第70話 悪者
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第70話になります。何卒宜しくお願いします。
歩いていくにつれ、同じく広場を目指す人がどんどんと増えてきた。皆最後にジャンの顔を拝みに行くのだろう。礼服などは着ていないようだが、皆できるだけきれいな服を着て、そして花束やジャンの好きだった酒を持っている者もいる。
「ほらっ、最後にジャンさんにありがとうって言わないとねっ」
「うんっ!」
俺たちの前を母親が子供の手を引き連れていっている。どこかで見たことがあると思えば、ウルと一緒にケイドロをした女の子だ。子供たちでもジャンのことを知っているようだ。
「なぁアリス、ジャンは皆からすればどんなやつだったんだろうな」
「さぁ私は面と向かって話したことないもの。…………でもジャンがどれほど皆に慕われてたかは、これを見ればわかるわ」
アリスのその言葉でちょうど広場へとたどり着いた。
「…………すごい」
目の前の広場は人、人、人。
数千人の町の住人で埋め尽くされていた。昨日同じ戦場に立った者、宿屋の主人、屋台のおやじたち、居酒屋の店員、大聖堂の関係者、町の人間ほぼ全員がここに集合していた。今なお他の町に避難していた人たちも急いで戻ってこようとしているそうだ。
その広場の真ん中にジャンは居た。
広場の高さ3メートルほどの台座の上に手を胸の上に組んで寝かされている。ジャンが使っていた長剣とタワーシールドが隣に突き立てられ、台座にはとても乗り切らない色鮮やかな花がジャンを中心に山盛りになっている。そこへ人々が花を活け、ジャンの寝顔を拝んでは涙を流し去っていく。
「ははは……」
ジャンもここまで慕われていたとは思っていなかっただろうな。今頃びっくりしてそうだ。そういうところは見えてなさそうだったし。
「ユウ、呆けてる暇はないわよ。あの人の狙いはおそらく」
「ああ。俺だろう。それにアリス、伯爵は奴以外にも刺客を送っている可能性がある」
「そうね。怪しそうな人間がいないか探ってみるわ。でもほんとにあなただけで大丈夫?」
「大丈夫だ。俺にはまだ2人いる。いいから頼んだぞ」
【賢者】お任せください。
【ベル】仕方ないわね。あなた頼りないから手伝って上げるわ。
はいはい。
「2人? よくわからないけど、大丈夫なのね?」
「ああ」
「わかったわ」
アリスが不思議そうにしながらも了承し、人混みに消えた。ウルは…………来なかった。どんな顔でジャンに会っていいかわからないそうだ。まぁ、気持ちはわかるから無理強いはしない。今はどこかからこの広場の光景を眺めているのかもしれない。
念のため、早速ユニークスキル『悪魔生成』で生成したデーモンでウルを護衛している。悪魔生成のスキルは俺の要求をある程度飲むことができるらしく、ただの悪魔ではなく、シャドーデーモンとなりウルの影に潜んでいる。俺の命令ならなんでも聞くし、会話も問題なく成立した。それなりに戦力にはなるだろうし、Aランクが襲ってきたとしてもウルが逃げるだけの時間くらいは稼げるはずだ。
ま、ウルもBランクだし、今狙われるのは俺だろうから大丈夫だろう。
さて、どうだ? 来てるか?
【賢者】はい、目標がいました。ユウ様の後ろ50メートル、人混みに紛れながらこちらへ向かってきています。その背後にフリー様が隠れて背後をつけているようです。
やっぱり来るのか…………。まぁフリーがいるなら心配ないな。
【ベル】大聖堂の屋根にも嫌な匂いがするわ。
ああ、来るならあいつだけじゃないよな。
【ベル】おそらく遠距離射撃ね。どうする?
狙われるのは俺だけじゃないかもしれないし、敵も他にもいるかもしれない。もしまずかったら俺が対応する。あとは?
【賢者】民衆に紛れているのが1人います。ここからはジャンの遺体を挟んで反対側ですが、向こう側の2階建ての家の屋根でレア様が広場を見張っています。
お、レアいいところに。賢者さんそいつの特徴は?
【賢者】小柄な灰色ローブです。
あいつか。
俺とジャンの台座を挟んで向かい側に、この場に似つかわしくないフードを被り顔を隠した奴がいる。注視すれば、腰につけた複数の投げナイフが見えた。佇まいからして暗殺者だろう。
【賢者】レア様もその者には気が付いているようです。
それなら大丈夫かな。他はどうだ?
【賢者】見当たりません。
【ベル】ええ。
3人か、おそらく奴らはどこかのタイミングで必ず動く。
お、そろそろ時間か?
ガランが現れ、広場のジャンの元へと歩いていく。ガランが、まとめ役を買って出たのだろう。人々がさらにジャンを見ようと真ん中に寄り、広場がぎゅうぎゅうと密集する。これならさぞ狙いやすいだろうよ。
そしてガランが話を始めた。皆がガランの言葉に耳を傾けている。
「皆、よく集まってくれた。俺はこの町ワーグナーの冒険者ガランだ。知っての通り、先日ダンジョン『悪魔の庭』が氾濫した。今回、魔物の数は5000体を優に超え、さらにはグレーターデーモン率いる悪魔の軍団が現れた。だが冒険者たちが命を賭して戦い、これを打ち破った」
歓声が広場を埋め尽くす。
「しかし、それには多大なる犠牲を支払うこととなった。ギルド長、ジャン・マクラウド」
広場が静まり返る。
「彼は冒険者たちをまとめあげ、皆を率いて町を守りきった。だが、彼は氾濫に勝利した直後、凶刃によって暗殺された」
どよめきが聞こえてくる。ジャンが死んだことは皆が知っていたが、どうやって殺されたかは広まっていなかったのかもしれない。
「犯人はまだ見つかっていない。目下捜索中だ。必ずや見付け出し、この報いを受けさせる!」
ガランの声に熱がこもる。
「だが、まず今日は町のために長年尽力してくれたギルド長ジャンに御礼の念を込め、感謝の意を示したい!!」
ガランの声が震え鼻声になっていく。町の人たちからもすすり泣く声が聞こえだした。
そして、ガランは民衆に向かい合うことを止め、振り返るとジャンの前にひざまづいた。
「ジャン! …………長い間世話になった!! 町を、皆を守ってくれたこと感謝する! お疲れ様だ。ゆっくり休んでくれ。心配いらねぇ。俺たちはあんたがいなくても大丈夫だ。町を、皆を愛してくれてありがとう」
本当にこの世界に来てから、人の死に触れることが多くなった。命の価値が低いと言われればそれまでだが、だからこそこの世界の人たちは人を愛し、人の死を大切にしている。そう思う。
ガランは無言で立ち上がると再び民衆へと向き直った。
「そして、同じく氾濫で町を守るために108名の冒険者たちが亡くなった! 彼らの犠牲なくてはこの度の氾濫は防がれなかった。ジャンと彼らに敬意を評し、黙祷…………!」
広場にいる全員が右手を胸に当て、目を閉じ下を向いている。1分ほど、町の喧騒が消え去った。鼻水をすする音がやたらと大きく聞こえる。
短い間だったが、誠実な心を持ったまじめで良い奴、それが俺のジャンの印象だった。じゃなきゃ、俺がギルドでぶちギレた時、わざわざ止めに入るような真似はしまい。ゾスならやらせておけって言いそうだ。
でもな……………………やっぱりあの時は止めるべきじゃなかったな。ジャン。
そう。あの時、『ブルート』は殺しておくべきだった。
背後で衣服のすれる音がした。
キィンッ…………!!
「うちのリーダーに何してるんだい?」
振り向けばフリーが俺を突き刺そうとしたブルートの剣を刀で止めていた。
「くそ…………!」
剣を止められたブルートが苦い顔をする。
こいつだけは許せない…………。
だが、そこでブルートの口元だけが意地悪そうに笑った。
「「はっ?」」
一瞬、頭が真っ白になった。
俺は、何をしている……? いや、ジャンの葬儀だ。フリーに刀を向けられている目の前の派手な男は誰だ?
誰だ。こいつは?
フリーも固まったままだが、目線が揺れている。フリーも同じ状態か?
【賢者】敵です!!!! ユウ様!
【ベル】ユウっ!! そいつは敵よ!!!!
気付けばそいつの剣が俺の首へと最短距離を進んでいた。
ピタッ…………!
ベルの使う斥力で、ブルートの剣は首へ届くことなく止まった。
「ちぃっ!!!!」
そうだ……! こいつはブルート。ウルを操ってジャンを殺した糞野郎だ。
「はっ!」
フリーも遅れて思い出したのか、そこでブルートの剣を持つ両手を峰打ちで叩き折る…………!
「ぐあああああああああっ……!!!!」
両腕を折られ、痛みに顔を歪ませるブルートは剣を落とす。そして、そのままフリーがブルートを地面へうつ伏せに引き倒す。
「ぐぅ……!」
危ねぇ……! 一瞬だったが、賢者さんとベルが教えてくれるまで、この男が誰だったのかわからなくなっていた。
賢者さん、ベル、助かった。
【賢者】いいえ。
【ベル】ふん。いいのよ。
フリーも対象だったのだろう。思った以上に危険なユニークスキルだ。
周りの人間もこの騒ぎに気づき出す。だが、それがブルートだと気付くと
「こら、ブルートなにやってんだい! いくらあんたでもこんな時くらい、空気を読みなっ!」
町のおばちゃんがブルートを叱咤する。
「何やってんだぁ。ブルート」
町のおやじたちも行儀の悪い子どもを叱るようにブルートを注意する。だが、
「やれっ!」
地面に押さえ付けられたままのブルートが合図したとたん、警戒していた2ヶ所から魔力の高まりを感じた。
頼むぞ、アリス! レア!
ドシュンッ……………………!!!!
大聖堂の方から燃え盛る鉄矢が打ち出される。
バキバキバキバキ…………ガキッッ!!!!
だが、ガランの右側に突然現れた高さ10メートルほどほ巨大な氷の壁がその矢を完全に受け止め、瞬時に氷漬けにする。アリスだ。
「「「「「きゃああああああああああああああ!!!!」」」」」
いきなり始まった戦闘に町の人たちは悲鳴を上げる。
ガランを狙ったのか? だが不意打ちでもなけりゃ、ガランは殺られやしない。
「アリス! 追え!」
ガランの真横に潜んでいたアリスは群衆の真上に氷の道を作り出し、その上を大聖堂に向かって走り出す!
また、広場の一画では1人の男が静かに地面に縫い付けられていた。ただ強力な風がその男に真上から吹き付け、その風力になにも出来ず、ただ地面に押し付けられるだけだ。
「がっ…………!」
周りの人たちはその風に危険を感じて男から離れていく。そして男は白目を向いて気を失った。
そして、俺の後ろではブルートがさらに両足をフリーに峰打ちで折られ、地面に横たわっていた。これで動くことはできない。ブルートはBランクだ。死にはしないだろう。
その時、バキバキバキという音とともに大聖堂が凍りつきだした。一瞬で真っ白い霜で覆われると、まるでブリザードを食らったかのように軒からはツララまで生える。
「「うわあああああああああああああああああああ!!!!」」
「だっ、大聖堂がっ!」
やり過ぎだよアリス…………。大聖堂完全に凍ってるじゃん。これじゃこっちがテロだろ。魔力上がり過ぎて加減できなかったみたいだな。まぁ、いいや。
何事かと周りがパニックに陥る中、ガランがまさかという顔でこちらを眺めていた。
そしてブルートを空中に吊るし、持ち上げて中央のガランのところへ連れていく。町の人たちが空中に浮かんで運ばれていくブルートを何が起きているのか理解できずに、ただポカンと場を眺める。
「ブルート!?」
ガランはなんとか状況を理解しようとしている。
ガシャアアアン!!
「い?」
ちょうど目の前に上から氷漬けにされた太った女が降ってきた。アリスがやってくれたようだ。
てこいつ、ブルートが口説いてたカフェの店員じゃねえか。
「ユウ~!」
人の壁が割れ、レアが気絶した男の足をズルズルと引き摺りながら現れた。レアが引き摺るものだから、男はところどころ踏まれた足跡が付いていた。
ま、普段は優しいレアも悪者や敵には容赦ないからな。
そしてこいつらもブルートの横に持ってくる。そうして、広場の真ん中に犯人と思わしき3人を町の人間からもよく見えるように並べて浮かべる。
「ガラン、見ての通りだ」
「おい、どういうことだ」
鈍いなおっさん。
「こいつらが、ジャンを殺した張本人だ」
「な、なんだと!?」
ガランの顔が凍り付く。そして、町の人たちもざわめく。
「さて、ブルート! 弁明の意はあるか?」
吊るされたブルートに向け、大声で問いかける。
「あ、当たり前じゃないっすか!! あ、アニキ! なんかの間違いっすよ! 俺がそんなことするわけないじゃないですか! 俺はこの町に来て3年経つんですよ? フリーのアニキが勘違いしたんじゃ…………」
ここまできても、その白々しさに腹が立つ。
「黙れ。もう証拠は押さえてる。これだ。お前が裏路地の露店商に売る瞬間も見た」
ブルートが目を見開く。
俺が見せたのは、氷漬けにしたナイフ。それを皆に見えるように高く掲げる。
「こいつはこの最愛の者を殺す呪いのナイフをウルに売り付けた。ウルは利用されただけ。皆、こいつが…………元凶だ」
ざわめきが広場に広がる。
「ユウ、本当か?」
ガランが信じられないという顔をして聞いてくる。
「ああ、事実お前も今殺されかけていたんだが?」
広場のこちらに向け、人混みを掻き分けながらクランリーダーたちも向かってくるのが見える。
「そうか…………。ブルート目的はなんだ? なぜジャンを殺した?」
状況を理解し、ショックを受けたガランがブルートに一歩詰め寄る。
「違いますってアニキ!」
ガランから顔をそむけ、俺に助けを乞う。
「ブルート。俺を後ろから刺そうとしたよな?」
「ユウ気を付けて! 今のそいつは偽の顔よ」
アリスが人混みを縫って走って来た。
「あ、アリスさん。大聖堂をちゃんと元に…………」
「も、戻すわよ……!」
やらかした自覚はあるようだ。
「で、ブルートお前はなんでジャンを?」
「アニキィ……、信じてくださいっ! 俺はやってない!」
クズだ。
「キリがないな」
ブルートの耳元に顔を近付け、皆に聞こえない音量で言う。
「お前、マードック伯爵の手先だろ?」
ブルートが驚いた顔をした。そして、雰囲気が変わった。
「へぇ…………そこまでばれてるんだ。なんでか教えてもらっていいですか? アニキ」
ブルートは真顔で俺に問う。
「最近てめぇら伯爵陣営はよ。水面下で有力な奴らを引き抜いてるだろ? バレバレなんだよ」
他にジャンとウルのこともあるんだがな。もちろん、ここでは言えない。
「あらあら、そらしょうが無い」
下を向きながらニヤニヤする。
こいつ、開き直りやがった。
「認めるのか?」
「そうだ。俺は伯爵の手先だ。だったらなんだ?」
「自分のやったことに何も思わないのか…………?」
「ははっ…………はははは!」
ブルートは狂ったように笑った。そして、急に静かになると、俺を睨み付け、俺にだけ聞こえるような音量で呟いた。
「何にも知らないくせに…………!」
知らない? 何をだ?
「どういうことだ?」
「何も感じないわけないでしょ!? 俺は…………俺は! 嫌いじゃなかった。ジャンも! この町も! それでも俺にはやらなくてはならないことがあった!! もういい手遅れさ」
やらなくてはならないこと?
今や広場は静まり返り、ブルートの言葉に耳を傾ける。
ブルートは深く息を吸い込み、そして言った。
「…………認めるよ。俺がウルを操ってジャンを殺させた」
その瞬間、
ドッッッッッ……………………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
それは、俺が生まれて聞いた中で最も大きな『声』だった。広場の石畳が振動し、俺も思わず耳を塞ぐ。ブルートたちを拘束する魔力の制御を手放しそうになるほどの音量。町の人たち、『ワーグナー』そのものがブルートに向ける、怒り、憎しみ、殺意、哀しみといった意思の塊。それらがブルート個人に叩き付けられた。
それを男の身体ただ1つで受けきった時、ブルートはただただ涙を流していた。それは哀しかったのか、恐ろしかったのか、後悔なのか、わからない。だが、多分こいつがこの町のことが好きだったというのは、本当なのだと思う。ただ、その思いを裏切ってまで、何がこいつをここまでさせたのだろう。
「お前はこれからどうするつもりだ?」
ブルートは顔を上げ、俺を見た。
「どうもしない。俺は俺の責務を果たす……!! でなければ、俺は誰も助けられない…………!!!!」
「死ぬつもりか?」
「ああ」
そう言うと、ブルートの魔力が高まりだした。それに連鎖するように他の2人も意識を取り戻したのか同じように魔力が上昇する。
【賢者】自爆する気です!!
自爆!?
「おい皆下がれ! こいつら自爆する気だ!」
「なんだと!? 全員、広場から離れろ……!!!!」
ガランも気付き、町の人々に避難を促した。
「「「「「うわあああああああああああああああ!!!!」」」」」
まわりは大混乱だ。皆が我先にと人を押し退け、広場から逃げ出すためにバタバタと走り出す。まずい、ここには子どもたちや老人も大勢いたはず…………!
【賢者】ユウ様、こちらが優先です! これはただの魔力暴走ではありません! この町が吹き飛ぶ威力です!
はぁ!? 結界でなんとかなるか?
【賢者】結界魔法では不十分です。ですが…………ベル様なら!
【ベル】ユウ! 私が力を貸すから、魔法を!!
「へへっ、いくらあんたが化け物でも俺たち3人の命を使った爆発だ。この威力は防げねぇぞ? あんたらも始末できて万々歳だ」
ブルートは1人そう言いながら笑い、魔力は高まっていく。
「俺らを殺しても同じことだぞ。制御できなくなった魔力は爆発へと転じる」
ローブの男が言う。
ベル! どうすりゃいい!?
【ベル】私とユウで爆発を収束させるの! 要するに力業よ!!
力業かい!
【ベル】でも繊細な力業よ!
なんだそりゃ!!
【ベル】爆発が起きた瞬間、爆発だけを内側から重力魔法でひっぱって食い止めるの! これだけの爆発を止めようとすれば、失敗すりゃ逆に重力が町ごと飲み込んじゃう! だから…………賢者、微調整は頼むわよ!
【賢者】かしこまりました。お任せください。
わかった。すぐ準備する!
ブルートが俺が何かしようとしていることに気付いた。
「何をしたって無駄だぜアニキ。冥土のみやげに教えてやるが、この自爆には帝国の技術が結集してる。普通の魔力暴走とは訳がちげぇ」
そして最後に、ブルートは俺にくっついてきていた、いつもの顔に戻った。
「アニキ、短い間っすけど、今まで楽しかったっす。もっと別の出会い方がしたかったっす……」
そう言うと、眉毛を下げて申し訳なさそうにブルートは笑った。
「馬鹿っ……!!!!」
ブルートたち3人を中心に魔力が高まり、激しく収縮したかと思うと、それが一気に弾けとんだ。
辺り一面が真っ白な光に包まれる。
ドッッッッッッ……………………………………………………!!!!!!!!
【ベル】今よ!!
俺とベルは重力魔法でブルートたちを中心に広がり始める爆発を、賢者さんと思考加速、予知眼でまるでタキサイキア現象を意図的に起こしているかのような集中力で解析する。
両手を突きだし握り、そして捻るように、広がろうとする衝撃波を爆発の内側から超強力な重力場で引き戻す!!!!
「ぐっうううううううううう!!!!」
ベルっ! おいベルっ?
【賢者】お待ちください。解析の結果。この爆発は一瞬で全ての力を放出するのではありません。今回は3人分を飲み込んで爆発するため、連続3度の爆発の力を食い止める必要があります。
【ベル】本気で魔力を込めるのはまだよ! 爆発が全ての力を放出するのを待つの!
刹那が半刻にまで感じる。俺の目の前数十センチでは、爆風を内側からおれの重力で引っ張り、ビリビリと外側に吹き飛ぶのを押さえている。爆発力と俺の重力が織り成す透明な球体が広場で弾け飛ぼうと暴れそうになるのを絶妙な力加減でキープする。
【ベル】よし! 全部来た!
【賢者】今です!!!!
了解!
外に広がることをくい止めていた重力を今度は完全に爆発自体を収束させるために解き放つ!
ゴオオオッッ………………………………ンンンッッッッッッッ!!!!
ベルの協力もあって爆発は一気に重力により中心へと、まるで映像の逆再生のように集束し、消滅した。
後にはジャンに手向けられた花束の花びらが、風にヒラヒラと舞い上がっていた。周りは先程と変わらない景色が広がっていた。
「んはぁ…………!! はぁ、はぁ、はぁ…………」
集中力が切れ、息を切らしながら後ろを振り返る。周りを見回しても、爆発の被害はどこにも出ていない。
か、完璧だ。さすがは賢者さん。
【ベル】あれ? 私も手伝ったんだけどなぁ…………。
ベルもありがとう。
【ベル】ま、本気で私が力を貸す程ではなかったから重力魔法のサポートだけですんだわね。
いや、それでも助かった。
奴らがいた場所を見れば、ブルートは小さな地面の凹みを残して、跡形もなく消えていた。あいつがこの世にいた痕跡は何一つなくなっていた。
「ブルート…………」
それでも忘れられることはないだろう。この町の人からはこの先永久にジャンを殺害した、最悪の人物として歴史に刻まれることになる。
ブルートの最後の言葉。ウルの言う通りだったのかもしれない。氾濫で町を守ろうとしていたのも本心、ジャンを殺害しようとするのも本心。どこか矛盾を抱え、そのことに気付いていながらも、どうすることもできなかった可哀想な奴。今思えば俺はあいつのことを何も知らなかった。
「おい、ユウどういうことか説明しろ」
アリスが防御に出してくれたのだろう。分厚い氷の壁の向こうからガランが歩いてきた。
「本人が自供しただろ。爆発は俺が押さえ込んだからもう大丈夫だ」
「爆発…………そうか。また助けられたみたいだな」
「いいんだ」
「しかし、まさかあいつが……」
ガランは下を向いて唇を噛んだ。
周りを見れば、町の人たちはパニックを起こした際に、逃げようとした人に踏まれたり、転んで怪我をしていたり、倒れたお年寄りが起き上がれずに広場に倒れたままになっていたりとさんざんだ。
「とりあえず、治癒士を呼んで怪我人の手当てだ」
広場を見渡したガランがバタバタと駆け寄ってくるギルド職員たちや冒険者たちに言った。
「それと町の皆に周知しておこう。ジャン殺害の大元はブルートであったと」
「その辺はしっかりと頼むよ。間違ってもウルだと思う奴がいないようにな。やり方は任せる」
ヒラヒラと手を振って去ろうとすると、ガッ!と手を掴まれた。
「待てユウ。お前が知ってることを全て話せ」
「わかってる。でも明日でいいか? 今日はもう十分疲れた…………」
「そうだな……」
あのガランも辺りを見回して疲労を滲ませていた。
「ああ、そうだユウ。タロンのじいさんだがな。あのじいさんはまだ眠ってるが、治癒士の見立てじゃ、今日か明日中には目を覚ますだろうとのことだ」
タロンは片腕を失ってからまだ意識を取り戻していなかった。
「そうか。良かった…………!」
「お前、気にしてたみたいだからな。また明日にでも顔を見せてやれ」
「おう」
「ああ、それとジャンたちの火葬は明日昼に町の墓地で行う。来てやってくれよ?」
そういうガランはとても小さく哀しそうに見えた。
「もちろんだ」
◆◆
部屋に戻り、そこで全員ドサッと力が抜けたようにベッドに座り込んだ。
「ブルート…………」
ウルの言うとおり、あいつにも何か事情があったんだろう。それを聞いてやることは出来なかった。それでも、もはやあいつは取り返しのつかないことをしていた。
【ベル】ユウ、あんまり抱え込んだらダメよ。あなたは神じゃないんだから。自分の守備範囲を決めておかなくちゃ。手を広げすぎると、守れるものも守れなくなるわ。
すまん。そうだな。でも助けられるなら助けてやりたかった。
【ベル】ならもっと力をつけることね。
ああ、そうだな。
「はぁ、あの最後の自爆、なんなんだい?」
フリーが疲れを隠す様子もなく、ため息と共に呟いた。
「あ、あんなの…………ユウがいなかったら町ごと、皆吹き飛んで…………死、死んでたよ」
レアが肩を震わせて言った。
「たかがBランク3人で引き起こせるレベルじゃなかったわ…………。それに、ブルートの言葉聞いてた? 帝国の技術だって」
「ああ、帝国がどこまで冷酷残忍な国かわからないけど、今回のように人間爆弾として使われると厄介だ」
「もしSランクの魔力量だったら、ちっちゃな国なんて一瞬で更地だねぇ」
フリーがシャレにならんとひきつった顔で言う。
「兵器開発に力を入れてたのは聞いてたけど、あそこまでの技術力があったなんて……」
「ま、とにかく今回で伯爵のバックに帝国がいるのは確定だな」
「そうね……。あの技術は必ず王都へ報告しないと」
「そうだな」
あれだけの技術を伯爵が手に入れていると思うと脅威だ。
一旦話が落ち着いた。と思いきや、
「で、その町を吹き飛ばす爆発を完全に抑え込めるユウはなんなんだい?」
フリーがそわそわしながら聞いてくる。
「ああ、フリーとレアには言ってなかったが、ダンジョンボスを倒してレベルが3になったんだ」
「「うそぉ!!!!!?」」
2人とも同時に声をあげた。
「いやほんと」
「は、早いね。こないだレベル上がったとこだったのに……」
「ま、まじかい。あー、せっかく追い付いたと思ったのにねぇ」
ベッドに腰掛けたフリーが上を向いて脱力する。
「まぁ、相手が相手だったからなぁ」
「アークデーモンに勝つなんて…………。存在が確認されたのも歴史的に見て少ないのよ?」
「へぇ」
「へぇって、とんでもないことなのに…………」
だってまだ、俺の中にいるからな。
「まさかここまでの事件が起きるとは思ってなかったけど、これで王都に行く前に皆のレベルアップっていう当初の目的は達成できたね」
疲れたぁとレアがベッドに寝転ぶ。
「同感だねぇ」
「…………そうだな。ま、とにかく今日は明日まで自由にしよう。明日はジャンの見送りだから昼前集合な」
◆◆
俺はベッドに寝転がり、天井を眺めながらぼーっとしている。フリーは何してるか見えないが隣のベッドにいるようだ。
「ふぅ」
ようやく一段落した。もうこの町で何も起こることはないだろう。
やっっっと、一息つける。
そして、氾濫のことを思い返した。
ジャンは氾濫が始まる直前、自分に何かあったらウルを頼むと言っていた。一度は拒んだが、ジャンの真剣な様子に承諾してしまった。
あの時、ジャンは自分が死ぬ予感でもあったんだろうか。ウルを使われたらさすがのジャンだってあのナイフは回避できなかった。ある意味ジャンの運命は、ブルートがウルを選んだ時点で決まっていた。
「ちくしょう…………」
ベッドを拳で叩く。
それに、ウルはこれからどうするべきか……。本人がどうしたいかもあるだろうな。
あ、そういやこのままギルドのアイギスって貰っていいのか?
と、その時フリーが話しかけてきた。
「ねぇユウ」
「なに?」
「ユウはどこまで強くなるんだい?」
「どこまでって、そりゃあ力はあるに越したことないからな。可能な限りどこまでもだ。なんでだ?」
フリーはフリーで何か悩んでいるんだろうか。こいつはレベル2になったとこだし。フリーは特に力にこだわる傾向がある。
「僕はねぇ、まだまだもっと強くなりたい。ユウも知ってるでしょ? この国で最強の剣士」
「ええと、誰だっけ」
「いやいやいやいや、なんで知らないの? 『斬の理』を持つ人だよ。今じゃ、実質他の国に対する抑止力とまでなってるんだけど!?」
「へぇ」
あんまり興味がなかったし、意識もしていなかった。
「へぇってねぇ、正真正銘の化け物だよ彼は」
【ベル】いいえ違うわ。『理』は化け物というより、むしろ神に近い存在だと思うわ。
それは言い過ぎだろ。
【賢者】あながち間違いではありません。『斬の理』は過去に海を斬った記録があります。
どういうこと? ちょっと何言ってるかわかんない。
【賢者】海を斬りました。
そのままじゃねぇか。水なんて斬っても意味ないだろ?
【賢者】いえ、現在もその海は割れたままなのです。
は…………?
「僕が目指すのはね。斬か剣の理。でもまだまだ、まだまだ遠い道のりだね」
「そ、そりゃそうだな」
そうだな。フリーはデリックとの約束があるからな。
俺の目指すところ…………。俺はアラオザルの仇をとって、世界事変を起こす。ということは、いつか『理』を相手にすることもくるんだろうか。その時は、俺が『理』に勝てるくらいになってないとダメなんだろうな。
◆◆
そうして飯を食べに行った。良い店が見付からず、俺が1人でぶらぶらしていた時に入った店にした。4人で円卓を囲んで食事中、
「で、明日はどうするの? 行くでしょ? ジャンの見送り」
付け合わせの野菜を突っつきながら、正面のアリスが切り出した。
皆、ステーキを食っている。どうやら氾濫で大量に出た魔物の死骸は、腐る前に可食部を町で取り込んでいるそうだ。だから、格安で肉料理が楽しめる。というか、俺たちのパーティは店主の計らいでタダになった。
「そりゃな」
「そのあとは…………そろそろ王都に出発する? 目的も達成できたし」
左の席のレアが気にしてたように言う。
「そうだな。でもその前にやり残したことがあってな。皆、悪魔倒したとき、魔晶石でなかったか?」
そう言いつつ皆を見渡せば反応があった。
「ああ、そう言えば」
各々がポケットから魔晶石を取り出し、ゴトッと机の上に置いた。それぞれ直径5センチほどの茶色、赤、灰色の3つの魔晶石がある。
「これがなんだい?」
フリーが食事に使っていたフォークで魔晶石を指しながら不思議そうに聞いてくる。
「ああ、これを使ってあいつらを復活させる方法があるんだよ」
「「「復活?」」」
まさかと3人は食いついてきた。
「だいじょーぶ。その辺はあいつらの親玉と話をつけた。約束なんだ。そいつらを復活させるってな」
「親玉って…………アークデーモンよね?」
アリスが気になるのか聞いてくる。
「本当に大丈夫なのかい?」
フリーも心配そうだ。なんでだ?
【ベル】そりゃそうよ。私達は悪魔なんだから、危険な取引でもしたんじゃないか不安なんでしょうよ。
なるほどね。お前に会ってから悪魔の印象変わったからなぁ。
【ベル】自分で言うのもなんだけど、私が特殊なの。そんなんじゃ、他の悪魔に騙されるわよ?
へいへい。
「心配いらない。全く危険はないよ。案外良い奴だったから」
「良い奴?」
アリスがいぶかしげに言う。
「まぁまぁ。だから明日はジャンを送り出したら、こいつらを復活させにもう一度ダンジョンに行く」
「わかったわ」
不服そうだったがなんとかアリスが納得してくれた。
良かった。あいつらを復活させないと、ベルに殺される。
【ベル】当たり前よ!
そうして食事は進む。
「そう言えばさ、俺たち以外にレベル2になったやつってほんとにいると思う?」
気になっていた。あれだけの死地を経験すれば、レベルが上がる者が複数出てもおかしくない。戦争は大勢死ぬが、さらなる強者を生み出す場でもある。俺はそう思っている。
「うーん、ガランとかどうだろうねぇ。もともとベテランだったし、積み重ねがあった分いつレベルアップしててもおかしくないんじゃない?」
「そうだなぁ。あいつ槍の腕も相当だったし、今度本人に聞いてみるか」
「後はあのクランリーダーたちが可能性あるんじゃない? 私はヒラリーさんを推すかな。女の人でリーダーやってて、凛としてカッコいいし」
「ああ、あの人も強かったわね。あれは? モーガン」
アリスがガランと並んでモーガンを思い出したようだ。
「あいつは強いんだろうけど、脳筋だったから無理かも」
「うーん、確かに馬鹿にはなれないかもね。やっぱ…………「お、おふたりさーん」」
フリーが俺とアリスをさえぎってきた。
「ん? フリーどうした」
「ウシロウシロ…………」
フリーがニヤニヤして嬉しそうに後ろを指差す。
「「あ」」
俺の後ろには俺の頭を握り潰さんかという形相のモーガンがいた。
「ど、ども。ご無沙汰してます」
それほど関わりのなかったアリスがモーガンにひきつった挨拶をする。
「てめぇら、誰が馬鹿だって?」
「すみません。馬鹿野郎の間違いです」
俺が訂正すると、ピキッとモーガンの額に血管が浮かぶ。だが、
「まぁいい。俺は今日機嫌がいいからな!」
「お?」
そう言って、にこやかに俺の隣に椅子を持ってきて、その巨体でドカッと座った。レアが窮屈そうに椅子を少しずらした。
レア、文句も言わずに良い子過ぎるだろ。こんな奴シバいていいんだぞ。
「おい、なんで隣に座る?」
むさ苦しいからくんじゃねぇ筋肉が。
「いいじゃねぇか。兄弟」
そして、肩を組んできた。
「あ? 別に兄弟でもねぇし…………」
と、上腕二頭筋の力こぶを作ったり、胸筋を張ったりとアピールしている。
「何してんだキモ…………って、ん? お前レベル上がったんだな」
そう、モーガンの存在値が上がっているのを感じた。
「お、わかるか? お前やっぱり見る目あるな! あの氾濫後に急に眠気が来てよ。目が覚めたらレベル2だってんだ! はっはっは!」
それであんなマッチョポーズで気付いて欲しそうにしてたのか。やっぱり馬鹿なのか。
「アピールの仕方、キモすぎんだろ(ボソッ)」
「あ?」
聞こえてなかったみたいだ。顔を寄せ、耳元で叫んでやる。
「アピールの仕方、気持ち悪すぎんだろが!!!!」
「うるせぇ! 気持ち悪いは言い過ぎだろ!…………まぁいい。今ならお前なんかには負けねぇ。どうだ。やってみるか?」
モーガンがニヤニヤと歯を見せ、腕をまくってはやる気を見せてくる。
「お? やるか?」
「おう。あの時のリベンジマッチだ! 表へ出ろ!」
こいつ、そのために来たのな…………。
そういや、ここは良くも悪くもあの時と同じ店だった。
◆◆
「がっ…………! かっ、かか……………………」
モーガンは俺の加減した掌底を顔面に受け、白目を剥いて仰向けに伸びていた。通行人たちが祭りだとばかりに集まって人だかりができている。この町の人たちは相変わらずだ。
「ユウ、やり過ぎてない? モーガンさん生きてる?」
レアが心配そうに顔をのぞかせる。
「ま、あれくらいで死んでたらとっくに死んでるよねぇ」
フリーは平気でしょ。と静観している。
「確認してみましょう?」
と言い終わる前にアリスがモーガンの頭にスイカくらいの氷を落とした。
バガァン……!
「ごがぁ!?」
氷の塊が頭に直撃して半分に割れた。
「大丈夫。生きてるみたいよ」
サラッとアリスは言う。
「今ので死んでなけりゃな」
一瞬起きたが、また気絶したみたいだ。また白目を剥いている。
「はっはっは! だから止めとけって言ったのによぉ」
いつの間にかガランが横に来てゲラゲラと笑っていた。
「おお、ガラン」
「ユウ、お前また強くなったみたいだな」
「まぁな。ここだけの話、俺だってダンジョンボスじゃ何度も死にかけたんだ」
「ほぉ、お前がか。そりゃアークデーモンだってんだから、俺だからすりゃ会った瞬間命乞いするさ」
冗談なのか本当なのかわからんが、ガランがケラケラと笑う。
「とんでもねぇよ。他にレベル上がったやつ知ってるか?」
ガランと話をしつつ、モーガンに回復魔法をかける。
「俺だろ? そこで伸びてる馬鹿。ヒラリー、あとミゲルもそうだ」
へぇ、ミゲルもそうか。あいつはまだまだ若い、これから強くなりそうだ。
「ガランはもちろんだと思ったが、こりゃ有力者揃いだな。これでこの町も安泰だ。ま、そんだけいりゃモーガンはいらねぇな」
「おい!」
意識を取り戻したてのモーガンが膝に手を当てて起きがけにツッコミを入れてきた。
お、前にも増してタフにはなったみたいだ。
「まぁそれなら安心して俺らも町を出れる」
「なんだ? おまえらもう出てくのか?」
ガランはピクリと器用に片眉だけ持ち上げ、驚いた様子で聞いてきた。
「ああ、もともと王都に行く途中立ち寄っただけだったからな」
「そうか、それは寂しくなるな」
このモーガンという男は良くも悪くも裏表がないのか、本当に寂しそうだ。子どもか。
「俺は全然大丈夫だが」
「いちいちうるせぇな馬鹿やろう!」
モーガンが歯をむき出しに怒る。
それから、ガランとモーガンも加えて皆で賑やかに飯を食った。
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