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SS 真央


明日菜とホタルかあ。


懐かしく村上から送られてきた写真や私自身が撮った動画を整理していきながら、ふと思い出す。



私たちの南九州の片田舎は、県一の高校からは、遠かった


帰るのもおそくなるし、電車やバスは乗り換えてる。


高校は、便利な場所だけど、私たちの田舎は、違うから、だんだんと人気がなくなっていく。


最寄駅についたら、ふたりで自転車に、それぞれ乗って帰ってだけど、その日は、村上の自転車が故障したから、歩いて帰ることになった。


ー二人乗り。


は、頭になかった。まあ、禁止もあるけど、たんに、村上には明日菜がいる。


そのかわり、村上が私の自転車にカバンを自分のもカゴにいれて、押して歩いた。


とくに話すこともなく、淡々と歩いてかえる。私や村上はお互いに気を使わない存在だから、相手を楽しませたいもない。


困ってるなら、助けるし、第三者がいたり、共通の話題があれば、話したり?


まあ、共通の疑問は、側からは、意味がわからない討論らしく、だいたい生徒会長から、冷静にストップがかかる。


私と村上の共通の話題は、あたりまえに明日菜だけど。


明日菜が新しい仕事をすると、なんとなく口にしていたけど。


恋愛映画になってからは、あまり明日菜の仕事については、話さないけど。


けど、高校時代までは、わりと話題にはしてきたんだ。


私が村上の部屋に行くはあまりなかったけど、村上はうちの和菓子がすきで、よく遊びにきていた。


というか、ゆっくり明日菜をみるためかな?

 

明日菜がはじめての仕事で雑誌モデルとして、1ページだけ載って、その雑誌を私と村上は、私のへやで、別々にみたんだ。


お互いに、


ーひとりで見る勇気がなかった。


明日菜とは、村上みたいに毎日じゃないけど、それなりにスマホでお互いに顔を見ながら、話をしていたけど。


東京に行ったばかりの明日菜は、寂しそうにしていた。


ーああ、失敗したかなあ?


あの太宰府天満宮で感じた不安が、その度に胸によぎる。


南九州の片田舎は、暑くて、けど、寒いからさ?


あの日、私と村上は、賭けに出た。ただ、相手が、


ー信じられないなら、託さない。


決めていたけど、明日菜のマネージャーさんは、ほんとうに明日菜を見つけた。


ーやっと、みつけた!


あの明日菜に一歩もひかないで、けど、明日菜を観察しながら、話す言葉は、


ーきちんと心がある。


この人なら、村上も、満足?


恋だとすら、気づいてない明日菜と村上を、あのスカウトが、終わらせてしまうはずだったのに、


ー彼氏がいてもいいなら?


明日菜のあの一言が、すべてをひっくり返した。


あれから、ずっと、ふたりを、ううん村上を見続けてきた。


恋とは違うけど、恋には近かったのかな?


不器用に恋する明日菜と村上に、


ー私は恋をしていた。


私に初恋があるなら、きっと、甘酸っぱい、初恋は、


ーさらに甘くなって、いまも変わらず雑誌で華やかに笑う明日菜は、


やっぱり、神城明日菜だけど。


ー明日菜だな。


ぼつりとつぶやいたあの日の村上。


その声のトーンは、


さ?


ーまるでお父さんみたいに、やさしかったよ?


明日菜。








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