表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

437/652

黄原


春馬が神城と一緒に帰るのをみて、俺は少し、


ーうらやましくなった。


ふつうに神城みたいな彼女が俺にもほしい。嘘でもいいから、ほしい。神城みたいな美少女が彼女だなんて一生自慢できる気がする。


ーだから、神城は春馬を選んだんだろうって、そうわかるけど。


なんか悔しい。羨ましい。


ー春馬はいいヤツだって、そうわかっていて、俺はべつに神城に憧れはあるけど、恋愛感情はないはず?


なのに、もやもやしてしまう。


「あーあ。ちっちぇーな?俺」


ここで、俺の好きなアニメや漫画の脇役ならさ?よかった?や、悔しさを露わにできるんだろうけど。


ーなんか完全なるモブ。


いや、名前はあるから、モブではない。


吾輩は猫である。は、また違うけど。


やばい。たぶん、これは春馬の呪いだ。絶対、春馬が思う系だ。


…いま、春馬が羨ましいと思ってたのに、春馬は嫌だなんて、我ながら勝手だよなあ。


自分にあきれながら、春馬と神城の後ろ姿をみる。


「後ろ姿だけなら、なんかしっくりくるな?」


「なんだろうな?もっと違和感あるかと思ったのに」


「カップルだって、なんかみえるよね?」


「姉弟には見えるか?」


「兄妹には、絶対、見えないね」


春馬?なんかかるく毒吐かれてるぞ?


ただ、みんなが言うことは、わかるけど。


奇妙なことに春馬と神城の後ろ姿だけなら、カップルとしては、違和感ない。


後ろ姿でも神城は、なんか目をひくやつだけど、春馬が神城の隣にいても違和感ないよな。


春馬は、そのことを自慢なんかしないだろうな。これから先、神城が芸能人になってどの道を歩んでいくのかは、わからないけど。


それは春馬自身は関係ないって、思うんだろうなあ。神城の評価だから、春馬はなんにも自慢とは思わないんだろうなあ?


神城の自慢にはなりたいと、思うのかもしれないけど。


俺は神城が彼女だと、俺の自慢になるって派だから。


ーだから、神城が選んだのは、春馬なんだろう、


きっと、春馬はありのままの神城を見てるんだろうなあ。


ーあいつに独占欲があるのか?ものに対してなら、まだわかるけど。


人が言うほど、孤独が好きなわけじゃないだろうけど。春馬はラッシーやじいちゃんといたしな。


ただいまの春馬はラッシーがいたら、それでいいようにも見える。


「ー村上と明日菜が心配?」


修学旅行で変わったっていや、こいつと春馬も変わったな。


ー春馬の視界にあっさり入ったな?こいつ。


「柴原はどう思うんだ?」


柴原真央。


神城明日菜とならぶ、我が校の美少女だけど、顔立ちが整ってるだけなら、柴原も負けてないけど、神城とは、なんか違う。


いま目の前にいる柴原はたしかに笑ってながら、それなのに、なんか違う。


「さあ?明日菜が神様のサイコロをとめたとだけ?私にはあんな大天才がなんでそんな事いったのか、わからないし?けど、明日菜が自分で止めたよ?」


「俺はその言葉すら、知らねーけど?」


「日本人にとって、神様って曖昧だしね」


柴原が肩をすくめる。少しつかれた様子にもみえた。


「おまえと春馬はないのか?」


「明日菜に石にされたくないから?」


「神話かよ?そもそもいなくなるだろ?神城は」


春馬の様子なら、神城はスカウトをうけいれて、東京に行くよな?


どう考えても、続かないだろ?


「どうして?世の中には、意外に初恋が実ったパターンもリアルにたくさんあるよ?」


「それはそうだろうけど、住む世界が違くなるぞ?」


「明日菜が先にある意味で社会人になるだけじゃない?」


「こんな田舎の中学生なんかますます相手にされないだろう?」


「どうして?いまは、SNSやネットで、いつでも明日菜の情報がきける時代になるよ?」


「春馬は探さないだろう?赤木や俺でもないし?」


「黄原はやるの?」


「最新情報命」


「台風とかならね。地震対策しながらさあ?きりないから、ある程度でやめちゃうよね?これ以上はたぶん家が持たないだろうって、割り切ってある程度でやめない?あれと同じで、サーチしたら、だいたいいちばん最初にくるページって、なんか最悪パターンから入るページもあるし?熱愛報道とかでて、村上がサーチするかな?」


「いい方には、いかないのか?」


「日本のサーチは、なんかそっちかなあ?記事を追いながら、結局、それに対して、ネットの声ではー。って載せて終わる記事がたくさんだからさ?記事書いてる人の意見は⁈って思わない?結局はなんかSNS読んでる気分になるんだ」


「まあ、それならもうSNSのトレンド調べた方がはやいかもな」


「めんどくさくない?」


「まあ、人それぞれだろ?つくづくおまえと春馬って似てんな?」


「じゃあ、黄原私とも仲良くする?」


「それは勘弁してくれ?」


春馬はひとりで手あまりだし?


口に出さなかったけど、柴原には通じたらしい。


「だいじょうぶだよ?黄原。きっと両思いだから」


「誤解されるから、やめろ?」


「ゴカイっていえばさあ?小学生がミミズ見て、どうしてママ、地上にウナギいるの?って言うんだって」


「春馬やおまえだろう?」


そもそもゴカイとミミズとウナギでかなり違くね?


餌と獲物じゃね?


「ミミズって知らないのかなあ?」


「知らねーよ?ってか、用事はなんだよ?」


「ん?黄原がなんか羨ましそうにしてたから?一緒に帰るかなあ?とか」


「やめてくれ?赤木に恨まれるのは、ごめんだ。新しい話題であいつらを守るつもりなら、他をあたれ?」


「あら?ばれた?」


「おまえと春馬が神城に何したか忘れたのか?」


「ただの時刻表遊び?」


肩をすくめて、周囲をみわたす。


「まあ、目的は十分かな?」


いつのまにか、俺たちにも視線が集まって、遠くに赤木が俺を睨んでた。


「ー勘弁してくれ?」


俺は一生モブでいい、って思った。


春馬、だいじょうぶか?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ