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2日目 春馬 ⑨


ー笑った写真欲しい。


って、思っても、ムダじゃね?


だってその写真の中に、集合写真なら俺もいるよなあ?


俺のファインダーには、映らなくね?


分光器の中身に一緒にはいったら、ビックリハウスか、ミラーハウスか?


ちなみゴキブリホイホ○は、田舎じゃのいろんなやつがほいほいだ。


よくつけたな?


ーほいほい。


いろんなものが、


ーほいほい、かあ。


ただ、不思議では毎回ある。


平べったくなければ、わりと人気だよな?わりと夏に網戸に飛んでくるんだよなあ。


あの人気者たち。都会ではかなりの金額するらしいけど。


あんまりめずらしくないから、獲らないけど。痛いんだ、たんに。


アイツらの足や力って、めちゃくちゃあるんだよなあ。間近にいるとあんまり興味ないよなあ。


夏の風物詩だし、ツノもクワも。派手なの雄だしたなあ。


ー昆虫界でも、赤木がモテるのか?兄貴は、なんだ?


兄貴と神城なら、釣り合うのか?兄貴なら笑わせるのか?


神城って笑うのか?


ーサラダ食うやつ笑うの?


わりとなんでも食う俺だが、金魚の餌以来、野菜は微妙だ。


たんに色だ、だけど。ドレッシング、バンザイ?


ー美味いもの食ったら、笑うのかな?


ラッシーに変な味の飴やったくらいだから、ああいう変な味が好きなのか?


なら、変な味なら笑うのか?


「なあ、黄原?」


「…なんかイヤな予感するけど、なんだ?」


「金魚の餌にドレッシングとマヨネーズどっちがあうと思う?ちなみにドレッシングは、和風か?金魚なら、アジアか?」


「どれもダメだ。食うな。金魚がかわいそうだから、絶対にダメだ」


「私は塩かな?」


「柴原も食うなよ?」


「見た目だけなら、誤魔化せるよ?ごはんにふりかけてみたら」


「だから、食うな!教えるな!春馬にその手段を教えるなよ?」


「なんで?試すもありじゃない?原材料くらいみるよ?スマホあるし?」


「ーってか、なんでいきなり会話参加してるんだよ?柴原?」


黄原があきれて柴原に言う。いきなりで俺はビックリしていた。


「ふたりはラーメン組じゃないから、まだ食べるなら、はやくって言いにきたの。そろそろ博多駅に移動しようかな?って」


チラッと柴原が俺をみる。


ー博多か。


たしかにぽちぽちか。始発でくるなら余裕ないだろうしな?前の日組なら、これくらいかあ。


忙しいなら神城は捕まえれないよな?ずーっと同じ木にはいないし。


「俺は腹いっぱいだ」 


ボリュームたっぷりだから、胃もたれ気味だ。


いや、なんか、胃が痛い?


そういえば、俺、あんまり胃腸つよくないよなあ?


ーじぃちゃんが片栗粉で作ってくれた不思議なお菓子を思い出す。


そういえば、棒付きキャンディをひたすらフライパンで加熱しながら、こすりまわしたら、換気扇に吸い込まれて、あれも異世界人から怒られた。


たいした量じゃなかったけど、


ーあぶないから、やめなさい。


だったか?ああ、あの時、俺がその声にビックリして、指先でフライパン触って、じぃちゃんが慌てて水道の流水で、冷やした。


ほんの一瞬だったけど、小さな水ぶくれはできたな。


ビックリしたんだ、たんに。だって、じぃちゃんがいたし?


異世界人=怒られる。


は、もうあった気もするけど。薬塗りながら、お説教はうけたな。


ただ学習はたしかにした。痛かった。お風呂とは。違う熱さだった。


水が一瞬で水蒸気に変わる意味をやっと理解した。


ー遅くね?何歳だったかなあ?


つんと鼻につくワセリンのにおいを覚えてる。ちなみにフライパンで焦げてかたまった飴をじぃちゃんが必死に洗っていた。


洗いながら今度は、タワシやいろんな洗剤でやっぱりたくさんじぃちゃんが手品みたいにやってたけど、親父からも勿体無いと少しは真面目に考えてくれ?と言われてたなあ。


ーお前はほんとうに俺の子か?できが良すぎやしないか?


ー息子に面と向かっていうな?


親父が毎回あきれていた。その度にじぃちゃんはうれしそうだった。


ーばあちゃんの子だ。


そう笑ってた。俺の知らないばあちゃんに笑ってたんだろう。


親父は毎回、その言葉に黙ってた。


ラッシーとあの日に掘った穴。まわる花火がただ終焉を告げた日に。


あの空に吸い込まれるように、高くあがる白い煙に。


ーただ、願ってた。


じぃちゃんが、


ー逢いたい。


そう願う人たちに、俺の知らない歴史を、時を、ただじぃちゃんを残して、その脳に劣化しないフィルムみたいに、刻む記憶。


ーああ、残酷だ。


白黒でしか残らない写真が、鮮やか色彩をおびて、時を経て鮮血をまた流す。


流し続けて、枯れ果てた井戸に、また、色がつくなら、


ーせめて、鮮やかな空みたいに、ただまっすぐに光がさす方向を目指していく煙に、


あの日に目に焼きつけた空に、


ビックリして俺をみた神城の変な髪型のむこうにみえた、


ー空。


ー水。


ー空気。


すべてがはじまりの、


ーゼロ。


を刻むなら。


ー笑顔みたいな。


笑ってほしいな?


そうしたら、この胃のモヤモヤも、はれるのかな?


「わかった。移動しよう?柴原」


「ーみどりの胃薬あげようか?」


「チャラにしねーぞ?」


梅ヶ枝餅代って思った。


ーこいつは、いるよな?


ってなんとなく柴原に思ってた。







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