表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

261/652

序章


「ちょっと、明日菜と川辺に、おりてきます。行こう?明日菜」


そう神城明日菜の旦那さんの村上くんがそう言って、彼女の手を引いて歩いて行った。


その背をみながら、神城明日菜のマネージャーさんが、軽くため息をつく。


「まったく、どうして、いつもギリギリなのかしら?あの子は」


「あの子?」


「明日菜の彼氏よ?あっ、いまは旦那さんか。まあ、細かいことは、いいんだけど。なんというか、もう、まったく、もー?」


「牛?」


私がつい言ってしまうと、マネージャーさんは、軽く顔をしかめた。


なんか様に、なるんだなあ。


キャリアウーマンがやると、わりと、なんかビビる。


うちの編集長みたい?


「村上くんみたいなこと、言わないでくれる?あの手のタイプは、あの子だけで、もうお腹いっぱいだから」


うんざりしてるけど、私は不思議に思った。


だって、


「でも、なんだか嬉しそうですね?」


「そりゃあ、なんだかんだで、私もあの子たちの10年を、みてきたのよ?すごくない?10年って、赤ちゃんが、小学4年生になる頃よ?10代になるのよ?」


「まだ小学4年生ですよ?あっ、でも、ちょっと前まで2分の1成人式とかありましたよね?」


「あったわね。意外と始まりは、ふるいのよね。高学年になる門出?だったかしら?なんで、まわりに感謝するイベントに、変わって行ったのかしら?まあ、コロナもあって、減ったイベントでしょうね」


高学年になる門出、かあ。


たしかに、低学年、中学年、高学年、だと小学生ながらに、自覚はあったきもする。


一年生は、わくわくドキドキ。


2年生は、新一年生がくるから、一学年の差の自覚。


3年生は、真ん中の学年。


4年生は勉強も難しくなる10代になる。


5年生は、6年生を見て学ぶ。


6年生は、新一年生の歓迎遠足から、最上級生の自覚が芽生えてくる。


そして、卒業して、また新一年生になる。


不思議な不思議な小学生だなあ。


私がそう思いながら、視線は、手を繋いであるく目立つカップルをみていた。


「こうやってみると、なかなかお似合いですね?村上くんと神城明日菜」


さっきの真剣な表情は、私でもドキドキしたし、チャンスがあれば、記事にしたいけど。


いや、時がくれば、記事にしていいかあ。


私はバックをあさり、高性能のデジカメをとりだす。


マネージャーさんがあきれた顔になる。


「さすが。雑誌の編集記者ね?」


「事務所公認でいいですよね?」


「それは腕しだいかしら?」


「まかせてください。最新式のカメラですから!」


私が胸をはると、


「…使いこなしてから、いうべきね?」


私は言うべきセリフがなかった。


だって、


デジカメの液晶画面は、ファインダーをみるより、デジタルであかるくて、


ーせつないくらい、やさしい光にみちていたから。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ