112/652
小話 明日菜の夢のなか。
「おっ、これ、うまい!」
春馬くんが串団子を一個とる。
春のひざしが、ポカポカな、和風のお家で、違和感があるくらい洋室な、真央のお部屋。
私と春馬くん、真央が小さなテーブルをかこんでる、
いまより幼いなあ。
真央が胸を張った。
「うちの新商品だよ?美味しくて当然」
「あれ?でも。このいろー」
明るい光緑みたいな?どっかでみた?
真央が舌をだした。
「ぱくりだよ?」
「へっ?誰の?」
「まあ、今日は、たくさん食べていいよ?あとで感想きかせてね?」
春馬くんは、和菓子がすき。
しあわせそうにぱくついてる、けど。
「…お腹壊さない?」
私はつい、真央に小声で囁いて、
「もう、うちの職人さんたち、全滅したから大丈夫だよ?」
って、呆れられた。
ー真央は、だれに、あきれたのかなあ。
15歳の春の思い出。