表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/652

第6話 彼氏と両親

明日菜を抱きしめながら、つい俺もうとうとしていた。


腕に取り戻せた安堵で、なんか、


ああ、しあわせだなあ。


それしかうかばない。


そっと明日菜の髪に、瞼に、額に、唇に、軽く唇を触れていく。


時々、くすぐったいのか明日菜が身じろぎをする。


乱れた前髪を、今度は指でととのえてやる。


起きていても、寝ていても、明日菜は、


ーきれいだ。


俺の宵の明星。


俺のだったひとりの、


ーいちばん星。


「子供とかできたら、かわんのかな?いや、あれは、次元が違うか」


あれはもう光輝く、べつもんだ。


ーなんかは、いま、は、わからねーけど。


たぶん、感覚は、あってんな?


だって、俺にいま、子供いないし。


凛ちゃんは可愛いけど、俺の子はいないし。


俺のスマホが振動する。


「ちょっと、待っててな?必ず帰るから」


俺は明日菜を、そっと、ベッドに、抱き上げてもどす。


ー軽っ⁈


えっ?マジかるい!カルカンより軽い?


いや、カルカンって、軽羹だっけ?


南九州の名産品と、明日菜を比較すんの、俺だけだよな?


そもそも、人間が、軽羹より軽いはずないし、


赤ん坊だって、軽羹より重いし。


そもそも軽羹みんな知ってんのかな⁈


ー柴原に張り倒されそうだ。


いや、だってさあ?この間、イケカマ係長が持ってきてくれた軽羹のカスタードなんて、社内で争奪戦になったぞ?


なんか初めに軽羹作った老舗のやつ。


おなじ和菓子店の柴原がー。


ーん、これだけは、負けだよねー。


って複雑そうに、けど笑顔でたべて、


ーあ、あんたのももらうね。


…相変わらずカツアゲされたけど。


あまいもん、あまり、すきじゃない、からいいけど。


ーうーん?


「やっぱり、ジャイアンだよなあ」


で、なにより、ああいう大人は少なからずいる。


ー上司に。


まあ、人情かだからオッケーかなあ?


カラオケ、いまコロナでNGだし。


こういう面では、ラッキーだ。


相変わらずの、コロナ、っち?


むかし、たまごっち!てあったよなあ?


女子で流行ってたやつ。携帯のペットみたいな?


とうじ、俺は実家に犬がいたから、犬相手にリアルたまごっち!って、首を傾げながら犬の頭を撫でていたが、かなり違うと柴原にあきれられた。


なんてことを思ってたら、スマホがまたなる。


明日菜にタオルケットをかけてやり、俺は玄関へと向かう。


「久しぶり」


ドアをあけるなり、母さんが言って、俺は人差し指をてにあてる。


「あっ、ごめんね。ねてる?」


「うん。さすがにまだちょっと」


「そっか、ほら、鍵」


父さんが、ダイハツマークの鍵をくれる。


俺は、MAZDAマークの鍵をわたした。


「またみんなで会おう」


「春馬、明日菜さんをしっかり守ってね?」


まだ夜明けまえ、父さんたちが、帰ろうとする。


「えっ?お茶だけでも?」


「眠ってるなら、きょうはいいわ。車は修理中って言っておきなさい」


母さんが俺の肩を、ぽんってたたいた。


「しばらくは日本にいるんでしょ?なら、私たちもできることはするわよ。もう、明日菜さんは、大切な家族なんだから」


優しく笑う母さんと父さんに、俺は感謝した、


だって、もう、どうしようもないじゃないか。


ー戦争で、渡航禁止。


かあ。


やりきれなさを感じながらも、俺の頭は、これからのことを高速回転で考えてた。


けど、


高速すぎて、


ーあれ?いま、なんか、思いついたのに。


気づいたら、通り過ぎて、相変わらず、俺の脳は、俺には、厳しい。


新幹線なら、リニアモーターカーなら追いつけるのか?


イケメン先輩、柴原、返してくれ。


いや、レンタルさせて?


相変わらずの、俺、だ。


ーまあ、なんとかるかあ。


なんだよなあ。


とりあえず、目立ったデミオを父親名義と県外ナンバーに変えることから、はじめる。


当たり前だろ?


俺は、もう守りたい、んじゃない。


ー守るって、決めたんだ、


だから、


打てる手段は、すべてうっていく。


し、


まわりの力もかりていく。


今度こそ、


「俺がちゃんと守るよ?」


もう、明日菜は、俺の家族なんだから。


俺は、守りたいなんて甘ったれない。


俺の全力で、


ー守るんだ。


あんな紙切れ一枚が、俺が明日菜のそばにいる資格を誰よりもくれて、


ー俺には、もう自信がある。


誰にも、明日菜はやらない。


明日菜が俺を好きでいてくれるように。俺は努力し続けるし、


ーいまは休憩中だけど、明日菜をもう一度自分の足で立ち上がらせるために、バックアップは惜しまない。


まあ、柴原やみんないるしな。


明日菜は、大丈夫だろう。


ーただ。


「プランは立て直しだなあ」


日本でのオールリセットが厳しくなった。


それだけ、


で、


「まいったなあ」


ぼやいてしまう、俺。


村上春馬、23歳。社会人もうすぐ2年目で、


村上明日菜.23歳の、もう、夫。


うーん?やっぱり、あの紙切れってすげーなあ。


手の中の鍵を鍵入れにいれながら、俺は首を傾げた。


世の中って、つくづく。不思議だ。





読んで頂きありがとうございます。


ブックマーク いいね ☆評価ありがとうございます。


少しでも続きが読みたいと思って頂けたら、ブックマーカーや評価をしていただけたら、低評価でもとても嬉しいです。ぜひ、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ