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SS ジグソーパズル


最近、私は福岡にいることが増えた。というか、あまりお仕事をしてない。


ー大事な時期だから無理しないようにね?


って加納さんが配慮してくれてる。私のお腹に宿った不思議な光に、私よりも周りの方が、


ー過保護?かも。


わがままなもので、あまり気を遣われないのも嫌だけど、そこまで心配されても?


ーまあ、そういうものだよ?明日菜の場合、どちらにも初孫でしょ?加納さんも、スタッフさんも中学生の明日菜から知ってるから、喜びあるだろうし?」


愛されてるね?って真央が笑う。そういえば、真央は真央の方はお姉さんたちに子供がいるから、真央の両親はおちついていたけど、イケメン先輩のご両親はー、というかあの社長さんはいろんな意味でパワフルらしい。


ちなみに私の妊娠にはー。


春馬くんが、真央からなんかきいて、ひきつったらしいけど。


内容はきいてない。


ー大丈夫だよ?イケメン先輩がいるから。


って真央が笑ってた。お母さんの先輩でもある真央は、相変わらず心強い。


一時期、マタニティブルーが心配だったけど、幸い私はあまり不安定にはならないですんでるけど。


というか、


ね?


ー春馬くん?


相変わらず、マイペースだね?


妊娠したことを伝えてたら、予想してたらしいけど(変なとこは相変わらず勘がいい)、喜んでくれた。


そして、


ーさらに過保護になった。


遠恋中のあの素っ気なさは、どこに行ったんだろ?


釣りにも行かずに、私のそばにいてくれてるけど、


ー暇らしい。


お隣の轟木姉妹も、


ー明日菜お姉ちゃんに風邪をうつしたりしたら、嫌だから。


って理由であまり遊びに来ないので、春馬くんは、さらに暇らしい。コロナの制限が緩和され、ちまたでは、たくさんのいろいろ病気が大流行して、


ーえっ?みんな一気にやめたの?


って春馬くんが目を丸くしてた。そして、


ー俺、年とったなあ。


ってなぜかしみじみ言ってた。


私は意味がわからなかったけど、真央は肩をすくめて、春馬くんにお土産をくれたらしい。


ー箱無しジグソーパズル。


完成品は明日菜にプレゼントだよ?


って笑ってたけど、箱無し。


ーなんだ?これ?


って不思議そうに黙々と春馬くんは作ってる。あまりに熱中していて、


ね?


真央?


ーあいつ、いるといるでうるさいでしょ?だから、いいでしょ?


って言ってたけど。


でも…。


ーパズルに夢中になってるから、私の問いかけにも上の空だよ?


ー出来上がりはきれいで優しい風景だから、きっと明日菜もお隣の三姉妹も喜ぶよ?


って真央は笑ってた。


私はあたたかいノンカフェインのお茶を、相変わらずのご当地マグカップで飲みながら、ダイニングテーブルに頬杖をついて、フローリングの床に座り込んでパズルに夢中になってる春馬くんを眺める。


少し茶色がかった瞳が、とても真剣にパズルの形をみてる。


ーそりゃあ、ヒントないもんね?


完成するの?って思ったら、


ーわりとジグソーパズルって絵を見ないで、みんなくんでるから、大丈夫だよ?一応、完成があるヤツだし?


って真央が言っても、半信半疑だったけど、スピードは遅いけど、春馬くんはひとつずつ端っこから丁寧に組み立ててる。


たまに、


「よくできてんなあ。ジグソーパズルって」


ってあきれた顔でつぶやいてるけど、


ね?


春馬くん。


ーほんとうに意外なところで、なぞの根気強さを発揮するね?


少しずつ、


ー絵。


になってきて、有名なイラストだから、わかった。


たしかにお隣の三姉妹は大喜びしそうで、


「ーなんだこれ?」


作ってる人は、まったく知らないらしい。


私はクスクス笑ってた。





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