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第13話 彼氏と彼女の服事情


南北会合のラーメンを、食べ終わると、俺は明日菜に、先に風呂を進めた。


基本的に、俺はシャワー派なのたが、浴槽も洗うので、掃除はばっちりすんでいる。


ーまさか、はじめて、浴槽を使うのが明日菜だとは思わなかったけど。


ふだんは、使わないので、女性の声で「もうすぐお風呂が沸きます」って言われて、びびって、しまった。


この部屋って、アレがでるのかと。


俺には、霊感ないはずなのに。


そういうと、明日菜に、あきれられたけど、仕方ない。


人生初のひとり暮らし、なんだから。


実家では、母さんが1番風呂で、いつもお湯がはった状態だったし?


明日菜が料理をしてくれたので、俺がラーメンのどんぶりを、洗ってるあいだに、明日菜は、届いてた段ボールを、整理してしていた。


化粧品やら、入浴剤やら、シャンプーやら、俺には、謎な瓶がたくさん、でてきてた。


「春馬くんの家には、ないかなあって」


逆にあったらひくよな?それ。


明日菜は、クスクスと上機嫌に笑うと、


「あっ、そうだ。ねえ、春馬くんのパーカー借りていい?」


「えっ?汗くさいぞ?」


「違うよ。いま着ているのじゃなくて、洗濯したのを、かして?彼の服をパジャマにするのって、よくあるじゃない?一度、春馬くんでしてみたくって」


「俺以外には、経験があるように、言うなあ」


「そりゃあ、恋愛ものの定番だもん。私の場合、少女漫画のヒロイン役とかあるし?二十歳超えてセーラー服とか、着るんだよ?無理があるよね」


「いや、アレ似合ってたけど?」


「本心は?」


「老けたなーって、痛いな!」


なんでデコピンされた?いま。


「だって、仕方ないだろ?セーラー服なんて、中2の明日菜くらいしか、知らないんだから」


「そりゃあ。そうだけど。ものには、いい方って、あるよね?」


「ごもっとも、です、はい」


「わかればよろしい。あっ、お風呂沸いたね。はやくブツをだして」


「そっちこそ、言い方ってものがあるだろ?」


「冗談だよ。ね?春馬くんの洋服、かして?」


どうやら、明日菜は本当に、俺の服がほしいらしい。


上目遣いで、甘えるように、みあげてきた。


やっぱり、俺の彼女、最高に可愛い。


まあ、社会人になってからは、スーツなので、私服は洗い立てのものが、寝室のクローゼットにある。


俺は寝室から、寝巻に最適なものを、もってきてやった。


「・・・なに、これ?」


「高校の体操服だけど?吸湿性は、抜群だぞ?おまけに、耐久性もある。ほらゼッケンもあって、正真正銘、俺のものだ」


「ー春馬くんに、まかせた私がバカだった。私が選んでもいい?それとも、こういう方向性の趣味があるの?」


「こういう方向性?俺は、いまでも高校時代の体操着は、愛用しているぞ。さすがに、中学は身長が伸びたから無理だが、高校で身長はとまったからな。なんといっても、部屋着に、最適だし。軍曹の迷彩Tシャツと同じだな」


「誰?軍曹って」


「ふー、あー、ゆー?」


「いまどき、小学生の方が発音いいよ?春馬くん。一応、外資系だよね?」


「ーえっ⁉︎」


「ーえっ⁈なんで、そこで本当に、驚くの?」


「いや、だって、外資系?」


「いや、だって、真央と同じ会社でしょう?真央が、外資系のすごい一流企業に、就職できたって、大喜びしてたもん」


「そうなのか?」


「真央と春馬くんって、同期でしょ?」


「たしかに、柴原は、頭いいな」


「春馬くんも、九州でいちばんの国立大学に現役で、入学してたよね?」


「いや、だって、高校の同級生は、医学部や天下のT大とかに現役だったし?俺、柴原には、到底及ばない学力だったんですけど?」


「それは、春馬くんと真央の高校が、県内トップの公立高校だったから、でしょ?毎年、私たちの中学校からは、受かっても、ひとりかふたり、だったでしょ?」


「だから、柴原以外は、同中のやつが、いなかったのか?」


「ー素直に春馬くんをすごい、って思ってた私を、かえしてくんないかな?春馬くんが、すごく勉強を頑張ってたから、私も東京で頑張れたんだから」


「ー柴原は?」


「真央は、別枠」


「ーたしかに」


「何気に真央の話になると、春馬くん真面目な顔をするね?」


「だって、柴原だぞ?」


「ーそうね、真央だよね?真央について、春馬くんが、知ってることは?」


「ー柴原真央。身長162センチ、体重は45キロ。得意教科は英語。好きな食べ物は、甘すぎないチョコレート。苦手なものは、えっ?魚釣りで、釣れる魚⁈」


「そうだよ。それは、私のプロフィール。そもそも真央は、春馬くんと同じくらい、背がたかい、でしょう?」


「いや、俺より10センチは、でかい」


「春馬くん、真央とよく会ってるよね?真央の履いてる靴は、わかる?」


「踵がとんがった10センチは、ありそうな、ハイヒール?」


「春馬くんの目線から、10センチ真央を、小さくして?」


「無理だな。あいつの存在は、俺の中でデカすぎる」


「彼女の前で、いうセリフなの?それ」


「ドレ?」


「ミ?」


「ファ?」


「ソーだよな」


「いま、単なる偶然だよね?」


「ナニ?」


「ナ行はつきあわないよ?」


「チッ!」


「舌打ちにさりげなく、た行をいれないで。ぜんぶダメ。話が先に進まないから。それで軍曹ってダレ?」


ご丁寧にきれいな発音でwho are you?もダメって追加された。


チッキショーまで、やりたかったのに。


残念だが、明日菜があきれた顔で笑う。


ーじゃれあい終了のサイン。


「となりのトトロじゃなくて、おとなりさん轟木純子さん?」


本当は、正確な階級は、知らない。


有名な○ロロ軍曹から、勝手にイメージしただけだし。


明日菜は、ため息をつくと、


「なんか疲れたから、お風呂借りるね」


と言ってわ脱衣所ではなく、寝室に向かう。


どうやら、俺のチョイスは、お気に召さなかったらしい。


あれ?でも、高校時代とかバカップルの間で、彼氏のジャージ着るのとか、女子で流行ってなかったか?


なんなら、彼氏でもない俺のジャージを借りたがる女子もいたぞ?


なんか柴原が、勝手に追い払っていたが。


まあ、本当に寒そうにしていた後輩とかに、かしたのは、柴原には、内緒にしているが。


今考えると、あの時の俺は、結構ひどいな。


彼女の明日菜ですら、嫌がるのに、勝手に寒いだろうって、おしつけたり。


おまけに、お礼って義理チョコまで、もらったし。


悪徳商法だな。


うーん、反省だ。


「春馬くん、このパーカー借りてもいい?」


寝室から、黒いパーカーを、明日菜が選んできた。


「春馬くんの私服って、みんな似たようなものばかりだね」


俺の私服は、なんのとりえもないモノトーンのもの、ばかりだ。


ワンポイントのロゴすら、はいっていない。


「まあ、誰にかっこつけるわけでもないしな。釣り行くと、においもつくし」


「まさか、これもあの魚を釣るときに、きてるの?」


明日菜が嫌そうな顔になるが、


「それはイカ、タコ用だから大丈夫だ。釣りあげると墨をはくからなあ。ちなみにまだそいつを着て、エギングに行ったことは、ないから」


「タコも釣れるの?」


「イカ釣りに行くと、結構タコがかかるんだよ。下手したら、イカより釣れる」


エギングでうれしい外道が、タコだ。


ちなみにタコを狙っても、イカは釣れない。


ーなんでだろ?


まあ、タコ釣りに、あまりアクションないもんなあ。


エギングは、結構忙しい釣りだし。


イカがかかるとすごい速さで、リールのラインがでていくが、タコがかかると、地球を釣ったような気分になる。


ちなみに餌釣りのほうが、コスト的にかかると思われがちだが、ルアーやエギのロスト率は、結構高い。


一回目のキャスティングで、ロストなんてふつうに、ありえる。


覚えたての頃なんて、なげた瞬間にスナップのフックをかけ忘れて、エギだけ、かっとんでいったし。


1400円のロスト。


生き餌のアジが300円くらいだから、約4匹分の消失だ。


あれ以来、安いやつを買うようにしたけど、やっぱりさあ、いろいろと釣具屋でみてると、高いものも、ほしくなるんだよなあ。


なんてことを思ってる間に、明日菜は、お風呂に向かってしまっていた。


あっ、そういえば、イカもタコも釣ってないけど、あれでメバリングしてたら、ギンポつれたなあ。


ーうん、黙っていよう。


あれも、見た目よくないし。


ちなみに、にょろとした細長い魚のことだ。


手でつかむと、結構な力で、にょろにょろしてくる。


釣りに行くときは、ペットボトルに、水と手洗い石鹸忘れずにーって、そういえば、さっき、一尉にもらった紙袋の中身をみるチャンスじゃないか?


俺は玄関に置いたままの紙袋を、とりにむかった。


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