二日目 春馬 ⑥
ゴミ箱に、柴原がほとんど飲んで、空になってしまったペットボトルを捨てる。
まだ喉がかわいていたから、小さなペットボトルを買って、その場で飲み干した。
ラッシーと散歩にいくと、たまにラッシーのために水を公園なんかで、水道から水をだし、両手を合わせて、皿にして、水をくむ。
ラッシーは喜んで飲むし、同じことをまわりも、よくしてる。
手で水をのんでる。山歩きなんかのテレビなんか川の水を手ですくって、のんでる。
けど、俺は手の味がするから、いやで直接、蛇口からのんだら、じいちゃんから言われた。
ー春馬、この場所はね、他の人も使うから直接、蛇口はダメなんだよ?
そう教えられた。ふつうは水を少し出して、水をのむんだよ?こうだ。
そうじいちゃんが、いくつか教えてくれた。理由もきちんと教えてくれた。
「わからない時は、まわりの人に質問してごらん?」
じいちゃんが優しく俺の頭を撫でてくれるけど、
ーお前が変なだけだ、それはそういうものだ、いちいち興味をもつな、質問するな?いくつまでやるんだ?そんなことを。
いちばん、多いのは、
ーそういうもんだ。
だからきくな、めんどくさい。
質問もできない。ただ疑問で、不思議なだけなのに。
ーふつうに考えたらわかる?
ー考えるな?
どっち⁈
こたえてくれた大人は、一緒に考えてくれた大人は、
ー考えて、いい。だだ、ゆるしてくれた人は、
…じぃちゃん、みんな先にいくよ?
けど、ああ、だから、柴原は俺のコーラーを飲み干したのか。
納得した。いまから小さなヤツ買うか?けど、ミネラルウォーターは、残ってるしな?柴原。
あまい炭酸が欲しくなるくらいに、柴原が疲れてる。神城にもらった時のあの変な味の飴は、エネルギーチャージ系らしい。
いまもカバンとポケットに入ってる。
「春馬、また飲んでたのか?」
「喉かわいたから」
やってきた黄原にきかれたから、こたえた。黄原も飲み物を買いに来たらしい。
ーが、
「多くね?」
「クレープ屋のジュース高かったんだよ。ついでに頼まれたけど、あいつら、赤木たちには言わないんだぜ?」
自販機から、ペットボトルを買う黄原から、数本預かる。視線を戻すと、いつのまにか、赤木たちも戻ってきていた。
「赤木たちが食ったラーメンを、いろいろ言ってる」
美味しかったのかな?いろんなバリエーションあるってきいたしなあ。
麺の細さや茹で時間とか、いろんなバリエーションがあるらしい。
なんだ?ハリガネって。
ラーメン屋の前で声がきこえた。茹で方みたいだったけど。俺はラーメンより、うどん食いたいかなあ。なんとなく、うどんが腹持ちいい気もする。
そもそも福岡は、うどん屋の方がラーメン屋より多いらしいしなあ。
野菜や肉は、俺たちの南九州の片田舎も負けてないけど、昨日の刺身は素直にうまかった。
「お前、ラーメン好きなのに、興味ないのか?」
「だって、食べてないから、わからない」
目の前にだされたら食うけど。じぃちゃんが作った流しカキ氷、片栗粉ねへんてこな下痢止め。
ー味を思い出したいけど、少しずつ薄れだした。
俺は空をみあげる。天気は青空だ。飛行機が頻繁に、低くとんでいる。福岡空港は都心にほど近いから、飛行機が大きくみえた。
たぶん、遅延はあまりないだろう。
ポケットに、さっき数個だけ、飴玉をいれていた。
「ー黄原、腹減ったのか?」
「まあ、ラーメン羨ましくは、なるな」
ラーメンには、ならないけど。
「これやる」
俺はあの変な味の飴玉を、一個黄原にわたした。
「ああ、最近、お前いつも持ってるよな?そんなに気に入ったのか?」
気に入った、のかな?俺は首を傾げる。
「なんとなく視界にはいる?」
だから、気になる。黄原は俺のこたえに、わらうと、
「あと2個くれ」
飴玉3個とラーメン同じ量か?ってビックリした。




