巻之壱
如月恭二(偽)と、ゲストの官能小説家志望の柊 道也が会話型(笑)でお送りする、オススメの一冊ピックアップ企画。
ダイレクトマーケティングとか言ってはいけない。
後、一つ言わせて貰うとするなら、先生方も多忙なせいか更新がないということが寂しいってことですかね(´・ω・)
──ようこそ、秘密の花園へ。
はいそこ、『あれ? これ、そんなコーナーだったっけ?』とか言わない。
「軽々しくそう言うネタを盛り込むなよ……」
考えるな、感じるんだ。(この場において、鬱作家の)如月恭二は死んだんだ。もう戻っては来ないんだ。
「無視かよ」
賑々しくと言ったな。
……あれは嘘だ、という展開を構想段階で思い付いたというのはここだけの話。
──そう、つまり、何も言うな。
「オマエモナー」
という訳で、如月と不愉快な仲間──柊某という若干一名──でお送りします。
「解せぬ」
いあー、ドンドンパフパフ!
…………さて、割烹でも紹介した、“白夜の爺スナイパー”についてお話しようかと思う。
「何事もなかったかのように続けてやがる……何なのこいつ」
──と、思うだけ思ったのだが、そもそも本の荒筋晒すだけで炎上しそうだから辞めようか。大体、著作権大丈夫かこれ。
「──始まって早々企画ボツにしようとするのやめろ! 自分で立ち上げた企画潰そうとする奴とか初めて見たわ! 実は馬鹿なの!?」
──うむ(肯定)。
「うむ……(何なんだこの流れ)」
(大体如月のせい)
(解せ──こいつ、直接脳内に!)
この爺スナイパーは、実を言うと最近の如月に多大な影響を与えた作品である。
「文章とか表現を借りパクしたとか?」
──ねえよ!
そんなこと出来るなら大々的に企画として出さねぇよ。
……何だか柊の話し方が変わった気がする。
「お前の真似をしてみた」
──収拾付かなくなりそうだからやめろ。
「自覚あんのかよ……」
……まず、如月のなろう処女作こと“異端ノ魔剣士”だが、これは海外ドラマに影響を受けている訳だ。
コメディ要素を極力廃し、人物の背景や物語にスポットライトが当たっている。
「洋画からも、だろ。もって回った言い方しないで、さっさと言えよ」
如月の作風では、人物の心理面を描く事が比較的多い。
そこで出会った、白夜の爺スナイパーという作品には驚かされた。
普段、認知症と思われる主人公の老人。
朝鮮戦争に従軍した経験を持つ彼は、ひょんな事から異国の少年を連れて旅に出る。
……というものなのだが、この人物がまた面白い。
普段は軽やかに思想や政治信条を語る彼だが、その実ではかなりの後ろ暗さや哀愁を湛えている。
それでいて、心情を繊細に描いてある。端的に見えながらも、それだけではない深さを表現していた。
外伝の最新話辺りが一番影響が大きい気がする。二、三読み返してやっと気が付いた。
「お前がそこまで語るとは相当だな。普段は本屋で本を読んでいても、『いい本……無いなあ』とか言って翻訳もののコーナーに行ったり、先生方の本を追っ掛けたりだよな」
翻訳ものは読みにくい、という評判がついて回るが如月はそうは思わない。
寧ろ、少し考えれば前後の繋がりがよく分かる。
一見不自然な文脈も、さほど気にならない。
「如月はずぼらである、とも言うよな」
──R18(G)。
「……俺が悪かった」
総評としては、やや(?)玄人向けな作品という印象。
政治信条、皮肉の効いたセリフは玄妙ではあるが、読者を選ぶということもまた事実。
因みに、元職場の上司。現在拙宅の大家である女性に言わせると、「よくそこまで分かるね!?」だそう。
しかし、旅を通して関連する事象と回想は、観るものを引き込む力に満ちている。そこに絡む心情が一層の引き立てとなる。
貴方も是非、頁を繰って欲しい。
正気か、はたまた狂気のご老体か。
真相は貴方だけが知ることであろう。
司会進行は僭越ながら、私。如月と──
「官能小説志望の柊 道也でお送りさせて頂きました!」
ありがとうございました。
著作権大丈夫か、と思わないでもないが、書架の徹底解剖と言った手前、引くことが出来なかった。
背水の陣なんだ。
「アンタ一人で陣なのか?」
──知らんな。