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第39話

私と明日菜は、狩野さんが借りてる部屋に、しっかり鍵をかけてから、マンションの外で待ってた村上とあう。


村上は、仕事帰りらしく、スーツ姿だった。


私も結婚して、イケメン先輩を見てるから、明日菜の気持ちが、少しわかるんだ。


朝の出勤のスーツ姿と、帰宅のスーツ姿は、なんとなく雰囲気が違う。


だから、となりで、明日菜が息を、軽くのんでいたことに、気づいたんだ。


私は、苦笑する。


本当に演技をしていない明日菜は、わかりやすい。


中学校の時は、村上にも、私にも、少しまだ意地を、はっていたのになあ。


あの頃は、やっぱり、明日菜も反抗期だったのかな?


いろんな意味で反抗期。


それは、村上もかあ。


ー遠距離恋愛で、10年。


その逢えない時間が、二人の幼いおままごとのような初恋を、


ー恋、愛、にかえていった。


いまは、このふたりは、どっちなんだろう?


少なくても、いま明日菜がみせた23歳にしては、あどけない表情は、


ー恋する少女みたいだと思う。


村上のスーツ姿をみただけで、大人気女優がこんな瞳になる。


私はクスクス笑いながら、冷やかそうとしたときに、


ーパシャッ。


と夜の暗闇に、閃光がはしった。


私がとっさに目を閉じて、つぎに目を開けたら、


ー私の前に、明日菜と村上がいた。


しかも、村上が私の前に、壁ドンみたいにして、明日菜がその村上の背中の前で、


ーさっきとは、まったく正反対の鋭い眼差しでまわりをみわたしていた。


「大丈夫か?柴原?」


村上が身を起こして、気づかってくれたけど、私は呆れて、村上をみる。


間近でみたらわかるすこし茶色がかった瞳は、村上の母親譲りだなと思いながら、私は言った。


「なんで私をかばうのよ?かばうなら、明日菜だよね?しかも明日菜まで、どうしたの?」


明日菜は、フラッシュの相手がわからなかったようで、ため息をつきながらふりかえった。


その時には、もういつもの明日菜だったけど、心配そうな目で私をみている。


「ーごめんね?真央」


しゅんとうなだれた。明日菜は、気がつよいから、珍しい。


私は首を傾げる。


「どうしたの?急に」


「だって、真央は、カメラのフラッシュって、苦手だよね?」


そう言いながら、明日菜が私の手をやさしく握ってくれる。


いま、気づいた。私の手は、ちいさく震えてたんだ。


ふいに成人式の時を思い出した。


あのときも明日菜が私をかばってくれた。


村上から、頼まれた明日菜へのプレゼントも渡せなくて、ただ、無数のフラッシュの光に、閃光に、たくさんの刺激に、逃げてしまった。


あの日も、


ー明日菜が守ってくれた。


ー今度こそ、私が守るって、そう思っていたのに。


ねえ、


明日菜?


やっぱりさ、明日菜は、優しいんだよ?


そして、間違いなく村上の宝物なんだ。


私の前にまだいる村上を、すねたきれいな瞳が見上げてくる。


「ー春馬くん、もう大丈夫だから、真央から離れようか?」


やさしいけど、ちょっとすねてる。かわいいなあ?


って、私でもわかるのに。


村上は、やっぱり、村上で。


「あっ?」


「あいたかったのは、わかるけど?」


「いっ?」


「イケメン先輩いるよ?」


「うっ?」


「浮気じゃないのは、わかってるよ?」


「えっ?」


「エアーじゃなくて、リアルの真央だもんね?」


「おっ?」


「大はしゃぎは、終わりに、しようか?春馬くん」


「・・・はい」


明日菜の声が低くなって、村上が明日菜のとなりに、犬のようによっていく。


というか、村上の印象は、あまり変わらない。


ー犬。


しかも、雑種だ。


いろんな種類が混じったやつ。


愛玩犬のような、猟犬のような、番犬のような、セラピードックのような、


ー野良犬みたいに、


野うさぎの明日菜を、つかまえた。


前に、明日菜とお互いに動物にたとえたら、なんの動物だろう?って、よく女の子でする会話をしたことがある。


明日菜は、私をイタチ。


私は、明日菜を野ウサギとおもった。


臆病で、けど、優しくて、だけど、警戒心がつよいの野ウサギ。


福岡の山にも、野うさぎはいる。


山間部で学校林の草刈りをする時には、鎌で野ウサギを傷つけてしまわないように、捕獲して、白い編みにいれて、木に吊るす。


わりといるって、大学でゼミの子が言っていた。


灰色の野ウサギ。


ちなみに私と村上は、あほなことに、有名な児童唱歌の、


故郷。


でだしが、ひらがなだったから、


ーうさぎおいしかのやま。


を、


ーウサギが美味しいかの山。


と間違っていた。


だって野ウサギを食べてたよね?昔は。


だから、


ーうさぎ追いし?だよね?


捕まえて、食べるなら、


ーウサギ美味しいかの山。


たまに、これは私たちがよくやる。


ひらがなだけだと、たまにある。


唱歌は、本当によくやる。


村上は、もっとひどくて、有名な替え歌の方を信じていた。


卒業ソング。


ー仰げば尊し。


確かに小学校までは、教師の方が背が高いし、うちの校長は、すこし頭がうすかったけど。


ーはげれは尊し、我が師のあたま。


ーかぞえる毛にも、はやいくとせ。


ーおもえばいとうし、この一本。


ーいまこそわかれめ、いざさらば。


うけつがれていくのは、わかるけど。


きいた高校の生徒会長が面白がって、ぜんぶ、つくっていた。


あの生徒会長は、たまに悪のりをしてくる。


私達のある意味、防波堤だったけど。


ちがうか。


私や村上が消波されていたから、消波ブロック。


日本では、たまにテトラポットともよばれるけど、正確には、いろいろちがう。


消波ブロック。


明日菜とは違う意味で、生徒会長や福岡支社の人たちは、私たちの上を行くんだ。


そして、私は、いまも村上に、あきれている。


だって、こりずに、村上は、


「か?」


「可愛いは、よく言われるよ?」


「き?」


「キレイも、よく言われるよ?」


「く?」


「櫛通りもなめらかだよ?よく頭なでてるよね?」


「け?」


「化粧は、うすいよ?すっぴんみてるから、わかるよね?」


「こ?」


「言葉がもうないなら、そろそろやめようね?春馬くん」


明日菜が呆れて、けど少し声を低くした。


「・・・はい。マジで、こえーな。明日菜」


褒めたのに。


ってぼやいている。


「最後は、恋しているよ?春馬くんに?じゃないの?明日菜」


「ま、真央っ!」


どうやら図星だったらしい。明日菜が慌てたように、私をみる。


「まったく、相変わらず仲がいいね」


「お前とイケメン先輩もだろ」


「まあ、うちのゴリラは、日本には数頭しかいないから」


「それ、ほんもののゴリラだからね?真央」


「柴原は、モンキーハンティングの達人だからな」


「褒めてないじゃない。そもそもうちのは、モンキーじゃなくて、ゴリラだから」


「なにモンキーハンティングって」


明日菜が、首を傾げた。


「木からおちる瞬間に、大砲なんかで、サルをうつと、かならずあたるって話」


「そうなんだ」


明日菜が曖昧にわらう。


明日菜は、こういう時は話にのってこない。


あんまり興味がないけど、楽しそうな村上をみているのは、好きらしい。


ちなみに、あいつは、いまずーっと、サルをネットで調べてる。


モンキーに反応したらしい。


そのうちシーモンキーまで、いくんだろうな?


モンキーしかあわないのに。


うちのゴリラの方がちかいのに。


けど、


ーうちのは、ゴリラだからね?


と内心で付け加えておくし、あの理論は、自然環境だと、やっぱりいろんな計算がいる。


あくまで空気抵抗を考えないなら、すべてにあたる。


もちろんゴリラにも、鳥の羽毛にもあたる。


ーうちのゴリラは、だいじょうぶかな?


ジャングルもどるなら、パラシュートもたせようか?


まあ、負傷する?


でもさ?どうなんだろ?


そのうちに風船のような、防護ネットのようなもので、応用していくんだろうか?


いまの技術なら、もうできているのかな?


いろんな安全対策に。


落下対策に。捕獲対策に。


そう考えていくと、やっぱりすごいんだよね。


ーモンキーハンティング。


ー考えた人は、やっぱり天才なんだなあって、村上がはしゃいでいる。


そういえば、村上は新規プロジェクトが終わったら、やっぱり外国に、まだ行く気があるんだろうか?


ー明日菜をつれて?


私は、明日菜をみて、その身体つきや、仕事や性格を考えると、


ームリじゃないの?


っておもうけど、明日菜と村上なら、お互いにこたえをだしていくんだろう。


たくさんの思想があって、それをもとに研究が進み、また、たまには、まいもどり、そして大ジャンプしたり、落とし穴におちたり、落とし穴で金貨ザクザクだったり?


人生は、あいつのいうとおりに、


ー世界的大スターの双子の配管工屋さんのゲームみたいなら、


いまは、世界中、たくさんの人と、つながれる。


・・・かならず、自分の子供の思想や性格を把握して、ある程度の誘導は、いるだろう。


子供たちは、正義感が強い。


そこに悪魔が、甘いことばをささやいてしまうと、救い出したくても身動きが、できなくなってしまう。


そういう事件も、過去に、ヨーロッパなどを、中心におこっている。


子供たちは、正義感が、つよくて、純真。


そして、反抗期。


そして、英語だけでなく、たくさんの言葉が、いまは、簡単に翻訳できる。


ーたくさんの世界の、


大人たちと、つながるんだよ?


ヨーロッパやアメリカなんかで起きた事件は、いまも祖国に帰れない子たちを生み出した。


幼い、純真な正義感から。


もう親では、どうしようもなくなるんだ。


そこに国の安全がからむから、ほんとうに、手遅れになる。


たくさんの悲劇が生み出され、けど、明るいニュースだって、共有されるよ?


ほんとうに、手のひらでさ?たくさんのことができる世界に、なったんだ。


私は明日菜が東京に行ってから、ううん、行く前からも村上とは、よく話していたけど、



私は、明日菜みたいに、興味がない話はつきあわない。


村上はしつこいから。


やさしい瞳で、いまだにサルについて話す村上をみていた明日菜は、ふいに、顔をしかめた。


「・・・猿の餌の話は、しないでね?」


そりゃあ、かわいい小さなリス猿でも、食べ物はー。


「えー?」


「のばしてもダメだよ?」


「え?」


「絵もダメだよ}


「えー?」


「英語もダメだよ?」


「ええっ?」


「・・・なんでふやそうとするの?」


明日菜があきれたように、ため息をついて、


「とりあえず、千夏さんに鍵をわたさないといけないから、もう行こう?春馬くん。真央も?」


やさしく、わらったんだ。


だから、私は、


「うん。ごめんね、明日菜。ありがとう」


あの時も、いつだって、私をやさしく守ってくれるふたりに、


「ほんとうに、ありがとう」


そう言ったら、明日菜と村上は、


「わたしこそありがとう、真央」


って、明日菜がふわりと笑って、ただし、村上に釘をさすのを忘れない。


「春馬くん。蟻はいないし、サルはもういいからね?」


「明日菜、やっぱり、超能力テスト・・・」


「うけないから」


って、あきれて、でもやさしく笑っていた。


これから先も、ずっと笑っていて、ほしい。


あの真冬の屋上から、ずっと、私は見ていたんだよ?


それが、いま明日菜のとなりで笑ってる村上の、


ーたったひとつの願い。


だろうな。


って、思ってさ?


もしあのとき、モンキーハンティングを知っていたら、こいつは、どうしていたんだろ?


とも思った。


帰ったら、うちのゴリラに、きいてみようかな?






※モンキーハンティング。


アメリカ在住の大学で活躍されている科学博士様が偶然、この小説を見つけて、春馬にいろいろ教えて下さってます。


非公開のやりとりで、博士様で、働き先等も確認できてます。


元春馬や真央の母校の国立大学で、むかし教えてあり、春馬たちのモデル大学が、糸島と書いていたので、アメリカからご連絡下さいました。


小説家になろうの方でしたが、ウェブ小説も世界発信だと、びっくりしました。


私ではモンキーハンティングがうまく説明できないので、メールそのまま、許可を得て引用させて頂きます。以下、博士様からです。


人生の半分をアメリカで過ごしているので、まともな日本語が書けないと言われてます。


たんに、私の理解力と日本語力に問題があります、すいません。


モンキーハンティングは、高校物理だそうです。私は文系でした。


以下、説明です。


モンキーハンティング現象は、空気抵抗がない場合、羽毛も鉄の球も、同じ距離から落とすと、同時に着地するという事を示しています。


偉大なる(物理学者にとっては)ニュートンの示した原理又は法則によります。


地球の引力(重力)は質量に比例する為、物体にはそれに比例した引力が働くため、結局、落ちる時間は同じになるのです。


ですから、ゴリラでも、ヒバゴンでも、でかい猿でも、落ちる過程は同じなのです。勿論、これは、空気抵抗を無視しできる場合に限ります。


当てようとしていたモノ等が、例えば、バトミントンのシャトル(呼び方忘れましたが)だったら、金属のものに比べ、空気抵抗の影響が比較的におおきく、シャトルが猿のいた位置に届くと、猿はもっと下まで落ちていて、当たらないかも知れません。


逆に猿がパラシュートを持っていたら(猿は無理でも、ムササビなら)、小さなモノが届いた瞬間の、猿の位置はモノよりも上で、当たらないのです、


しかし、この考えに、もう一つ考慮しなくてはならないのが、なげるものが(ターゲット)の大きさです。


一部の表現を変えてますが、YouTubeなどで、いろんなものがアップされてます。


つまり、


ーゴリラもモンキーハンティングされます。


真央はわかってますが、あれでもイケメン先輩LOVEなので(笑)


自分以外からのハンティングを認めないし、もうハンティングしました。イケメン先輩。


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