表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

303/652

第5話 すいません、修正しました。

相変わらず、変なヤツだ。


俺は壇上の娘婿をみながら、頭痛がしそうになる。


さっき、いわゆるバージンロードを歩いて、明日菜をこいつに預けて、託して、大丈夫かと、本気で思った。


なぜなら、明日菜抜きで、控え室で両家で、はじめて顔合わせをしたとき(地元だから、ヤツのご両親には、会って挨拶をしてる)、ふざけたひとことを、言いやがった。


ーバージンロードって、結婚してもからも歩くのか?


無言で殴ったヤツの兄を、俺は内心で褒め称えた。


だってあれ、日本でしか通じないぞ?和製英語の代表だし?いま、意味あんの?


いまの花嫁って無垢なのか?明日菜はともかくー?


って、ぼやいて、また殴られていた。


まあ、たしかに、あれは男の浪漫か?無垢な花嫁。


けど、どうなんだろ?俺には、柴原も無垢だしなあ?


って、本気で首を傾げて、


ーはいはい!私もずーっと無垢だよ?


朝陽が悪ノリしていた。


こっちは、うちのやつが軽く小突いていた。


複雑さが一気にまして、納得した。


ふつうに、


ー花嫁のための通路。


ウェディングロード。


過去、現在、未来、に繋がる道。


そう言いやがる。


ー俺は、過去かよ?


苦い思いで俺は、その言葉を、


ーふつうなら、結婚式のスタッフさんとかに、きくんじゃないか?


なんで、こいつから、きくんだ?


しかも、


ー過去⁈


俺はいまからも、明日菜の父だぞ!


まあ、花嫁が扉の前に立つのは、母親のお腹にいる時をあらわす、ベールダウンで、ゼロになる。


そうヤツは言った。すべてをゼロに戻して、扉が開いて、明日菜の過去を、現在を、未来を、


ーつなげるロード。


それが、バージンロード。


ウェディングロード、


ー花嫁のための道。


そう説明してきた。


ー明日菜の過去を、過去として、受けとめる。それごと、俺が一緒に歩いていく。


そう、ヤツは言いきった。


ー俺は、過去かよ?


ちくしょう?


絶対に、初孫は、女の子がいい!


ーおまえも味わいやがれ?


なんで、かわいい娘を、こんな奴に、託すんだ?


ー俺は、過去かよ?


納得がいかない!


そもそも13歳で大都会にやった娘だぞ?


なんでこんなヤツに、いまさら過去扱いされなきゃ、いけないんだ!


ー俺は、過去かよ⁈


納得が、いかない!


…きっと、結婚式場のスタッフからきいたら、納得したかもしれないが。


ーなんで、こんなヤツからきかなきゃ、いけない⁈


ー俺は、過去かよ⁈


納得が、いかないが、


くそったれ!


アイツが、俺とともに歩んでくれる女房が、編んだレースのベール。


ーせっかく、きれいなんだから、表情が見えてもきっといいわよ?


そう笑って、丁寧に、けど、大雑把にぬいあげた。


ベールダウンしたくせに、明日菜の顔がよく見えちまう。


そりゃあ、正式な結婚式じゃない。


その証拠に、あいつは、ウェディングロードに、


ー太陽のタマゴ色。


を、持ってきやがった。


食えないぞ?あんな高級品?しかも、なんで、中身だよ?


赤色と青銀のシールはどうした⁈


いや、たしかに、おまえは、無宗教だろうけど、


悪魔祓いは、わかるが。


殺虫剤は、いやだ?


なんだよ?それは?


ー南九州の片田舎は、たしかに陽射しが違うけど。


殺虫剤代わりのウシ様は、いやだった?


タマゴもなんか思い出す?


ーウシガエル。


ふざけてんのか⁈


なんで、こんなヤツに大切な娘をやらないといけない⁉︎


まじめにきいた俺がバカだった。


しかも、


ー俺は、過去か⁈


朝陽が大爆笑しているが、頼むから、おまえは、まともな、旦那を連れてこい⁈


ーお父さん、私は和式にしてあげる。


それでも、披露宴で演出なかったか?


知らないが、てんこ盛りだろ?


一生にいちどなら、まあ、何回でも?いまなら、ありだろ?


ー親としては、こんな想いを何度もは嫌だが。


俺は、過去かよ?


そして、現在のお前にたくすのかよ?


ーおまえと、明日菜は、未来を歩むのかよ?


そうさ?


あの日だって、いつだって、扉の前に、ただいたさ?


ーオギャア、って泣き声に、泣いたのは、いつだった?


ああ、そうさ?


あの扉かよ?


ああ、そうさ?


あの時、ほんとうに、


ーゼロ、で、誕生したんだ。


妊娠から、誕生。


明日菜が生まれる前に、ゼロにもどった命がある。


ー俺には、わからなかった哀しみがある。


それを生み出したやつが、ベールダウンして、


ー俺に権利を譲ってくれたんだ。


ああ、そうさ?


そうだ。


ーあの日、カウンターは、


ー0。


を、刻んだ。


あの扉が明日菜を、0にもどして、俺は、


ー過去だけど、マイナスとマイナスはプラスになって、


くそっ!


ほんとうに、くそったれ!


ほんとうに、くそっ!


なんで、こんなやつに託すんだ?


なんで、こんなヤツにー。


ーウシさまの色を、もってこないだけ、えらくね?


奇妙な納得をひとりしているヤツに、


ーそもそもなんだよ?ウシガエル。


おまえの好物なのか?


呆れ果てすぎて、


ー俺は、食うなら、太陽のタマゴがいい。


それをくれるなら、


ーまあ、いいさ?


陽太と朝陽に、見守られ、輝く太陽の光に、たくさんの笑顔をみせてくれるなら、


ーいいさ?


ー過去には、ならないぞ?


いや、たしかに、過去だけど。  


ー俺たちしか知らない明日菜だぞ?


アイツのお腹に宿った命が、ただ、儚くて、俺は何にもできなくて、


ーもう一度、宝物をくれたから、おまえが大切に磨き続けるなら。


扉がひらいた、


ー0。


を、ふみこんで、


マイナスとマイナスを踏み締め、噛み締め、


ー現在のお前に、託すさ。


いつか、おまえも味わいやがれ!


くそったれな、未来を。


ーありがとう、よ?


俺もみてみたいさ?


はじめて、長生きしたいって、思った。


ー陽太がいつか結婚したら、絶対に、大切にしようと思って、


ーこいつと、朝陽の相手は、絶対に気に食わない。


ただの嫉妬だ。


仕方ないだろ?


ー俺は明日菜の親父だぞ?


くそったれ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ