第42話
真央と一緒に、エレベーターをおりたら、
ー春馬くんがいた。
朝も見たのに、
ー私の心臓がドクンと音を大きくたてた。
だって、
ー春馬くんがいる。
朝見送って、いま、春馬くんがいる。
ーいつまで、こんなふうに、思うのかな?
ね?
春馬くん。
私の大好きな春馬くん。
午年の春に、生まれた春馬くん。
ね?
春馬くん。
ー私は、巳年なんだ。
いつか中学生の頃に、そんな話をしたね?
そうしたらさ?
ね?
春馬くん。
午年生まれの春馬くん。
ー春生まれの春馬くん。
は、
ものすごく、びっくりして、いたよね?
ーなんで⁈
って、なんでは、こっちだったんだよ?
ね?
春馬くん。
ほら?
私は、やっぱり、笑うんだよ?
私のたいせつな春馬くん。
相場の格言に「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」
って、あるけどさ?
ね?
春馬くん?
たしかにね?
私や真央、それに春馬くんのお兄ちゃんは、辰年と、巳年かもしれない。
株価なら、天井で、草木の成長がね、いちばん最盛期で、桜なら満開なのかもしれない。
いちばん、いい頃が、私や真央や春馬くんのお兄ちゃんかも、しれないけど。
ね?
春馬くん。
午年の春生まれだから、
ー春馬くん。
私のたいせつな春馬くん。
格言の株価なら、そうなるのかも、しれないけどさ?
私は、株は、よくわからないからさ?
時間なら、午後12時から、およそ2時間。
ね?
春馬くん。
だから、12時をね?
ー正午って、言うんだって。
朝から、たくさん頑張ってさ?
いっぱい、がんばったらさ?
ーお昼寝、したいよね?
ーおいしいもの、たべたいよね?
ね?
春馬くん。
午年の春に、生まれた春馬くん。
だって、さ?
私は巳年で、桜は満開なのに、陰みたいで、
ね?
春馬くん。
午年の春に、生まれた春馬くん。
午年は、
ー陽、なんなって。
だからね?
ね?
春馬くん。
午年生まれの春馬くん。
ー知ったときに、私は、思わず、笑ったんだよ?
だって、春馬くんが、
ーヘビなら、蛙がよってこない。
って、言ってたけど。
そこ⁈
って、思ってたんだ。
そして、中学生の私は、思ってた。
ーどうして、私は、この人が好きなんだろ?
って、思ってたんだ。
けど、
ーやっぱり、好きだとおもう。
思って、
ー相手が真央でも、壁ドンは、見たくたない。
ね?
春馬くん。
私は、嫉妬してしまうんだ。
だか、真央から離れない春馬くんに、言ってた。
「ー春馬くん、もう大丈夫だから、真央から、離れようか?」
そうしたら、残念そうにさ?
「あっ?」
って、いうからさ?
「あいたかったのは、わかるけど?」
相変わらずの会話で
「いっ?」
なんで、こうなるの?
「イケメン先輩、いるよ?」
って、思ってさ?
「うっ?」
やっぱりさ?
「浮気じゃないのは、わかってるよ?」
ね?
「えっ?」
春馬くん。
「エアーじゃなくて、リアルの真央だもんね?」
午年の春にうまれたから、春馬くん。
「おっ?」
わかりたくないのに、
「大はしゃぎは、終わりにしようか?春馬くん」
わかったら、
「・・・はい」
ー面白くないんだよ?
って思いながら、
ね?
春馬くん。
午年の春に、生まれたから、春馬くん。
やっばり、私は、さ?
ね?
春馬くんは、
「か?」
「可愛いは、よく言われるよ?」
「き?」
「キレイも、よく言われるよ?」
「く?」
「櫛通りもなめらかだよ?よく頭なでてるよね?」
「け?」
「化粧は、うすいよ?すっぴんみてるから、わかるよね?」
「こ?」
「言葉がもうないなら、そろそろやめようね?春馬くん」
やっぱり、春馬くんだなあ?
って呆れてたら、
「・・・はい。マジで、こえーな。明日菜」
褒めたのに。
ってぼやいてる。
ね?
春馬くん。
そんな春馬くんだから、私はー。
「最後は、恋しているよ?春馬くんに?じゃないの?明日菜」
いきなり、思ってたことを、真央に言われて、焦ってた。
「ま、真央っ!」
真央がニヤニヤしてる。
なのに、ふたりは、なんかモンキーについて、はなしだして、春馬くんがスマホで、調べてるけどさ?
相変わらず、真央との間に、私は、入れないけどさ?
ね?
春馬くん。
午年の春に、生まれたから、春馬くん。
ね?
私は、やっぱりさ?
「・・・猿の餌の話は、しないでね?」
「えー?」
「のばしてもダメだよ?」
「え?」
「絵もダメだよ}
「えー?」
「英語もダメだよ?」
「ええっ?」
「・・・なんでふやそうとするの?」
私はつい、ため息をついてさ?
ね?
春馬くん。
「とりあえず、千夏さんに、鍵をわたさないといけないから、もう行こう?春馬くん。真央も?」
そう笑うんだよ?
そうしたら、真央が、
「うん。ごめんね、明日菜。ありがとう」
って、いきなり言った。
「ほんとうに、ありがとう」
あたりまえたよ?
ーだけど、声にだしてくれたなら、やっぱり、うれしいね?
「わたしこそありがとう、真央」
私は真央と笑ってたけど。
春馬くんは、
ね?
春馬くん?
私は、あきれて春馬くんを見るんだ。
「春馬くん。蟻はいないし、サルはもういいからね?」
「明日菜、やっぱり、超能力テストをー」
「うけないから」
って、あきれて、でも、
やっぱり、笑ってたんだ。
だいすきなふたりに、
ー笑うんだ。




