第一話 彼氏と彼女と彼氏のマイクラ。
萌ちゃんたちのゲーム、マイクラをみていた。
なんの鳴き声だと正直おもった。
「ぶだだよ?この鳴き声へんなんだ」
って空ちゃんが言って、俺と柴原は大爆笑した。
俺と、柴原だけ、だけど。
まあ、大爆笑だった。
「どうしたの?」
って明日菜が首を傾げるのに、
「だって、これって外国のゲームだよね?」
「うん」
って頷きながらも萌ちゃんが首を傾げる。
「へんなんだよ?豚のなきごえ」
「だって、外国人にはそうきこえるんだよ?」
柴原がこえらえきれずに笑いだして、ついでに俺はすでに大爆笑していた。
だって、外国人にはそうきこえてる。
犬や鶏の鳴き声の違いはよく知られているけど、なら、豚だってそうだろ?
「簡単に外国旅行気分だね?」
柴原が説明している。
ただ、ひたすら俺は爆笑していた。
ー爆笑し過ぎで、腹痛くなったけど。
もはや、ゲームってすげーな。
としか、いいようがない。
簡単にソフトひとつで異文化交流だ。
ーゲームってすげーな。
マジ、スゲー。
「あれ?明日菜、眠い?」
そう柴原の声がして俺の笑いがとまる。たしかに、明日菜がねむそうにしている。
明日菜はぼんやりとした瞳で、
「うん、ちょっと、つかれたみたい。ごめん」
轟木姉妹以外の大人は顔をみあわせた。
もう、いいかあ。
ただー。
「明日菜、風呂は・・・」
「私がつれていくわ」
マネージャーさんが言って、柴原が、
「ちゃんとお風呂沸かした?あと、お風呂は話すから、掃除機とか用意したらダメだよ?」
ー相変わらず、こいつには、勝てねー。
そもそもなんでル〇ージマンションを連想するまでわかるんだ。
「私だよ?」
柴原があきれている。
・・・たしかに。
「べんりだな」
「あんた限定でね」
・・・たしかに。
他人でやると、ただのクレイジーマンションの住人になる。
それは、俺たちはのぞんでいない。
し、
まあ、明日菜が柴原みたいになってもこまる。
柴原はあくまでも柴原だ。
いや、いまは池だけど。
しばらくは、まあ、いいだろ?
だめかなあ。
めんざくさいなあ、名前って。
でも名前で言えば、もう、明日菜は村上明日菜だ。
ほんと、不思議だ。
「お湯はちゃんといれた」
びびったことは内緒で、
「じゃあ、はいっておいでよ?」
って柴原はスルーした。
相変わらず、俺の扱いは軽い。ヘリウムガスより、軽い。
いちばん軽いガスってなんだ?
まあ、いいけど、さ。
明日菜が手をひかれてマネージャーにつれていかれると、
「じゃあ、片付けるか」
って、軍曹がたちあがった。
「あっ、俺がやりますよ」
「いいの。いいの。凜たちをみていて。真央ちゃんもいいわ」
「でもー」
「旦那様にお迎え連絡しておきなさい」
って、譲らなかった。
柴原は、
「わかりました、ありがとうございます」
あっさりと言葉通りにうけた。
「ついでにマネージャーさんもたのむな?」
「あっ、彼女は私の家にとまるからかまわない」
・・・いつのまに。
まあ、いいか。
うとうとはじめた凜ちゃんを抱っこして背中をとんとんして俺はひたすら部屋を歩く。
こういう時の凜ちゃんは足をとめると泣く。パターンはバラバラで毎回、俺でも苦労する。
ちょっとしか見ていないのに、苦労する。
世の中のお母さん、お父さん、マジですげーなっておもう。
ちなみに最近、いちばんのベストは、冬休みの主題を空ちゃんが持って帰っていて、ウィンタースキルってドリルやプリントもたくさんあったのに、
ークロムブック。
なんて名称?のノートパソコンを持って帰ってきた。
オンラインや学校の授業で使用していて、毎日重たいのに持ち帰りしているらしい。
かなり、おもい。
だって、他に教科書とかもある。
で、萌ちゃんがクロムブックのドリルがおわらないとなきついてきた。
軍曹からも頼まれてやった。
感想は、
ーなんで電卓もあわないんだ?!答えはあってるぞ?!
・・・考え方がちがうらしい。
ノートパソコン、シビアだなあ。
ちなみに空ちゃんのお友達に言わせると、そういう時こそスマホらしい。
・・・その子もすげーが、
ー両親すごいな。
マジで、リスペクトだ。
そうおもう俺って、まだ、若いはず。しかも頭脳もいいはず。
・・・柴原もたぶんだめだよなあ。
答えしかわかんなかった。
あれ以来、クロムブックは、俺の天敵だ。
ー俺は父親じゃないからいいけど。
いまの子はたいへんだなあ。
俺の時代はまだ、先生があまくみてくれていたけど。
ーコンピューター採点容赦なし。
すげー、時代だ。
って、おもっている間に凜ちゃんが重くなった。
なんで子供ってこんなに眠ると重いんだろ?
たまに空ちゃんおんぶして、凜ちゃんだっこしている軍曹をみかけるが、
「空、腰が痛くなるからやめてくれ!」
・・・マジのさけびだな。
さりげなく毎回、空ちゃんをひきはなしている俺だ。
そして、俺が餌食になる。
若い俺でもけっこうつらい。
ーなんで眠ると重くなるんだろうなあ。
ちなみに姪っ子や甥っ子がいる柴原は、
ー身体がやわらかい子はもっと抱きにくいよ。
って俺にいう。姪っ子がかなりぐにゃぐにゃで抱きにくかったらしい。
いまでも身体はやわらかくて周囲を驚かしているらしいけれど、抱っこしにくいのかあ。
関節を支えられないってきびしいんだなあ。って感想だった。
まあ、知識としていれている。たぶん、俺もいつかは父親になるかもしれないし。
ー村上明日菜。
もう明日菜は家族になった。
いつのまにかスヤスヤ眠る凜ちゃんみたいな、ちいさな、でも、かけがえのない宝物を、得るのかもしれないし、
得られないかもしれない。
だけど。
ー村上明日菜。
俺たちだけの村上家がはじまる。
あいかわらず、ふしぎだなあ。
っておもうけど、
「あっ、よだれ」
って空ちゃんがいうけれど、
げっ、とはおもうけど。
ーすやすや。
ほんとそんな、凜ちゃんの寝顔に、
ーああ、へいわだなあ。
つくづく、いまは、そうおもう。
すくなくても、俺のまもりたい世界は、
凜ちゃんの寝顔が、
ねむっている凜ちゃんの夢が、
ーただ、やさしい夢ならいいね?
そう素直におもった。
ーなんで子供って寝るとこんなにおもいんだろう?
まあ、それだけ、一生懸命起きてるときはたたかっているのかな?
なら、いーや。
あんしんしてねむっていいよ?
俺が、すべてうけとめてやる。
・・・腰がいたくなるまで、な?
あとは、かってに、立ってくれ。
たちあがるのを、ずーっと、見守るけど、さ。
ちゃんと、みてるから、さ。
けど、俺だって、腰が痛むんだぞ⁈
うーん、凛ちゃん重いなあ。
ー女の子には、禁句だな。こりゃ。
たまに空ちゃんにつきあって公園に行くけど、
男の子は体力勝負。
女の子は口喧嘩勝負。
親子バトルはかなり面白い。
ただ、
小さな時から、女の子には、
ー体重は禁句らしい。
って、学習した、俺、だ。
明日菜もプロフィールの体重どうなんだろ?
まあ、スタイルはいいけどなあ?
うーん?
そういえば、布団だしたかなあ?
げっ。
かさばるから捨てたような⁈
ーマジか。
相変わらず、俺は、どうしょうもない。
凛ちゃん落とさなかっただけ褒めてほしい。
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