二日目 明日菜 ⑦
お昼ごはんは、特に福岡感はないふつうの全国チェーンのハンバーガー屋さんになった。
ー豚骨ラーメンたべて、ハンバーガーたべるの?
って赤木くんたちにビックリしたけど、黄原くんや村上くんも、ハンバーガーやポテトのビックサイズを食べている。
女子も運動部の子たちは、よく食べてるのは、知ってる。
ふつうにお姉ちゃんもよく食べていた。私は、サラダとウーロン茶をたのむ。
「それだけでいいの?明日菜?」
「うん。乗り物酔いしそうだからいい」
電車や人混みに、というか視線になんか疲れた。カシャって音が、なんかずーっときこえるけど、これだけたくさんの人たちがいるから、仕方ないと思う。
ーどう考えても、自意識過剰だよ?
そう思う耳に、
「誰?あの子?」
って囁き声より、大きな声がきこえる。赤木くんたちが笑った。
「俺のこと?」
「おまえ声かけてこいよ?女子大学生、お姉様じゃん?」
「ばーか、神城だろ?どう考えても」
「明日菜、目立つよね?」
ってみんなが話してる。カメラに怒ってくれる人は、いない。
ただ、少し離れた席に座ってる村上くんと黄原くんは、渋い顔をしてるし、柴原さんもちょっと心配そうに私を見てる。
ーけど、止めてはくれないんだ。
少しイラッとした。
ーいつもは、助けてくれるのに。
不思議なホタルみたいな傘。あの奇妙な愛嬌がある犬がくれたクロックス。
あの真冬の屋上から、たくさんのアシストをしてくれたのに。
ーなんで助けてくれないの?
せっかく同じ自由行動してるのに、ちっとも、近くによってきてくれない。
まわりは、みんな私に興味を持つのに。
ーいらないアブラムシみたいに、よってくるのに。
どうして、私とは話をしてくれないの?柴原さんとは話すくせに。
その柴原さんが食べ終わり、
「村上たちが、お腹膨れてたら、博多駅に移動だね?きいてくる」
バスケ部らしいフットワークのかるさで、そばに行って、話し込んでる。
「なあ?赤木、柴原って、マジで村上狙ってねえか?」
「案外、変人通しでお似合いかもだよ?というか、野球部のマネージャーとも、村上仲よかったような?」
女の子のひとりが言う。赤木くんは、面白くなさそうに無言でふたりを睨んでる。
ーえっ?なにそれ?
私の胸がまた、ザワザワしだす。二人のテーブルから帰ってきた柴原さんが、私に少し首を傾げたけど、地下街から、福岡空港線に乗ることが決まった?
地図をあたまに入れてる柴原さんを先頭に、私たちはついていく。
柴原さんは、普通にあるいてるけど、私は時々、後ろを歩く村上くんが、柴原さんをみて顔をしかめることに、気づいた。
ーなに?
不思議に思ってたら、わずかな反射や音に、
ー怖がってる?
なんとなくそう感じて、私は柴原さんと手をつないだ 。
柴原さんはビックリして、私を見たけど、振り解いつたりは、しなかった。
だから、それでよかった。柴原さん、やっぱり、つかれてるのかなあ?
少し心配だ。




