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第40話

私と真央は、千夏さんが福岡でいる時に借りてる福岡支社のマンションの玄関に、しっかりと、鍵をかける。


ね?


春馬くん。


ひとの家の鍵を、家主が不在で、かけてるんだよ?


不思議だね?


ね?


春馬くん。


もうちゃんと、


ー私は、鍵をかけるよ?


って、私の年齢や職業を考えても、かなり危ないことを、してるけど。


ね?


春馬くん。


私は、やっぱり、東京の寮では、鍵をかけないんだろうな?


あの後輩たちも、いつかは、寮から巣立っていくんだよ?


だから、それまでは、そっと開けていたいんだ。


あの野良猫みたいな後輩も、たまには雨宿りに、くるんだよ?


この季節の福岡は、小さな赤ちゃん鳥が、よちよち飛びをしていて、たまに、運転しながら、車をとめるんだ。


いつも春馬くんが、苦笑いしてる。


そして、


「なつかしいよな?南九州の俺たちのさ?片田舎でも、よく見かけたよな?」


…そうだったかな?


私はあの場所で、過ごしたけど、もう13歳で はなれてる。


たぶん、


ーふるさと。


つい昔、お母さんがお姉ちゃんと、歌っていた童謡を口づさんだら、春馬くんも歌い出したけど。


ーうさぎ美味しいかのやま。


ー小舟こぎし、蚊の川。


蚊はイヤだな?


って、顔をしかめていた。


ね?


春馬くん。


春馬くんは、やっぱり、


ー春馬くんだね?


歌詞が違う。


私はあきれて、けど笑うんだ。


そして、春馬くんは、たまに車から降りて、歩いて、赤ちゃん鳥を誘導していく。


野生の鳥は、手に触れない。


おたがいを守るために。


ね?


春馬くん。


春馬くんも、真央も優しすぎるんだよ?


私はひどいかもしれないけど、思ってしまうんだ。


野良猫みたいな後輩を、みてるとね。


あの子の過去に、なにがあったのかは、私はまだ知らないけどさ?


あの子の想いは、


ー言えない想いじゃないんだよ?


ー言わない想いなんだ。


ね?


春馬くん。


午年の春に生まれた春馬くん。


野良猫は、絶対に、餌付けをしたらダメなんだよ?


餌をあげても、人間には、触らせたらダメなんだ。


ー餌をくれないよ?


ーあぶないよ?


人間に、慣れちゃダメだよ?


だけど、


ね?


春馬くん。


私は思うんだよ?


ー飼い猫になるなら、人間に慣れないといけない。


いろんなニュースかある。だいたい猫がでるんだ。


野良猫はさ?


犬とは、ちがうんだ。


噛まれても、ひっかかれても、なによりもさ?


ー餌をねだりに、人間に、すりよってくるよ?


かんたんに、頭を撫でさせてくれる。


ね?


春馬くん。


春馬くんが釣った魚をくわえていく野良猫は、餌付けしちゃダメなんだよ?


あの猫の耳は、カットされていた。


保護団体が避妊手術を、おこなった目標、


だけど、保護をして、子猫を産まないしてもさ?


ーいちばん大切なのは、


人の温もりを知らないこと?


そう思って、しまうんだよ?


ね?


春馬くん。


そんなふうに、おもう私に、資格はあるのかな?


やわらかく笑う真央の笑顔が、違うんだよ?


そういえば、最近、春馬くんは、真央に会ってない。


ということは?


私は、顔をしかめてしまう。


「あらら。明日菜がすねてる」


真央が笑う。エレベーターの中で。


そういえば、大学病院が本館を建て直していて、病院だから、基礎工事がとても深い。


たくさんのタワークレーンもあって、少し離れたテナントのエレベーターの張り紙に。


ー工事の揺れでエレベーターが止まるけど、1分で復旧します。緊急ボタンはすぐには押さないでください。


っと書いてあったって、真央が言っていた。


真央の赤ちゃんは、いま大学病院に通ってる。


私はその話を、真央からきいた時に、頭によぎったのは、マタニティブルーがひどかった時の真央だ。


だけど、いまの真央は、笑うんだ。


「だいじょうぶだよ?明日菜?私には、ゴリラがいるし、うちの子は、ギフトをもらったらしいよ?」


真央はギフト側だから、いらないって、不快だったらしい。


「だけどさ、先生は、あっさり言ったんだ。だから、なんか納得しちゃってた」


だって、大学病院の小児科医だ。たくさんの子たちを見守って、きたんだ。


医師は感情をコントロールしすぎて、最後は、自分がわからなくなってしまう。人もいるらしい。


誰かが言ってた。けど、先生はサラッと言ってくれた。


中途半端なギフトは、これから先もあの子を苦しめて、いくだろう。だけどさ?


「ね?明日菜。アインシュタインが言ってたんだって、「神さまは、サイコロをふらない」って、なら神様は、いないよね?」


「えっ?どうして?」


神様は、サイコロをふらない。だから、神様じゃないの?


真央は、この言葉から、アインシュタインは神様を信じていたって、無宗派じゃないって、論あるって言った。


そして、


「どっちでもとれるから、天才ってすごいよね?」


って、笑った。


「だって、神様がいるなら、さ?どうして?私の子供だけ、いじめるの?みんな、神様にお願いやお祈りするのは、自分の願いや祈りでしょ?平和の祈りだって、つい自分の願いを優先しちゃうよね?こっそり、心で、自分の家族や大切なものを、いのるよね?」


だから、神様がいるなら、サイコロをふるんだよ?


神様を信じれる人は、純粋なんだ。


とてもいいことなんだ。


純粋に、すごいんだ。


他人を、まきこまなければ。


誰かに、なにかに、すがりたくて、それで、救われるなら、救いなんてなんでもいいんだよ?


必ず見極めは、いる。


けど、さ?


見極められないほど、追いつめられてしまったら?


救いは、どこに、求めるんだろう?


ー私や村上には、目に見えないから、わからないんだ。


そう真央は、少しあきらめた顔で言って、けどすぐに笑った。


ラッキーなんだ。


ラッキーはさ?


奇跡なんだ。奇跡はさ?


ーどうにでもなる。


心、ひとつで。


そう真央は、不思議な眼差しでわたしをみた。


ね?


春馬くん。


春馬くんなら、真央の言う言葉が、わかるのかな?


私には、真逆に、思えるよ?


そもそも、


ーアインシュタインって、相対性理論って、言葉でしかよく知らない。


私は理系じゃなくて、いちばん有名なのは、ピエロがやるような、ひょうきんなあの写真。


シャイなアインシュタインが、笑ってくださいって、記者に言われて、笑わず、車にのる瞬間にした顔。


あれが、私の印象。


ー偉大な科学者って、みんな変人だ。


あの時代に、あの世界で、たくさんの天才たちがいて、


ね?


春馬くん。


ー強大な力をもつ兵器こそが、戦争を終わらせる。


あの有名な第一次世界大戦とホロコーストで、多くの人が亡くなった、あのガスもさ?


開発者は、愛国心に、満ちていて、


ー実際には、狂気が世界を襲うんだ。


だけど、すべては、


ー強大な兵器が、世界を平和にする。


たくさんの兵器が開発される時、ながれていく思想はさ。


ーやっぱり、


ね?


春馬くん。


私は、


ー野良猫に、餌をあげちゃダメなんだ。


って、思うんだよ?


だけど、


ね?


春馬くん。


私は私のたいせつなあの野良猫みたいな後輩がさ?


もう寮からでたのに、私のいない部屋で、まるくなって寝ていたら、思うのもたしかなんだ。


春馬くんや真央や、後輩たち、家族、千夏さん、寮母さんやたくさんの人が、私を奇跡みたいに、導いてくれる。


救ってくれるなら、さ?


ね?


春馬くん。


野良猫だってね?


仕事から疲れ切って帰ったら、玄関あけて、びっくりなこともあるけど、


ね?


春馬くん。


やっぱり、私は、笑ってしまうんだよ?


いつもは、野良猫みたいな後輩が、私の部屋で、まあるく膝をかかえてね?


ほかのふたりと変わらない寝顔で、寝てるんだ。


ならさ?


ーどっかで、雨風をしのいでくれたら、いい。


人間に見つからないように、もし、見つかっても、そっとしていてくれるような、


ーやさしい人に、めぐりあって、ほしい。


アインシュタインの相対性理論、があるならね?


人間と野良猫の相対声理論も、あるよね?


ーアインシュタイン。


名前は、知っていて、文系の私には、舌をだしたひょうきんな天才。


教科書に載ってる人。


写真の背景なんか、知らなかった。


たぶん、猫については、ちがう解釈だけど。


あの有名な部屋がある収容施設などで、女性たちを苦しめた生理。


けど、生理こそが、彼女たちにいきる活力をあたえたとも言われてる。


おさない少女たちが親を亡くしていたら、まわりの女性たちが手をとり教え、劣悪な環境は、生理不順をまねき、血を人前でながす辱めをうけた。


けどその生理が時には、女性ならはの理不尽な暴力から守ってくれ、戦後生き抜いたら、脱出できたなら、


ー未来に命をつなぎたいと、


つよく願う。それこそが生きる気力にもなった。


ある人が語ってた。


その原稿をみた時、私は、ふと思ってた。


ね?


春馬くん。


私は、私たちはー。


大好きな春馬くんに、触れてもらう。


頭を撫でられるのは、すき。


抱きしめられるのは、どきどきする。


キスは、すき。


だけど、ふかいキスは、どきどきする、


あの行為は、まだよくわからない。


まだ少し痛いし、苦手だけど、春馬くんを感じる。


ね?


春馬くん。


私のお腹に、いつかー。


そう思った時、エレベーターがロビーについた。


そして、扉があいたんだ。


※注釈


文章は、第二次世界大戦を第一次世界大戦に変えれば、間違ってはいなくなりますが、ホロコーストの方が毒ガスによる犠牲者は多いのが問題になるかなんでしょうね?


「第一次世界大戦とホロコーストで多くの人が亡くなった毒ガス、、、」ですかね?


https://www.y-history.net/appendix/wh1501-039.html


実は、ユダヤ人以外にも200万人ほどがナチスによって殺戮されたと言われていますが、ユダヤ人以外はホロコーストに入れないという人間も多いようです。


ご意見頂きました。訂正してます。


ありがとうございました。



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