② 菜の花
いちめんの黄色い花がさく。
南九州の片田舎。
私は子供達を笑ってみていた。
私のたいせつな、
ー陽太。
太陽のようにあかるくげんきに、でも、たとえ太陽が傾いて、夜になっても、じぶんで陽光を探して太い道を探してほしい。
私のたいせつな、
ー陽太。
小さないちばん下の妹の手を握ってわらう。
やさしいお兄ちゃん。
ー朝陽。
いつだって、あけない夜はないから、かならず朝陽はさすから。たとえあついくもに遮られたって、
ー雲の上にはかならず朝陽がてらすんだ。陽太が朝陽を導くから。
ー朝陽。
陽太の反対側で、小さな手をしっかり握ってる。
もうすっかりお姉ちゃんになったね?
そして、
そのふたりにしっかり両手を握って支えられて、
よちよち歩きの、
ー明日菜。
「あら、かわいい」
すれちがうひとたちに、にこにこの朝陽と陽太。
「ほら、やっぱり明日菜はかわいいんだ」
「ねー?」
無邪気に笑う朝陽と陽太につられて、
ー明日菜がわらう。
たくさんのやさしいきいろの花にみちた南九州の片田舎で。
いちめんの花にさえ、まけない。
ーとくべつな子。
スマホが遠巻きに3人を、明日菜をうつしている。
ーとくべつな子。
明日菜。
いちめんのやさしい黄色い花のなか、
私はただ願っていた。
私の大切な、陽太と朝陽と、また来年も、
ー明日菜が笑って、また満開の花を見てくれることを。
ただ、
願っていて。
「わあ!キレイだね?春馬くん」
あの時よりもずーっと背が伸びた明日菜が笑ってる。
ひさしぶりに帰省して、もう神城ではないけど。
ただ、満開の花をみて、
「あれ?油虫っていないのか?」
…花より虫の子を伴侶にえらんでた。
たしかに、笑ってるけど。
ーこんな息子は予想してなかった。
と、私はすこしあきれていた。
まあ、
南九州の片田舎。
コロナがようやくおちついて、明日菜が笑ってる。
から、
まあ、
ーしあわせだ。
読んで頂きありがとうございます。
少しでも面白かったら、どんな少数でもありがたいです。
☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします。
ふたりのハッピーエンドを見守って下さったら、嬉しいでしす。