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第23話 彼氏と彼女と轟木姉妹


俺の家には、轟木さんちの三姉妹用に、かわいい座布団がおいてある。


なにかにつけては、小さな手に、ゲーム機をもって、うちに、あそびに来る俺のだいじなお友だち。


ー事実だけど、22歳の男が言葉にすると、きもいな。


「家だとお母さんが、いちいち変な声をだすから、嫌なの」


という理由で、我が家には、轟木姉妹と一緒に、かの有名なクレイジードライバーが、やってくる。


くどいようだが、ヒャッホーイとご機嫌に、光る星やら、バナナやら、なんなら亀まで謎にまわりながら、飛んでくる。


赤い帽子のチョビ髭ひげおやじ。


ほんとに、スーパーなおひと。


くりかえすが、俺はドラ〇エのように、コマンドを入れるだけで、勝手に戦闘してくれるやつがいい。


そのコマンドも、いつも、きまっている。


ーガンガンいこうぜ。


だけ。


ちなみに、俺はコツコツと慎重派なので、次の町に行くことが、あまりない。


本当に、これまた、有名な水色の、ぷにゅぷにゅしているモンスターを、倒しているだけで、ほんとうに地味に、レベルが上がっていく。


ちなみに、あいつらは、こちらのレベルが上がると、悔しいことに、あいつらの逃げ足レベルも上がるため、意識して倒そうとすると、遭遇すら困難になってくる。


ある意味、


ーいちばん、むずかしくね?


そうなると、やる気がでなくなる俺は、根本的に、ゲームに、向いてないのだろうなあ。


柴原からは、


「次の冒険いくのが、面倒くさいだけでしょう?かわいそうだから、私がもらってあげるわね?」


といわれては、毎回、カツアゲされている。


あいつは、ゲーマーではないが、暇つぶしにやることは、あるそうだ。


まあ、大抵の大人が、そんな感覚だろうけど。


子供の頃には、夢中になれたゲームや漫画の世界から、いつのまにか、現実の世界に染まって、いくんだ。


もちろん、俺の周りにも、ケーム好きな大人はたくさんいるが、仕事や生活を狂わせてまで、ゲームに没頭しなくなる。


それは受験といいう魔物だったり、恋愛というポーションだったり、さまざまな理由で、あんなに夢中だったゲームから、現実世界に冒険でる。


よく子供には、ゲームは何時間までとか決めごとを、作らないといけない、といわれるが、俺の家は、まじめな公務員業なのに、そういう決まりごとが、なかった。


ふしぎなことに、いつでも、やっていいとなると、安心感からか、ゲームに対する欲求もあまりなくなる。


夜中まで、ゲームをして遅刻しても、自己責任だからだ。


子供でも、なんで眠たいのか、原因はわかるし、人間はある一定の睡眠をとらなければ、勝手にねてしまうので、授業中にしっかり寝てしまい、みんなの前で「おかあさん大好き」と寝言をいった小4から、俺は、ゲームと、疎遠になっていった。


ようは、ゲームとの距離を、学んだのだ。


ちなみに、轟木夫妻も俺の親と同じく自由に、ゲームをさせているようだ。


まあ、学校が終わって、萌ちゃんは部活(ああみえて美術部)。


空ちゃんも友達と17時まで公園であそんで、ご飯食べて、風呂入って、宿題と歯磨きしたら、思う存分ゲームやメディアは、してもいいけれど、そこは一尉と軍曹だ。


就寝時間は、小学二年生の空ちゃんは21時。


中学二年生の萌ちゃんは、23時には、就寝を徹底しているらしい。


なので、実質は1-3時間ほどしか、電子機器は、使えないようにしている。


ゲームの使用制限はない分、親にも子供にもストレスフリーな法則は、ただし、休み日になると、くるってしまう。


宿題を終えたら、電子機器天国へ、ようこそだ。


轟木家のリビングでゲームをすると、必ず負けず嫌いな性格の軍曹がやってきて、戦場のような状態に、なるらしい。


あんなふざけた、髭おやじに対してである。


なので、俺が引っ越してきて、まる一月後のゴールデンウイークには、轟木家の三姉妹は当たり前に、うちリビングに、ゲーム機を持ち込んでいた。


ーなぜか、柴原まで、まきこんで。


たしか、あの日は柴原が、休日出勤ついでに、俺の忘れ物のを、届けにきてくれたんだっけ?


いや、明日菜に、俺の生死確認を頼まれた、だったか?


映画館が人数制限していることもあり、いまも、大ヒットロングラン上映している少女漫画原作の映画が、その頃に、公開したばかりで、色々な特番や雑誌で、嫌でも明日菜の情報が入ってくる時期だった。


とくに、あの映画のポスターがくせもので、幼馴染役のアイドルと、人気若手俳優たちと、明日菜のキスシーンを描いたたものだった。


つまり、明日菜と多数の男とのキスシーンをみる確率が、あがっていた。


通勤している電車にも、当たり前のように、ポスターがあって、俺は一時期、自転車通勤をしていたほどである。


つまりは、例のごとく自分醜い嫉妬で、明日菜との連絡を、一方的に断っていた。


明日菜からの連絡は、すべて柴原経由でしかとれなかったから、業を煮やした柴原が、俺を叱りに来て、轟木姉妹に捕まったのだ。


新しい大人のおもちゃとして。


ついでにいえば、柴原は引っ越しの手伝いもしてくれていたから、萌ちゃんは俺の彼女だと思っていたらしい。


俺の彼女は、大人気女優の神城明日菜だという言葉は、冗談として、華麗にスルーされた。


…あれ?俺って、やっぱり、プロ彼氏、無理じゃない?


なんてことを、ぼんやり思い返しながら、俺は轟木三姉妹用の、かわいい座布団のうちきれいな二個を、明日菜と軍曹に渡す。


いわゆる、レディファースト、だ。


俺だって、やればできる。


凛ちゃんのヨダレがしみ込んだ(毎回きちんと洗濯している)ちょっとへたった座布団を、一尉にも差し出したのに、なんで一尉は、フローリングの床に、正座しているのだろう?


ちなみに轟木姉妹が、うちにいるのが当たり前すぎて、俺は凜ちゃんのよく歌っている小学二年生用水のかさの歌を覚えた。


1Lは10dL♪-1Lは1000ml♪-みんな同じ量だよ。


みたいな歌を、せがまれて、かの有名なYouで検索してやった。


久しぶりに、電話とメッセージ以外の機能を使った俺のスマホ。


空ちゃんのうれしさいっぱいな笑顔をみれて、Youに感謝したが、


ーはたして俺に、スマホは、必要なのか?


いや、空ちゃんが、喜んでくれるなら、必要か。


俺の部屋がきれいなのは、1歳児の凜ちゃんも萌ちゃんに連れられて、遊びに来るからだ。


萌ちゃんがゲームをしている時に、俺が凜ちゃんの相手をしている。


なにせ、手あたりしだいに、目にはいった物をなんでも食べる1歳児。


意外に、すばやい1歳児。


目のまえで、ゴミを食べられたら?と、思うとぞっとする。


3児の親である軍曹は、気にしないでいいと言ってくれるが、もはや気分は、初孫をもつじぃじだ。


実の子の子育ては、妻まかせだったが、孫となると、謎の育児スキルが、わくものらしい。


とは、俺の会社の先輩談。


俺もいまや凜ちゃんに、服や顔をどんなに、よだれまみれにされようとも、可愛くてしかたないからな。


最近、少しずつ言葉らしき単語をいう凜ちゃんは、俺を「はむー」とよぶ。


Haruma.Murakami。


俺の会社の名刺。


なんでアルファベット表記だったのか、今日まで、ナゾだったけど。


春馬の前に、ミスターって、つけたくなるな。


いや、実際に営業先で、そう言われてるけど。


轟木家の萌ちゃん、空ちゃん、姉妹が、俺を春馬にいちゃん、轟木夫婦が、俺を村上くんって、呼ぶから、凛ちゃん的には「はむー」らしい。


くーっ!めっちゃ可愛い!


なあなあ、可愛くないか?俺のお隣さんの、娘さん!


ーって、本当に、変態ぽいな。


で、一尉はなんで、その凜ちゃんの座布団に、座らないんだ?血のつながった娘でしょう?


「一尉、ちょっと、汚れてみえるかもしれないですけど、それ、凜ちゃんのよだれが洗濯しても落ちなかっただけですからね?」


なんなら毎回、天気のいい日は、天日干しているし、赤ちゃんに、優しい無添加の除菌スプレーも、ふってある。


するといきなり、床と座布団に、正座していた轟木夫妻がピシッと、背筋をのばしたかと思うと、


「「すまなかった、村上君!」」


これまた見事に、土下座した。


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