表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/652

第22話 彼氏と彼女とあれ?新パターン?


俺はもういちど、ふかく息をはきだした。


13歳の真冬の屋上でいちど、すべてをあきらめてしまった明日菜を支えたのは、確かに俺や柴原だ。


ただ、近くで支え続けてがんばってたのは、たくさんの明日菜を応援してきれていた人たちだ。


こんなファミリー物件のマンションのキッチンでさえ、明日菜は、絵、になる。


目立つ。


し、


「…俺が覚悟を決めるのが、遅すぎんだよ」


18歳の誕生日に、俺はただ自分のことしか考えてなかった。


社会人と学生。


ただでさえ、価値観がずれてくのに、


芸能人と大学生。


特殊な世界だけをみて生きていく明日菜。


生きてきた、明日菜。


ーいきなりの環境変化に耐えれるか?


そもそも俺がかけたオールリセットは、あくまで外国でだから通用した。


ー日本でオールリセットは、たぶん、むりだし。


明日菜は思ってるよりずっと強い。


13歳からもう明日菜の生活の一部になってしまった環境を、日本でオールリセットを素人の俺がかけるのは、


ームリだ。


だって、明日菜は俺がおもっているよりもずっと強い。


ただ、俺なんかよりも繊細で、ばかみたいに優しい。


―優しい奴には、優しい世界じゃないといけない。


じゃなきゃ、優しい世界が夢をみれない。


去年の春にみた萌ちゃんのやるせなそうな瞳。


ただ、中学1年生だったのに。


夢いっぱいの新生活だったのに。


未知のウィルスに大人たちがパニックになってしまって、ただ、怯えて、自分たちの生活に精いっぱいで、


ーその時代で思春期をむかえる子供たちを思いやれた大人たちは、どれくらいいた?


・・・俺には、わからない。


ただ、あの時の萌ちゃんは、真冬の屋上の明日菜を俺に連想させてしまった。


だから、しんそこ背筋がひえた。


冷えたけど・・・。


「明日菜も萌ちゃんも強いよな」


俺はつぶやく。


ほんとうに強いな。萌ちゃんなんか俺より8歳も下だぞ?


ー春馬兄ちゃん。


いつもはにかんだ笑顔で、


ー春馬兄ちゃんは、教師がむいてるよ?


だって、


ー私たちの目線でものをみて、でも絶対にひっぱられないね?


だった。


あれ?俺は教え方がうまいって思っていたけど、ちがくね?


そもそもひっぱられないって、なんだ?


ー意味わかんねぇ。


なんに引っ張られるんだ?


俺は大人だぞ?


ー?


女の子って、マジでわかんねーな。


柴原はー。


・・・あれは俺のラスボス。


倒せる気がしねえ。


で、明日菜は、うーん?


やっぱり、俺にとっては、異世界代表?


・・・俺なんで結婚できたんだ?


そもそもなんで明日菜は俺をえらんだんだ?


えっ?いまさらそこなのか?!


ー俺ってマジすげーな。


もはや運命のであい。


としかいいようがないし、たぶん、俺は明日菜から理由を聞いていて、


ーおぼえてない。


それが俺だ。


で、明日菜はそんな俺が好き。


なら、よくね?


ぐるぐる回る俺の思考は、たまに、どストレートになる。


プロ野球選手だって、空振りするぞ?


たぶん、中3の俺なら、代打でなくても投手でいけたぞ?


あの引退試合なら。


だって、俺ってば、どのポジションも補欠すらなれなかったのに。


ーなぜか全ポジション練習をやらされたんだよ。


・・・俺ってオールラウンダーの補欠の補欠。


それが、俺。


俺はそういうやつで、明日菜は演劇部エースで、柴原はバスケ部のキャプテンでムードメーカー。


・・・なんで明日菜は、俺を選んだんだ?


そもそも修学旅行で一緒の班にならなかったら、俺と明日菜って、どうなってたんだろう?


加納さんが明日菜をスカウトしなかったら?


「考えてもむだかあ」


もう過去だしな。


って思うけど。


ー運命ってあんのかな?


まあ、俺と明日菜が運命の出会いだとして、あのやたらむやみに矢をはなつイタズラなベイビーの仕業として、


ちなみに俺はなぜかあの矢をはなつイタズラなベイビーとマヨネーズのベイビーがかさなる。


フランチャイズが鶏のから揚げの俺。


たぶん、響きのせい。


だってほんきで大人になるまでムー〇ンは、カバだっておもっていた。


スナフ〇ンはかかし。


ミ〇は意地悪な魔女の孫。


で、


ームーミ〇谷はきょうも平和です。


ーそりゃあ、カバの村は平和だよなあ。


っておもっていて、


ー案山子はものしりだなあ。


ってマジでおもっていた。


イケメン先輩からマジであきれられた俺だけど。


ー実は柴原もそう思っていたんだなあ。


視覚優位な俺たちには、背中の小さな羽よりいつもゆれてる尻尾に目が行くから。


そもそもカバのしっぽってちがうよなあ。


っておもったし、カバは危険なんだよなあ。


なかなかカバって近くでみれない。いつも水中にいるし、俺はじつはサイとカバがだぶってしまう時がある。


ちなみに全く違う。


あってるのは体系ぐらいで、サイ見ながらカバを想像するのは、俺くらい。


動物園やサファリパークは、目で見えてる動物見ながら別の動物をしる場所。


・・・視覚優位な俺は、その動物と同じページにある動物を無意識に思い出す。


図鑑ってすげーよな。


空ちゃんがもってきた学〇のDVDにマジではまる俺。


ただ、あれで満足したら、図鑑読むのかな?とは思う俺。でもあのDVDの大ファンな俺。


・・・図鑑は高いから、空ちゃんに貸してもらう社会人の俺。


いや、DVDつきって考えたら、やすいのかなあ。


空ちゃんはみてないんだよなあ。よろこんでいるのは、俺と一尉。


図鑑って性別あるのかな?


全シリーズそろえると結構かかるって軍曹がいっていたけど、保育園で毎月買っていたらいつの間にか全種類そろったらしい。


ーべんり。


で、空ちゃんは、みない。


萌ちゃんは、もう明日菜ののっている雑誌なんかをよんでいる。


あれ?


俺っていちど萌ちゃんから、


ー春馬お兄ちゃんは、神城明日菜みたいな人がすきなの?


ってきかれたなあ。たぶん、俺の部屋の雑誌見つけたよなあ。


俺は、なんて答えたんだ?


「・・・なんて答えたの?」


「うわっ?!」


いきなり明日菜が目の前にいるんですけど⁈


じっと、俺をきれいな瞳がみつめて、


「浮気は、ダメだよ?春馬くん?」


首を傾げる姿、マジかわいい。すけーな。さすが、みについた角度。


もはや無敵だな。


「そうくるか?」


「なんてこたえたの?」


「ーすきとはいった。だって、好きか嫌いかの二択だぞ?」


「・・・春馬くん、べつにって言葉しってる?」


「えっ?べつに?明日菜だぞ?特別か?」


ならそうだろ?


「あれ?じやあ、俺の特別って、言えばよかったのか?」


あれ?じゃあ、あれのこたえは、不正解か?


混乱していたら、明日菜があきれたように笑った。


「なんだ?」


「うん。やっぱり春馬くんは、春馬くんだなあって思っただけだよ」


「だから俺が俺じゃなくちゃ誰なんだ?」


「私の、特別な人、だよ?」


って、明日菜がわらった。


新しいパターンがきたらしい。


目覚めてから、明日菜がすこし変わったなあ。


って、俺はおもった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ