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第31話 彼氏と彼女と空ちゃんのDVD


俺の軽自動車じゃ無理だから、車は轟木家のトヨタのヴォクシー。


日本が世界に誇るあのトヨタだ。


子供が三人いる轟木家には、最適な車。


だって、凜ちゃんのチャイルドシートに、空ちゃんのジュニアシートまでいれたらかなり手狭になる。


萌ちゃんは、中学生だしな。


ちなみに一尉は、きょうは、仕事でいないので、運転手は、俺。


ガソリン代は、一尉が先に満タンにしていて、あとで俺が満タンにして返すレンタカーシステム。


運転手は、やるけど。


ちゃんと一尉は、俺が運転しても大丈夫な保険に入ってくれている。


ここ、ほんとうに、大事。


うっかり上司の酔っ払いに、ハンドルキーパーさせられて、その車が年齢制限や家族制限の保険だとアウトだぞ?


ー信じたくないが、ひどい会社もあるぞ?


自分の身は、自分で、まもろう?


だ。


ちなみに、うちはクリーンな会社。空気清浄機みたい。


あのハゲ外人は、すごい人。


あれ?あの人って、明日菜の大ファンだったよなー?


まあ、俺が顔をあわせることは、ほとんどないしなあ。


だって、あのひと、えらい人。


俺は、新米のペーペー平社員。


いや、まだ、平すらかぎってない、新入社員ー。


「じゃなくなるな」


・・・春になったら、あたりまえに、新入社員が入ってくる。


ことしも、福岡支社に数人は、入ってくる。


ちなみに、去年配属されたのは、コロナの影響もあって、移動のない福岡採用の俺と柴原のふたりだけ。


ー相変わらず貴重な俺の同期の柴原。


・・・こここまでくると、運命じゃね?


赤い糸ならぬ紅白だな。


赤い糸は、明日菜がいい。


そもそもなんで赤い糸?


血の色?


ーマジか?


「もうちょっと、ロマンティックな想像しなよ?春馬兄ちゃん」


後ろの席から萌ちゃんが呆れて言って、さらにうしろから。


「あきらめろ萌。それが村上くんだぞ?」


軍曹が言った。


明日菜は、となりで、ただあきれていて、


「春馬兄ちゃん、このDVDかけて?」


空ちゃんは、マイペースに、海外アニメのDVDを渡してきた。


一尉のヴォクシーには、後部にモニターがある。


このタイプにある前と後ろで別々に、画像処理できるナビケーション。


「あっ、それ・・・」


「しーっ!だよ?明日菜お姉ちゃん」


反応しかけた明日菜に、萌ちゃんが口元に人差し指をあてた。空ちゃんがキョトンとなる。


「どうしたの?」


「ううん。空は、このヒロインが大好きなんだよね?」


「うん。すごく好き!」


って空ちゃんが、にっこり笑って、


「ほんとうに、好きだよなあ。空は、いつも歌って踊ってるぞ?」


軍曹が、からかった。


・・・明日菜がヒロインの吹き替えをやったやつだ。


外国らしくよく歌って、アメリカンジョークにまみれて、でもハラハラして最後は感動できるアニメーション。


日本のアニメも泣けるけど、子供向け、とくに女の子向けは、海外もまけてねーなあっておもうんたよなあ。


ちなみに、柴原の甥っ子のお気に入りは、恐竜のやつ。


ひたすらG〇Nって、歌っておどってる。ただの食いしんぼうでジャイアンに子恐竜があばれまくるあのアニメ。


ためしに凜ちゃんにみせたら、ずっと踊っていた。


アニメよりあの歌にひたすら踊っている。


俺もあれはなにも考えずにみれるから大好き。


俺はクレヨ〇しんちゃんでマジでなくやつ。


幼稚園児のハンケツアニメにマジでなく俺。


ー年だ。


ちなみに、ほかの映画じゃあんまり泣かない。


・・・俺の涙腺ってナゾだよな?


「わかった」


俺は、うけとって、DVDをセットする。


うしろで空ちゃんが歓声をあげて、つられて凜ちゃんが手を叩いて、きゃあきゃあはしゃいでる。


「そういえば、明日菜は、酔い止め飲んだか?」


「うん。大丈夫だよ」


「そっか。なら行くぞ?」


「えー、春馬兄ちゃん萌たちの心配?」


「車酔いしないだろ?」


「私は酔うぞ?」


「ーげっ、マジっすか?」


「冗談だ」


「ママうるさい!きこえないから黙ってて」


空ちゃんの怒りが会話を遮った。


俺と軍曹、そして萌ちゃんは肩をすくめた。


明日菜は、食い入るようにナビケーションのモニターにうつるDVDをみていた。


これは、たしかもう明日菜が18歳をこえていた頃の作品だよな?


声だけの演技だ。


名が売れたからの抜擢だった。明日菜は歌もうまいし、声だってきれいだ。


ただ、この声はキャラに合わせて演技をしている。だから空ちゃんは目の前の明日菜と、そのヒロインが結びついてない。


ただ、萌ちゃんはもうしっている。知っていても、じっとモニターをみている。軍曹は、そんなまわりを優しく見ている。


で、俺はただ、まっすぐに前をむいた。


「じゃあ、出発しますね」


アクセルをやわらかく踏み込んだ。



読んで頂きありがとうございます。


少しでも面白かったら、どんな少数でもありがたいです。


☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします。


ふたりのハッピーエンドを見守って下さったら、嬉しいでしす。

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