと重なるダムと、おとなりの轟木さん家族と行った吉野ヶ里公園や加納さんや優菜とであった中之島公園の花見やホタルだけど。


…夏に海水浴とかは、行かなかった。春馬くんが、


ーいやだ!萌ちゃん、空ちゃん、凛ちゃんの水着姿をみせるなんて!


って猛反対して、


ーね?春馬お兄ちゃん。そこに明日菜お姉ちゃんは?


ー明日菜は、世界中に水着姿がもうでまわってるし?


って首を傾げていた。


そりゃあ、いまどきラッキーハプニングは、恋愛映画につきもので、私の写真は、ネットにもうたくさんあったけど。


ね?


春馬くん。


ー私は、どういう顔をしたら、いいのかな?


って思ってたら、


ーそれに、俺は、明日菜の水着に興味ないしなあ?


って、首を傾げてた。


ーだって、俺の海パンに、明日菜は、興味あるのか?


ってきかれて、つい、


ーないかな?


って私も言って、


ー縁側の老夫婦みたい。


って萌ちゃんがあきれた顔をまたしていた。


真央がニヤニヤ笑ってたのは、萌ちゃんの手前もあり、スルーした。


いまだにベッドの中の春馬くんには、ドキドキする。春馬くんだけにドキドキする。


いつまでも、


ー私の初恋にカットは、かからない。エンドロールも流れない。


そんなことを思ってたら、


「釣りはデートじゃなくて、明日菜が俺にあわせてくれてるだけだろ?明日菜が好きなのって、俺と柴原以外、なんだっけ?」


「なんで、また、真央⁈そりゃあ、大好きだけど」


それは、春馬くんも、だよね?


ね?


春馬くん?


「ーもしかして、たまには私とデートするように、真央に言われたの?」


「いや、イケメン先輩が初デートの話をしてたみたいでさ?」


「真央との?」


「いや、海外でグループデート的な?そしたら、柴原がめずらしく拗ねて仕事がまわらなくて、イケカマ係長がイケメン先輩に、柴原をデート連れていけって言ったんだ。子育て大変そうだし?」


「真央が拗ねたんだ」


「まあ、イケメン先輩、イケメンだしな?それで、俺も明日菜とデート的な?」


ね?


春馬くん。


「どうして、それで?に、なるの?」


「夫婦円満の秘訣?サプライズ?」


「口にしたら、サプライズにならないよ?」


…むしろ、ほんとにサプライズ通り越して、びっくり箱なりそうだから、やめてほしい。


「欲しいものとかないのか?東京と行き来してるから、あっちの方が手に入るだろうけど。福岡でしか、手に入らないものってなんだ?」


って、首をまた傾げるから、私はつい笑ってしまった。


ね?


春馬くん?


「ほんとにくれる?いま、の、福岡でしか、手に入らないよ?」


「クレジットカードは、持ってないぞ?」


若干ひきつってるけど。


私はソファーに座ってる春馬くんの隣に座る。ダイニングにある雑誌をてにして。


九州のローカル誌だけど、


「あのね?」


バラバラと雑誌を開きながら、


「ー?行きたい場所があるのか?」


春馬くんが不思議そうにのぞき込んできたから、


「ね?春馬くん?」


呼んだら、


「ん?」


少し茶色がかった瞳が笑う私をやさしくうつして、


「私が福岡で、いま、欲しいのは、ね?」


春馬くんの耳にそっと囁いて、


春馬くんは、びっくりした顔のあと、すごく嬉しそうに笑って、


ー優しいキスをしてくれた。


私が、いま、福岡でしか手に入らないもの。


ー春馬くん。


だよ?



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