第20話 彼女と彼氏と文部科学省もたまにはやるもんだ?
春馬くんが言う通り、すぐに、マンションのネット画像は、なくなった。
春馬くんは、
「さすがお茶会」
って、あきれていたけれど。
ね?
春馬くん。
私は、春馬くんに、あきれてしまう。
「そのお茶会に、私は、あんなに悩んだのに?春馬くんは一般人なのに、あんなに、追いかけられたのに?」
そう言ったら、春馬くんは、きょとんと大きな瞳を瞬いた。
光の加減で、春馬くんの少し茶色がかった瞳の光彩が変わるんだ。
・・・はじめて、知った。
近くにいないと、わからないことは、多いんだね。
「けっきょくは、明日菜が、まもってくれただろ?ありがとうな」
春馬くんが、そっと、やさしく私の身体を抱きしめてくれた。
「一般人も芸能人も関係ないよ。ネットなんていまも、ほんとうにアホな奴らはどこにもいる。ただ、ちゃんと、その愚かさをわかってる人間の方が、きっと多いんだぞ?」
だから、大丈夫だよ?
っていうけれど、私には、納得がいかない。じゃあ、なんで私やあの子は、あんなにも、苦しまないといけなかったんだろ。
「ー私は許せないよ?」
そうはっきり言える。もし、ゆっちゃんが、この世に存在していなかったら、絶対に許していない。私の心に、はっきりとした、激しい憎悪がわく。
そうだ、私はあの時からずっと、私じゃなく、あの子を苦しめていた、嘘を、真実に、かえてしまった、ネットの身勝手さが、顔がわからない匿名だからって、勝手な憶測ばかり立てて、
ーいつだって、
軽い冗談のつもりだった?
そんなつもりじゃなかった?
こんな大騒ぎになるなんて?
あれくらいで?
ー死んじゃうなんて。
なら、口を閉ざしてよ!
ネットこそ、いまは顔も知らない誰かと簡単にコミュニケーションが、「とれてる」気、になる時代だよ?
顔もしらない、相手だ。
写真やスマホで知っている?
ー嘘だよ。
簡単に、中年が若い人になれるよ?
しかも、日本中で、誰かのスマホから、自分の情報が、洩れまくってるんだよ?
簡単にイケメンの写真だって手に入る。
逆だってそうだよ。
ー美人局。
昔からある犯罪の常套手段。
犯罪にひっかかるのは、老若男女かかわらず。
いちどターゲットになったら、もう、真実を嘘にかえてしまうんだ。
ただの冗談が、簡単に、誰かにトリガーをひいちゃうんだよ?
武器にはたくさんの種類があって、トリガーがどの武器のものかわかっているんだろうか?
ー武器にはたくさん種類があるんだよ?
どんな武器でもトリガーだけはひいちゃダメなんだよ?
ネットは簡単にトリガーになっちゃうんだよ?
「・・・そうだよな。いまは、文部科学省が学校を通してプリントを、子供たちにもたせる時代なのにな」
それくらい、環境変化、が、新年度、が子供たちに影響を及ぼすんだもんな。
って、春馬くんが、かなしそうに、私の背中をなでてくれる。
「どういう意味?」
「空ちゃんが貰って帰ってきた。学校のプリントだよ。春は本当に繊細な季節だし、こんなコロナの時代だ。子供たちはSNSに救いをもとめる時代だ。・・・親やリアルに悩みを打ち明けるより、ネットに頼るかもしれない時代だし」
まだ、ネットで、善人とつながってくれていたら、いいけれど。
ーほんとうに、親には、ぎりぎりまで、話せ、ない。
ー話せる、なら、
最悪は、いかない。
わざわざ、文部科学大臣の名前で、配布されてきた。
そういう時代を、子供たちが、いきている。
そして、保護者や学校関係者、地域の皆様、って記述なんだぞ?
って春馬くんは、哀しそうな顔をした。
「俺も萌ちゃんたちを気にかけてるけど、やるせない文章だよな」
・・・保護者宛なのに、保護者は信られない。
・・・学校関係者も信じられない。
・・・地域関係者にすら、すがろう。
とも、とれるけど、
「まあ、素晴らしいプリントだな」
って、明るくは軍曹は、純子さんは笑ったらしい。
「こんな時代だぞ?明日菜。親ひとりじゃ守れないぞ?守ったつもりになれたって、俺なんかけっきょくは明日菜に守られたんだぞ?」
文部科学省もすてたもんじゃない。
地域のみなさま。
この一文がはいると入らないのでは、大違いだ。ただ、
ー見極めが難しいけど。
いちおうプリントには、
保護者や学校関係者等のみなさまへ
新年度には児童生徒等の環境が大きく変化することもあり、不安や悩みを抱える児童生徒等が増え、◯◯数が大きく増加する危険性があります。(◯◯ははっきり記載はされてますが、こちらでは控えます)
ーこれまでに関心のあった事柄に対して興味をうしなう。
ー成績が急に落ちる。
ー注意が集中しなくなる。
ー身だしなみを気にしなくなる。
ー健康管理や自己管理がおろそこになる。
ー不眠、食欲不振、体重減少などのさまざまな身体の不調をうったえる。
保護者や学校関係者、地域のみなさまにおかれましては、こうした子供の態度に現れる微妙なサインに注意を払っていただき、子供達の不安や悩みの声に耳を傾けて適切に受け止めて頂くとともに、学校、家庭、地域、警察や医療機関などの関係機関どうで緊密な連携体制を築いて頂きますようお願い致します。
ーは、やっぱり人任せだなあとは思った。地域丸投げ、まあ、けど、言いたいことは、わかる。
ーサインは必ずあるんだ。見逃さないであげて!
「まあ、これは大人へのメッセージだったしな。ちゃんと子供たち宛にももらっていたよ」
――――小学生の皆さんへーーーーーー
もうすぐ新年度をむかえます。楽しい気もちで4月をむかえられる人もいることでしょう。
しかし、クラスがかわるなどかん境が変化し、また勉強が難しくなっていくことに不安や、
なやみをかかえているひともいるかもしれません。
だれにでも不安やなやみはあるものです。一人でかかえこまず、家族や先生、学校のスクールカウンセラー、友達、だれにでもよいので、なやみを話してください。
どうしても周りの人に話しずらいときには、電話やメール、ネットで相談できる窓口もあります。
人に相談することは決して恥ずかしいことではなく、生きていくうえで必要な大切なことですので、ためらわずに、まずはそうだんしてみみましょう。
もしあなたの周りに元気がない友達がいたら、ぜひ積極的に声をかけて、しんらいできる大人につないであげてください。
また身近に相談できる場所としてどんなところがあるのか調べてみてください。
電話やメール、ネットの相談窓口(リンク先には警察、児童相談所などの相談窓口一覧もあります)
24時間子供SOSダイヤル(通話料無料)
0120-0-78310(なやみいおう)ダイヤル。
バーコード。 相談口のしょうかい動画 画像とバーコード。
すべての漢字がひらがなでルビがついていた。
・・・つけ方がわからない。すみません。ただ原文です。
「まあ、言葉のかたさはまもしょうがないよな。きっと俺や明日菜や軍曹だとちがう言葉になっちまうし。こういうプリントすら、きっと取り上げられて.すてられる子供ももいる」
って春馬くんが哀しいひとみになったけど、それは一瞬で、
「最後の方の、お友達に気づいてあげたら、しんらいできる大人に、つないであげてください、ってすごく未来が明るくなるよな?!」
すごくない文部科学省!
親や教師を指定してこなかったぞ?!
あなたのしんらいできる大人にだぞ?!
すごくないか!
って大はしゃぎしている。
「去年もあったんじゃないの?」
「ん?去年はまだ寮にいたから知らない。軍曹も去年は知らないって話していた」
この時期はブリントがやたら多いし、最近はメールも多い。
いつもの学級閉鎖で流していたら、たまにクラス全員濃厚接触者で、学級閉鎖の内容が違ってあわてることもある。と純子さんは言っていた。
まだまだコロナは続いて…。
「まあそのうえにあのニュースばかりだからな。あれは生死に直結映像で、まだ基礎人格がなりたってない子供には、けっこうな心理ストレスをあたえちまう。子供たちはほんとうに繊細で想像力豊かで、視覚優位なんだ」
ってやりきれなさそうだ。
きっとさっき春馬くんが言っていた私は、まだ、知らなくていいことなんだろう。けど。
「・・・いろいろと変わってきたんだね」
「うん。きっといい未来が来るよ?文章はともかく、日本のトップ省が書いてるぞ?」
ただ、空ちゃんはこのプリントを渡されたのにずーっと忘れていたらしい。
にぎやかな轟木姉妹は、のびのびとそだっている。
私もゲーム覚えようかなあ。
春はおとなの皆さんもご注意ください。