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第44話

私は春馬くんの運転する黄色い軽自動車に、乗っていた。


春馬くんの運転は、マイペースで安定してるから、つい、うとうとしそうになる。


「眠っていいよ?って、言いたいけど、加納さんに会うまで、もう少しだけ起きててくれよ?」


春馬くんが優しく私の髪を撫でてくれる。


ね?


春馬くん。


やさしい春馬くんの手が、こんなに、安心するからさ?


ーますます眠たくなっちゃうよ?


「まあ、もう隠れなくてもい…というか、あんたたちの場合、そもそも、隠す気はあったの?」


「隠しては、なかったけど。結果的に、あのデミオ騒ぎで、明日菜に辛い想いさせたんだよなあ」


春馬くんと真央の会話がぼんやりした頭に、ただのこる。


ーのこる。


デミオ騒ぎ。


あの日、ただ、限界をこえてしまった、いろんなことが、ただ、


ーうん、やすも?明日菜。


そう千夏さんが言ってくれて。


13歳から私をずっと見守ってきてくれた、


ー大人が、


休もう?


よくがんばったね?


ただ、休もう?


ほんとうに、


ーよくがんばったね?


ただ、


ーだいじょぶだよ?


ちゃんと、彼を守れたよ?


春馬くんとは、ちがう、


家族ともちがう。


けど、


違ってたから、


信頼できる大人がいたから、


ーあの日に、私は、やっと、


つかれた。


そう声に、だせたんだ。


ね?


春馬くん。


消せない記憶は、ずっと、残っていくのかな?


ね?


春馬くん。


あのふわふわの世界は、いつだって、夢の中みたいで、楽なんだ。


うとうとしていいると、いつだって


またー。


ぼんやりした頭にただ、春馬くんと真央の言葉が、記録、されていく。


「今日、加納さんが仕組んだ仕事は、例のやつ?」


「たぶん?俺のまわりは、みんな俺より仕事ができるから、よくわかんねーけど」


「村上は、勘がよさそうで、ズレてるからね」


「お前にだけは、言われたくないぞ?」


「お互いさま。だよ?」


「まあ、そうだけどさ」


「そういえば、村上と話すの久しぶりだね?」


「まあな。俺と柴原は、明日菜と用事ないなら、スマホのやりとりや会話ないよなあ」


ーえっ⁈


相変わらず仲がいいなあ、って、ふわふわしていた意識が、ふわふわしていたのに、


ービックリしてる。


綿菓子みたいな雲の上で、ビックリしてる。


そういえば、


ね?


春馬くん。


あの日の朝まずめに、夜明けに、春馬くんは、私をどうやって、この世界に無理やりに、強引に釣り上げたのかなあ?


それとも、ふわふわの世界から、私は引きずり落ろされたのかなあ?


ね?


春馬くん。


あのふわふわの世界は、どこにあったのかなあ?


有名な海に逃げたあの鯛焼きは、


ね?


春馬くん。


ー魚に食べられて、終わるんじゃないのか⁈だって、餌だろ?


ー鯛焼きで海老を釣るんだろ?


は、


ーふつうは、逆だよ?


そもそも鯛焼きじゃないし。そう言ったら、


なんで⁈相手が伊勢海老やセミエビなら、鯛よりたかいぞ?そもそも、エサの車海老も高いぞ?


ね?


春馬くん。


ーだから、あの日、あんなに大きなあの魚が釣れちゃったんだよ?


活き車海老を、シーバスロッドで遠投してる。


たまたま魚屋にいた活き車海老。


ー350円。


活きはよくて、


鯛焼きより高いぞ⁈


ね?


春馬くん。


ー目の前にある鯛焼き、冷めないうちに、食べようよ?


同じことを萌えちゃんから、言われていた。


パチパチキャンディのお礼の鯛焼き。


ね?


春馬くん。


ーパチパチキャンディで、鯛焼きがつれたよ?


どっちが、高いんだろ?


って、私は、思って。


ーあの魚は、


やっぱり食べたくない。


けど、


ね?


春馬くん。


あの日、たしかに、私を釣り上げたんだ。


ー春馬くん。


と、


あの魚が。


まぶしい朝まずめの太陽が、


ー夜明けが。


糸島のあおい海が。


あの金色みたいな、輝きが、


ー私の、記憶、として残ってる。


あの魚と。


ね?


春馬くん。


あのお魚は、


春馬くんがリリースしかけて、千夏さんが待ったをかけて、


ー私以外のみんなが、たべていた。


その様子をみながら、春馬くんが言っていた。


たまに思うんだ。釣ったら食べたいだろ?だから、ギリギリのサイズは迷って、


「リリース?いや?キープ?」


あの瞬間、つい声にだすんだ。


ー魚は、ドキドキだよなあ?どう思う?


って、真面目にきいてきて、


ーそもそもリリースは、どのフォームで遠投するのか?


って、なやみだしたら、真央と一緒になんか計算していた。


けっかは、


ーその時々による。


あの計算に、意味があったのかなあ?


そうしたら、春馬くんがあの鯛焼きの話をしだしたから、


ね?


春馬くん。


私は少しだけ笑ったんだよ?


同じこと、思い出してたんだね?


ただ、真央は、まったく驚かずに、返事してる。


「まあ、鯛焼きで魚は寄ってくるだろうけど、小魚じゃないの?パン粉と原材料は、なんか似てるし?」


「工程がだいぶ違うぞ?」


「その前に、さあ?」


「まあな」


ー?いま、なんか言ってた?


なんでいま真央の問いに春馬くんは、うなずいたの?


って思ってたら、二人がまた話し出した。


「毎日、鉄板の上で焼かれていたなら、かんぜんに!売れ残りだよなあ」


「嫌になるくらい売れない鯛焼き屋さん?じゃあ、硬かったんでしょ?お腹のあんこが重いなら、あんこも硬いし砂糖が多くて、甘すぎじゃない?」


「最後に美味しいらしいから、最初より、海水の塩分がたされて、柔らかくふやけて、美味くなってるよなあ」


「よくできてるよね?あの歌」


ー真央、素、がでてるなあ。


たまに真央は春馬くん相手だと、素顔をのぞかせる。


ね?


春馬くん。


私は、その姿がやっぱり好きなんだ。


ふたりか楽しそうにルービックキューブ対決していたことを思い出す。


真央は、私や他の人には、控えてるけど、同じ春馬くんだとたまに、抑えられないって、私に言ってくれたんだ。


ーごめんね。明日菜。村上と私ばかりルービックキューブして。


そう謝ってくれたけど、私は楽しそうなふたりが好きなんだ。


ー言ってる意味は、私には、さっぱりわからないけど。


私は、そもそも歌か物語にしかとってない。


そういう歌詞としか受け止めない。


そりゃあ、変な歌だけど。


そもそも鯛焼きに、なってるし?


春馬くんもあの魚の気持ちで、


ー釣り上げたら、逆バンジー?


でも海は、潮流あるし?


って、考えていたし?


それなら、私のあのふわふわな世界は、どっちなのかなあ?


ふわふわなら、無重力の宇宙?それとも、鯛焼きみたいに海の底?


ーだいじょぶだよ?かならず村上は、明日菜に、追いつくから。


いつかの真央の言葉が耳に甦る。


ー?


あれは、いつだったかな?


ただ、優しく笑ってたんだ。


ー?


いつだっただろう。


ね?


春馬くん。


春馬くんなら、覚えてるのかな?


「そういえば、村上は、加納さんのいる場所知ってるの?」


「えっ?福岡支社じゃないのか?」


「違うよ。たしかどっかで雑誌の記者さんと飲んでるよ?明日菜に、地図をメッセージしてたよ?」


「マジか。柴原、場所知ってんの?」


「知らないけど、明日菜のスマホに、地図があるよ?どうする?」


「どっち?」


「私は、そっち」


「だよな?」


「だよ?だから、きいてる」


「箱にさようなら?」


「緊急時ならかなあ。私には、わかんない」


「お前にわからないことが、俺にわかるわけないだろ?」


「村上は家族。私は親友。私が箱を2倍は違うよ?」


「だよなあ。仕方ない、明日菜?」


意味がわからないし、うとうとしていたから、返事が声にならない。


「寝てるか。うーん?明日菜のロックNo.は予想つくけど、まあ、いいや。柴原、俺ので加納さんにかけて?」


「ロックナンバー明日菜の誕生日のアナグラムだったよね?」


「明日菜は、いまは違うけどな。お前まで混ぜてる。俺のは、イケメン先輩まぜた」


「なんで、あんたは私たちを巻き込むのよ?まあ、わかったけど」


「さすが柴原、俺の国宝」


「世界遺産にしなかったとこが、あんたらしいわよね」


「国宝ならその気になれば、近くまで行けるけど、世界遺産は、世界だぞ?逢いに、行けねーじゃん」


ーそういう理由かあ。


しかも、ギョベクリ・テペみたいに、まだまだ地下に、あるやつもあるし、すぐに逢いに、行けねーじゃん。


なんか、遺産だし?


国宝なら、たしかに、生きている人もいるだろ?


たくさん、俺には、意味がある。


日本なら、まだ日付けは、同じなんだ。流れてる時間は、違うかもしれない。


だけど、日本だ。


日本語で、いけるんだ。


そう春馬くんが言ってる間に、千夏さんにスマホがつながった。


ーらしい。


私は、もう深く考えずにねちゃってた。


真央が国宝の意味がやっとわかって、やっぱり、春馬くんは、


ね?


春馬くん。


ー真央ばなれ、しようよ?


まあ、私も真央に、逢いに行けないは、嫌だから、


ー国宝、でよかった?


そして、箱にバイバイくらい素直に言おうよ?


ケースバイケースだよね?


たしかに私のスマホには、春馬くんや真央以外の情報がたくさんあるけど、


ー緊急事態なら、連絡先をみる必要があるし、


いろんなケースを考えて、ロックはしていて、まだ指紋認証などは、反応をみてる。


当たり前に私のスマホには、春馬くんや真央以外の情報が入ってる。


だから、ケースバイケースになる、


し、


ーかなりの情報を覗き見になっちゃうよ?


まあ、私にはわかんないけど。


春馬くんや真央は、箱をかけるって言ってた。


2段に積み上げた箱に腰掛けたら、


ーバランス崩して、


大けが?


なのかなあ?


ただ、箱にバイバイもできるなら、


やっぱり、


ケースバイケース、なんだろうなあ。


そして、


ーふたりともあの歌の意味は、多分ちがうよ?


って思ってた。








※ ギョべクリテペはなに文明かとの質問があったので、補足です。


モンキーハンティングの博士からです(私の頭内ではもう名探偵コナンの阿笠博士化してますが、アメリカの現役の物理科学者様です)


以下、文明に対する見解頂きました。


>シュメールは、世界初の文明と言われていますが、約7000年前に、文明と認めらる都市構成をしていたそうです。人類は、狩猟採集生活から、1万年ほど前に、


メソポタミアで、農業を基にする定住生活へと切り替えとされています(もちろん、シュメールは、メソポタミア内にありました)。農業と定住のお陰で、貧富の差が生まれ、村から町へ、そして都市化したと。


これが、世界で最初に起こったのが、メソポタミアのシュメールであるため、シュメールが史上初の文明と呼ばれています。


しかし、90年代に、ドイツ人考古学者が、トルコ東部で、1万年以上も前に建てられた石の建造物からなる大型遺跡を発見しました。ギョベクリテペと呼ばれ、今では世界遺産です。


周りには、大規模な定住地(村や町)があった証拠はなく、又、農業をやっていた証拠もありません(遺跡近くで発掘された骨や穀物等を遺伝子検査すると、野生の動物や植物であったため)。


この遺跡の発見は、上記のように、農業と定着した生活の後に、大規模な集団生活を行い始めた(その結果、文明が生まれた)という、考古学の定説を覆えす大発見となりました。


狩猟採集民族が、このような大規模な遺跡を作れたということは、定住なしでも、文明は発展できた可能性はあるといえると思います。ただし、現在の「文明」定義では、農耕と定住が必修条件とされているため、ギョベクリテペを立てた民族を文明とは命名していないと思います。


https://worldclub.jp/turkish/gobeklitepe/


実は、この遺跡を建てた民族が、後に、メソポタミアへ移動し、農業をはじめ、都市を作ったと言う説も生まれています。


遺伝子で、民族間の繋がりがあるかどうかは検定されているでしょうが、結果は読んだことがありません。ウキには、書いてあるかもしれませんね。


移住したのではなく、メソポタミアの北部に位置するこの地域と交流があって、影響を受けたとしても不思議はないと思います。(シュメールとゴベクリテ間の距離は東京ー福岡間よりも近いです。)

**************************************


との返答を頂きました。ありがとうございました


ただ、個人的には、なんで、この手の遺跡は、毎回、どっかから石を運んでくる等になるのか不思議ですけど。


とにかくすごい遺跡です。


ギョべクリ・テペ


石、答え頂きましました。


>どっかから石を運んでくる等になるのか不思議ですけど。


これについては、ギョベクリテペでは、どこから石が来たかはわかっています。以下のページにあるように、


”①石切場は、ギョベクリテペから500mも離れていないところにあり、石の目に沿ってはがして切り出した”


http://otuken.cocolog-nifty.com/blog/2019/12/post-4ea9ae.html


その上、その場所から切り出された石の量と今までに発掘された遺跡に使われている石の量から推定すると、発掘されているのは5%程度でしかない。未だ発掘されていない遺跡が大量に埋もれていると言われています



との事です。ありがとうございました。

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[一言] >どっかから石を運んでくる等になるのか不思議ですけど。 これについては、ギョベクリテペでは、どこから石が来たかはわかっています。以下のページにあるように、 ”①石切場は、ギョベクリテペか…
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