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公爵系長身イケメン

「こ、これ……、攻め過ぎじゃないですか。下からちょっとのぞいたら、パンツが見えそうなんですけど……」


「大丈夫、大丈夫~。見せブラと見せパンだから。水着だと思って着て、色っぽいポージングを取れば、それで十分だから~」


 牡丹さんはグッジョブのサインを野村さんに見せ、野村さんはわなわなと震えていた。手を少しずつ伸ばし、服を受け取る。どうやらやる気らしい。


(すごいな。野村さんは本気なんだ。今にも泣き出しそうなのに、自分でやると決めたからかな。コンプレックスを克服したいと本当に思っているんだ……)


 野村さんは牡丹さんから服装を受け取ると、女性のモデルさん達がいる方に走っていく。


「牡丹さん、流石にあれを着せるのはやり過ぎたんじゃない?」


「いやいや~、野村ちゃんなら出来るよ。だって私と同じ匂いがするんだもん~。多分、野村ちゃんも相当な変態だよ~、家の中じゃずっと下着姿なんじゃないかな~。私もだし」


(すごい、半分当たってる……。野村さんが変態かどうかはわからないけど、家の中で下着姿なのは合ってる。同じ匂いってなんだ。牡丹さんの特殊能力か何かなのかな)


「これが疋田君の服ね。あと靴。穴無しピアスにシルバーネックレス、金属部分が細い指輪に質素な腕時計」


 真理さんは僕に様々な小物を渡してきた。どうやって付ければいいのかわからない。とりあえず、貰った指輪は、ギリギリ入る左手の人差し指に嵌め、ネックレスを首に掛ける。質素な腕時計を左手首に付け、ピアスの金具部分を耳タブに挟む。靴は後で履き替えよう。


「えっと、こんな感じでいいんですかね……」


「いい感じいい感じ~。大人っぽさが一気に出たね~。服はとてもシンプルだから、反応は薄いかもしれないけど、よく似合うと思うよ」


 僕は牡丹さんから褒められ、少々照れ臭い。真理さんから服を受け取り、着替えるために男性のモデルさん達がいる場所まで移動した。


 以前も見た覚えのあるモデルさん達ばかりで少し安心する。まぁ、誰の名前は知らないし、どういった人たちなのかもわからないけど、僕を歓迎してくれているので悪い人たちじゃなさそうだ。ただ、一人だけ見慣れない方がいた。


「お前が牡丹の言っていたアルバイトか……。見た目からしてまだガキじゃねえか」


 とある男性が椅子に座った状態で視線だけを僕の方に向ける。


(こ、この人。初っ端から僕のことを子供呼ばわりしてきた。まぁ、仕方ないか子供だし)


 椅子に座っている男性は振り返っただけでも絵になるほど顔がカッコよく、アニメキャラクターかと思ってしまった。眼が切れ長だが、瞳が大きく漆黒で吸い込まれそうになる。


 眉が綺麗に整えられており、無駄な毛が一本も無い。まつ毛が長く、しっかりと整えられており、顔の上半分だけでもモテそうだ。


 鼻はスッと通っており高く、唇は薄いがリップを塗っているのか保湿が完璧で色気が出ていた。顎のラインもシュッとしており小顔で僕なんて足下にも及ばないほどの男性だった。その男性が椅子から立ちあがると僕を見下ろしてくる。身長が一九五センチ以上あり、細身なのに筋肉質なので威圧感がすごい……。


「なってないな……。何もかもなってない」


「え、えっと……。何がなってないんでしょうか……」


「髪、顔、服、アクセサリー、表情、態度、姿勢、気持、何もかもがなってない……。お前、何の準備もせず楽な気の持ちようで戦場によくこれたな。お前は即死だ」


 公爵系長身イケメンの男性は細く長い指を僕の額に押し付けてきて威圧してくる。


(こ、怖い……。なになに、この人。初対面の子共に言っていい言葉じゃないよ……)


「まぁ、まぁ~。響さん。今回で二回目なんですから、大目に見てやってくださいよ~」


 ちょい悪風イケメンの男性が間に入ってくれてた。


(うぅ、滅茶苦茶良い人じゃん。怖い人かと思ってすみませんでした……)


「たく、持っているのは身長だけか。遊び感覚で仕事されるとこっちは不愉快なんだよ」


 ちょい悪風イケメンの男性が間に入ったことで公爵系長身イケメンの男性は場所を移動した。歩く姿すらその場にいたと言う余韻が残るほど洗礼されており、男性女性とはず、この場にいたモデルさんの殆どが男性の背中を見る。


「いや~、災難だったな。だが、響さんに声をかけてもらえただけ、お前の存在感が大きかったってことだ。スゲ~じゃん。俺なんて初めて会った時は話かけてすらもらえなかったぜ」


 ちょい悪風イケメンの男性は後頭部で腕を組み、笑っていた。


「えっと、助けてくれてありがとうございました。前、自己紹介もしてませんでしたし、一応名前だけでも言っておきますね。僕の名前は疋田祐介と言います。よろしくお願いします」


「そう言えば自己紹介してなかったな。俺の名前は千葉太陽だ。好きなように呼んでくれていいぜ」


 千葉さんは僕に握手を求めて来た。僕は右手を出して握手をする。千葉さんの筋肉質な腕は手を握っただけで筋が浮かびあがるほどで、とても男らしい。陽キャのような性格なのにとても優しいなんて絶対にモテるんだろうな~と心の中で思う。


「さてと~、じゃあ疋田君もさっさと準備すっぞ~。この服なら、似合う髪型はオールバックだな。さ、座りや」


 僕は千葉さんに手を引かれ、椅子にドスっと座らせられる。お尻がすごく痛かったが千葉さんはお構いなしに、ワックスを髪に塗ってきた。手際が美容師顔負けであっという間に僕の髪型が整えられる。


 髪が整えられるだけで印象が全く違う。こんなに違うと、身長以外で僕を見分けるのは難しいのではないだろうか。


 髪が整えられると、メイクさんがやってきて濡れたタオルで顔を拭かれる。そのあとに白いクリームを塗ってきた。日焼け止めのような独特な匂いがする。そのまま肌色に近い粉を顔に乗せるように優しくつけられる。多分、肌を綺麗に見せるためのファンデーションと言う化粧品だろう。やっと終わったと思ったら、今度は棒状の道具を取り出し、点々と擦られる。眉や鼻、頬など部分的に何かを隠していると思われる。今度こそ終わったと思ったらまたまた粉を取り出して顔全体に乗せられた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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これからもどうぞよろしくお願いします。

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