黄原 ①
俺にとって、幼馴染の春馬は、
ーやさしいヤツ。
いまもむかしも、印象は同じだ。ただその優しさも純粋さも、めちゃくちゃ、わかりにくい。
たんにわかりにくい。というか、春馬は本人的にはどうして、その行動が悪いのかもわからず、大人からみたら、イタズラになってた。
けど、春馬はよくケガをしていた。でも俺が転んだら春馬は気にするけど、自分のケガには無頓着だった気もする。春馬のそういう遊びに、俺がつきあうことは、なかった。どちらかどういうと、ひとりで遊びたがる春馬に俺や春馬の兄貴が、かまってた。
いま思うと、春馬はひとりで遊びたいがあったんだろうけど、
ー仲間はずれはダメよ?
って教えられた俺たちは、ひとりでいる春馬も誘ってた。
たんに近所の子供達は、数が少ないから、遊び仲間が欲しかったもあるし、ひとりは、さびしいって習ってた。
春馬からしたら大迷惑だっただろうとは、思う。はじめから、春馬はひとりがよくて、それに勝手に巻き込まれて、いま、赤木みたいに恨まれる。
たんに、
ー春馬を神城がえらんだ、だけ、だよなあ?
ちなみに、俺も疑ってはいるが。春馬と神城になんかあるは、この自由行動でわかったけど、
ーつきあってる?春馬と神城が?
ありえねー?
いや、
ありえるか?春馬だし?竜生先輩よりは、あり、な気もする。そういえば俺は小学生までは、先輩を竜生くん,って呼んでたなあ。
いま言うと女子から睨まれるから、言わないけど。竜生先輩は笑って流してくれそうだし、逆に言えば、俺がはじめてそう呼んだとき、竜生先輩も春馬も戸惑ってた。
ただ,大人になるための一貫らしい。よくわからないけど。中学になったら、上下関係が一気にあがる。近所の友だちだったんだけどなあ。
1990年代にはもうあったらしいスクールカーストだから、俺らの親父たちには、もうあったんだなあ。
ただ起きる条件みたら、たしかに、リセットはされていくんだろう。小学、中学、高校、で。
ちなみに大学生や大人になってまでは、言わないよなあ。スクールじゃないし。ただ俺がいるオタク枠は下層らしい。
ーなぜに⁈
オタクのコミュニティわりとすごいぞ?身軽だぞ?ネット駆使できるぞ?ただ、まあ、
ーリアルよりは、アニメやゲームが素直に楽しいけど。けど他の奴らも似たようなものじゃね?
1層は、コミニュケーション能力というより、それを使用して発言力で他を従えるため。
で、良好なスクールカーストも多いが、良好なためスクールカーストとは、あまり言わない。
ーなんじゃそりゃ?
ただ1990年代なら、親父たちには、あったんだ。で、たぶんむかーしからあったんだ。
コミニュケーション能力というより、それを利用して発言力で他を従えるため。
リーダーシップとはまた違う能力は、納得したなあ。赤木だよなあ。竜生先輩じゃない。竜生先輩は暴力はスルーしてるし、構わないスタンスだ。
ただまあ、そういう言葉が生まれたから、
ー自分たちを、あてはめようって、するだろうな。
語源調べて、めちゃくちゃ納得した。
春馬のじぃちゃんがあきれていた。ただまあ、スクール外れたら自由は、いまも昔も変わらないって俺に話してたなあ?
ーいまの子は大変だな?竜生が心配だ。
あきれ半分に言われた。春馬、とは言わなかった。竜生先輩の名前をだしてきた。竜生先輩は俺の目にも非がない優等生で、俺の両親も、できた子だって言うけど、春馬のじぃちゃんは竜生先輩の心配をしていた。
俺には、オタク枠に入るらしい夢中になれる趣味があるけど、たんに年上の従兄弟の影響だし、従兄弟は野球選手やサッカー選手になりたいって夢と変わらないって言ってた。
ー働いて飯食ってたら、誰にも文句は言われないぞ?自由はもう目の前だ。
どうせ高齢者は減るから。って言ってたなあ。俺の地域でも空き家は増えたし。そういうもんだ。第一次ベビーブームと第二次ベビーブームでの人数もすでに違うから、
にくみたいだけ、憎んでいいし、どうせ減るから。
ってじぃちゃんが言って、春馬のお母さんに怒られていた。ただ、
ー義務教育が終われば、自己責任の自由だぞ?
高校からは、学校に行きたいも、行きたくないも、自由で、ただ、
ー親の金以外で、稼いで食っていく必要はある。
学生はキツいけど、社会よりは、楽だろう。だけど、社会はわりと自由だ。要は我慢して生きていく道も、嘆く道も、怒りにぶつかっても、すべてが自分の選択だ。
辞表だして逃げたらいい。たまに辞表も通らないが。行かなきゃ勝つ、が、転職先決めてから?をすすめる。日本は狭いようで、広い。わりと職さえ選ばなければ、ひとりなら正社員で、生活できる。
派遣より安い給料かもしれないけど。キャリアアップはあるしなあ。
大人になってまで、スクールカーストなんか騒がないだろうしな。言ってたら、卒業式はなんだ?だしなあ。学生解放されたら、嘘みたいに身体が軽くなるから、社会人って、わりと自由なんだ。
ー誰も守ってくれないは、あるけど。だって守っていく世代にも、なるんだ。
身近に守りたいは、子供やパートナーだったのが、自分に変わるは、あるんだろうけど。
ってじぃちゃんがあきれ顔をしていた。春馬は道をズレて行くかもしれないが、わりとそれでも春馬だけなら、生活していくだろう。
ーだから、竜生の方が心配だ。
あの子の正義は、自らのズレを許さない。歪んだ怒りの解放を竜生はどこで気づくのか。
その点、俺はしっかり好きな道に進むって、もう決めてる。いや、人気高い職だからつけるかは、わかんないけど。夢はある。どっちかっていうと専門学校かなあ。博多にあるアニメーション学校のゲームのコンピュータグラフィックに行きたい。
専門学校に行きたい。はやく南九州の片田舎をでたいけど、高校までは、まわりが行くから行くけど。コンピュータに力を入れてる高校を受験するつもりだ。
うちの両親は働いて自立しなさい、しか言わないから、楽ではある。俺の年齢でどれくらいが夢ってあるんだろ?
とりあえず普通科行って考えるがいちばん多い気もする。大学も専門の大学や短大はあるけど、まあ、行きたい高校からも進学はしてるから、俺も通いながら、そっちを考えられるラッキーな立場にはいる。
まず合格するように頑張るしかないけど。
春馬のじぃちゃんは、よく春馬の両親から怒られていたけど、俺にも面白いじぃちゃんだった。ただ、なんで春馬じゃなく、竜生先輩を気にしてたかは、知らないけど。
ー春馬のじぃちゃんが神城みたら、なんて言うんだろ?
饅頭食べるか?
ってとくに変わらない態度で、言いそうだな。春馬の和菓子好きは、じぃちゃんゆずりだしな。
ー神城と春馬が、つきあってる?
俺はあきれながら、
ーどこまで優しいんだよ?
そして、傷つくぞ?
神城もお前も。
ー俺、も。
爆笑してる柴原が,春馬の視界に入ったよな?じぃちゃんを見る春馬に似てる。
ー失恋、した気分だ。
俺は初恋まだだけど、なんか春馬に失恋した、気分だ。
喜べやしないぞ?だって、
ー春馬が爆笑してる柴原をじぃちゃんをみる目でみてる。
神城からも逃げなかった。
神城はわからないけど、
ー柴原は春馬にとってじぃちゃんだよなあ。
「なんで、俺、失恋してんだ?」
ちなみに恋では、ないは、わかるが、初恋もまだだけど、
たぶん,俺じゃ春馬の視界には、入らない。わけわかんねー感情に、
ーなんだかなあ、だった。




