第7話 彼氏と彼女と彼氏と天体望遠鏡。
さてと、いつまでも俺だって、玄関には座り込んでるわけにはいかない。
玄関はトイレじゃない。
・・・カギはかかるけど。
でかいし寒い。
・・・誰だよ?
玄関のドアでトイレを想いう浮かべるのって。
ー俺のあたまはこういう時でも絶好調だ。
けどトイレと玄関のドアって似てね?
いや一軒家なら玄関引き戸だろうけど。でも、いまどきってトイレも引き戸だよな?
いやいやそもそも玄関はとても大切なんたぞ?
だから、盛り塩とかするんだろ?
風水だかなんだか、よくわからないけどよくこだわる場所たよな?
ー玄関はだいじ。
よく言われているよな。
まあ、いいろなものを、
ーおもてなし。
する場所とトイレを一緒にする俺は、やっぱり、
ーアホだ。
つくづくそう思いながら、たちあがった。
段ボールの中身をあさってカップ麺をとりだす。
いだいな日本の発明品だ。
そして、地球をとびたしていった発明品だ。
宇宙かあ。
宇宙にコロナってあんのかな?
俺は昔、子供の頃にお年玉で天体望遠鏡を買ったことがある。
九州の片田舎では、星空がよく見えた。
まだ、明日菜にも柴原にもあっていなかった。
-中1の夏。
俺のあたまには10センチくらいの円形脱毛症が急にあらわれた。
たぶん小学校からの急速な変化に心が追いつかなかった。
いろいろな変化がいきなり起こりすぎるんだ。
いきなりの先輩後輩。
学年が違うだけで始まる謎の上下関係。
いっきに難しくなる勉強。
教科ごとに違う担任。
複雑になる友人関係。
恋愛関係。
すべてが、ガキだった俺には急すぎる変化だった。
気が付いたら、あたまにでっかいハゲができていた。
男の俺は丸坊主で逃れたけど、女の子もいた。その子は自然になおっていたらしいし、あんまり気にするタイプじゃなかった。
俺も気にしない方だったのに。
ー意味不明に円形脱毛症になった。
ストレスだと周りの大人たちは言っていたけど、俺にはそのストレスさえよくわからなかった。
ー原因がありすぎたから。
しかも俺はもう、俺がまわりとは、ちがう考え方をする。それはわかってしまっていた。
日本人は大多数の意見が必ず正解になる国だ。
島国だ。
そうしないと争いごとが頻繁に起こってしまうんだ。
吉野ケ里の歴史からもう貧富の差があったから、ずーっと、歴史は繰り返されんだ。もともとと人間は動物だ。
ー動物は、縄張り争いをするもんだ。
だから、争いが繰り返されるんだろう。
男の浮気が本能だと擁護されるが、なら本能だからこそ、争いは男たちがおこしているんだろう。
まきこまれるのは、いつもか弱い子供や女たちだ。
俺はそうはなりたくない。そう思うけど。
明日菜を前にトイレに立てこもった時に感じた、明日菜をいっそめちゃくちゃにしてしまいたい、狂暴なおもいだって、俺だったんだ。
神様はなんで、人間に電気を発明させといて、火力なんて自然を、のこしてしまったんだろう。
人間が、ほかの動物と違うこと。
それは火を覚えたからだ。
ー火。
ー火力。
ー火種。
火種は残る。
流れてしまった血の分だけ、悲しみの分だけ、ずっと火種はのこってしまって、きっと、
ーそよかぜでだって、発火しちまう恐れがあるんだ。
それを頭に俺たちは、忘れてはいけないけど。
きっと、新しい歴史になればなるほど、
ー都合よく、歴史は改ざんされていく。
俺は、そう思っている。
人間は、つごうの悪いものは、きっと都合よくかえていく。
歴史だって、そうだろう。
だから、まだ文字のない古代史なんかは面白い。
どんな国にだって、きっと、まともな歴史はないだろう。
それがあたりまえだし、そういうものなんだ。
考古学は、面白いと思う俺だけど、歴史は、文字が開発されてからは、なんだかなあって見ている。
だって、いろいろな説が近代史ですらあるなら、もはや真実はどこ?
で、あんまり興味ないなあ。になっちゃうのが俺。
俺と柴原の選択教科は地理だった。
あれすら、まあ、日本の地図なわけなんだけど。
地図ですら、いろんな論争を巻き起こすのが現在だ。
ーめんどさい。
そうもおう受験生は、多かったはずだ。
親父はソ連が崩壊してたくさんの国に分かれたから、ほんとうに白地図に国境と特産品とか、グラフを書きなぐって覚えたらしい。
覚えたのは、わずか20年ちょっとむかしで、いままた血がながれている。
そしてわまた、あらたな火種が残る。
火種は、そよかぜですら、条件がそろうと発火しちまう。
ー火力。
神様は、なんで人間に火を覚えさせたんだろう。
中学生の俺は、ただ、日本は漠然としていたから、
ー日本より、外国より、宇宙に憧れたんだ。
いちばんわかりやすい月をみて、でも見ていたのは、月のクレーターじゃなかった。
かがやく月と真っ暗な宇宙の境目がただ、興味深かった。
ほんとうに、光と闇だって、感動したんだ。
いまは安くで天体望遠鏡が手に入るけど、まともにその光景を取られ得るためにはやっぱり、3万円以上はするらしい。
なかなか、てがでない。
ーゲーム機一体分の値段に躊躇するのが俺だ。
けど、せっかく明日菜が九州を本拠地に、俺のそばいることが多くなるんだ。
福岡には八女の星野村だってある。
たくさんの自然がある。
俺の住む地域はもう福岡都市圏だから星は見えないけど、足をのばせばたくさんの展望台だってあるし。
「・・・switc〇の値段かあ」
ー冬のボーナスの残りは、まだあったよなあ。
春になったら、エギングタックルをそろえようとおもっていた俺だ。
こだわれば、ロッド、リール、ラインでかるく片手はいく。
それに比べたら、お安い買い物だろうけど。
・・・こだわり続けるととんでもない額になるよな。
いまの望遠鏡って、ほんとうに、すごいんだぞ?
一昔前では家庭では絶対に手にできない値段で高性能なんだ。
ただ、やっぱり、ちゃんとしたものを買おうと思うと、
ー高い。
「そういえば、俺たちの場合って、明日菜の方が収入上なんだよなあ」
まあ、どっちでもいいけど。
これからいろいろと夫婦のルール―かがいるんだろうなあ。
きっと安定しているのは、サラリーマンの俺だ。
で、明日菜に負けない、やりがいのある仕事をしているのも俺だ。
ーサラリーマンだって、立派な夢だぞ?
だって、サラリーマンにこどもが、憧れてくれたんだ。
なら、いまのサラリーマンががんばってるのを、子供達がわかってくれてる。
それで、よくね?
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