第7話 彼氏と彼女と彼氏のあぶねーなあ。俺。
明日菜が甘えて俺をベッドに引きずり込んで、しばらくしたら、
ー腕の中の明日菜がふとおもくなった。
凜ちゃんもそうだけど、大人の明日菜だって、眠ったら重くなる。
力がぬけるんだから、当たり前に、ちょっと重たくなる。
明日菜をベッドに抱き上げた時に、
ーさっきは、鹿児島名物のカルカン、漢字だと、軽羹みたいに、
軽っ!っておもったんだけどなあ。
いまの明日菜はおもたい。
「・・・また、柴原に怒られるな」
さずかに俺でも明日菜には、言わないぞ?
ーたぶん。
俺に、絶対はないんだ。23年も生きていたらさすがにわかってくる。
失敗して学ぶこともおおいけれど、というか、俺は失敗しないと学ばなくて、年子の兄貴の方がずーっと、俺より何倍も要領もよくて、人当たりがいい。
人当たりって言えば、会社の電話の受け答えが俺には苦痛で、毎回、イケメン先輩をみて、
ーすげーな、口が某会社のチョコレートみたい。
かるくてなめらか。
・・・軽羹ではむりだよなあ。
そもそも、なんで会社でカスタードがあんなに奪い合いになったのか、いまだに謎だし。
だって、軽羹だぞ?
和菓子だぞ?
あんこの方がうまくね?
あれ?そもそもカスタードってなんだ?
スマホでみてみてみるかあ。
げ?!
作り方ばっかじゃん?
いや、俺が知りたいのは意味だぞ?そもそも、俺はレシピ通りにつくってもなぞの物体ができあがるし、
ーレシピ通りじゃないなら、実はうまくいく。
もはや、釣りと同じく感覚だけでなら、料理はいける俺だ。
ただ、お菓子だと分量が大事で、
「たぶん、何かが、いる、んだよなあ」
ホットケーキミックスすら、天敵の俺。
萌ちゃんのクロムブックといい、ウシ様といい、ホットケーキミックスといい、
「ー天敵、多すぎないか?!」
しかもあんまり、重要じゃないし。
いや、萌ちゃんにとってはクロムブックは、重要なんだろうけど・・・。
萌ちゃんには悪いが、俺には、勝てる気がしない。
いや、マジで、答えはわかるんだぞ?ほんとうに電卓もあってるんだぞ?
ー解き方が違うって、なんだよ。
・・・ちなみにあれは、軍曹と一尉、なんなら柴原もまきこんで、大人が数人でマジでやった。結局、どうにか一尉が解いたけど、正直、俺と柴原は、
ーその解き方はちがう。
って思っていた。まあ、萌ちゃんは理解したからいいんだろう。
相変わらず、
ーコンピューター採点、容赦ねーなあ。
えげつねー。
そもそもコンピューターって、人間が作ったんだよな?
なんで人間が採点されんのかな?
大人ならわかるんだけどなあ。まあ、萌ちゃんもギリわかるけれどさ。
ー空ちゃんもクロムブックなんだよなあ。
オンラインでいきなり進んだ文化だ。
うーん?あれって、文化ななのか?
よくわかんねーけど。
まあ、コンピューターをつくってる人間は、
マジですげー。
って思った。
あれですらそれなら、あいつってどうなんだろ?
スーパーコンピュータ―。
あれ、ひたすら解いてるけどさあ。
うーん、同じことやれてる人間がいるんだろ?
なら、やっぱり、コロナとか時間の問題だろうなあ。
でもそしたら、オンラインって、どこに行くんだ?
ーマジで、どこに、行くんだ?
せっかく、いろいろな努力で築きあげたんだよなあ。
うーん?
まあ、いいけど。それも時代の象徴だろうし。
ただ、
俺の天敵がふえた。だけ、理解した。
まあ、俺には関係ないけど。
ーオンラインどこにいくのかなあ?
不思議すぎる。
で、いまの明日菜はおもい。
軽羹よりおもい。
そもそも軽羹より軽い人間は、たぶんいない。
で、カスタードは、おもに洋菓子で使われるらしい。
薄黄色で、とろりとした甘いクリームだって。
ようはシュークリームの中身だよなあ。
卵黄と砂糖を加えて、よく混ぜて、小麦粉をまぜるんだって。俺が見たやつにはコンスターチだと風味がおちるって書いてあったけど、まあ、そこは人それぞれだし、その土地のやり方があるだろう。
ちなみに俺は外国の合成ガソリンを、
ーすげー知恵だなあ。
って、はじめて見た時にものすごい衝撃をうけた。まあ、曽祖父から戦時中や戦後のことを寝物語にきいたせいもあるだろう。
なにもないところから、生み出された、生み出すしかなかった、知恵だ。
ー使う気には、ならないけど。
いつかの米騒動があって、外国産の米が普及しだしたように、足りなくなったら、認めていくことだってあるんだろう。
ただ、日本には、技術者がたくさんいるから、いろんな方法を考えてくれるんだろうなあ。
よく、特定の品物不足になった時はそうおもったし、
ーなんでコロナでおむつがなくなるんだ?!赤ちゃん用だぞ?!
おしりふきだって、赤ちゃん用だぞ?!
軍曹につきあって、凜ちゃんの用品を捜しまわった記憶がある。
ーし、
地域差なのか、あれ?
いまだに俺の七不思議だ。
いや、俺には不思議がおおすぎる。1000不思議くらいにしとくかなあ。
そしたら、一個くらいはバカな俺でもりかいできるー、よなあ?
まあ、いっけど。
だって、俺にはそっちの方が楽しいし。
そういや、なんでカスタードから話がずれていくんだ?相変わらず絶好調だな、俺。
まあ、いっけど。
みんなそんなもんだろうし。
で、カスタードってホイップクリームと違って、加熱しても変質しないんだって。
変、質、しないって、すげーな。
へー。俺でもつくれんのかな?
熱じゃ味は、かわらないってことだろ?
「・・・いけるか?」
だめだな。
日持ちしないらしい。俺は、そんなに手早くできない。
カスタードの回転焼きやタイ焼きならおもい浮かんだんだけどなあ。
シュークリームは難しそうだし。
そもそも洋菓子かあ。
軽羹屋さん、すげーなあ。
ふくやの明太子が、めんツナ缶発売した時みたいに衝撃だ。
・・・軽羹はやっぱりあんこがすきだけど。
食べてないからわかんねーしなあ。
俺は好き嫌いないけど、食べず、眺める、はおおい。
きらいじゃない。だって、食べてない。
まあ、いいや。食べなくちゃいけない時はちゃんとたべるし、いまは、明日菜かなあ。
いや、明日菜を食べたいわけしゃない。
いや、食べたいって言えば、食べたいんだけど。
ってか、
あんなに甘えてくるなんて、
「さっきのは、反則だろう?」
だって、この何か月もずーっと、あいたいって思い描いていた相手だぞ?!
俺は、ふつうよりもセーブできる。そう思っていたんだぞ?
「マジかよ、俺がいちばん信用できないじゃん?」
キスですんでよかったけど。
ーもういっかい。
甘えてきたけど、
ー襲うから、ムリ。
相変わらず、俺の口は、かるい。
どうしょうもねーな。俺。
イケメン先輩、マジですげー。
あれには、勝てそうにない。
すげーな、先輩。
ただ、
「・・・男嫌いだよなあ」
そもそも明日菜は最初からそうだしなあ。
あの冬の屋上から俺は、ずっと見てきたんだ。
だから、わかったし、
「まあいいや。俺は明日菜の、特別、だしなあ」
それすら口にできなかったんだから。まあ、いいや。
明日菜は、目覚めてくれたんだ。
あとは、もう、
ーどうにかしていこう。
そのために、たくさん、
「話そうな?」
俺もねるかあ。
やさしい明日菜の体温に俺はまどろんだ。
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