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リアンの変化

 立ち上がった奴隷商のボスは、バトルアックスを片手に顔を赤くして怒っている。


「許さないのは俺の方だ!」


 俺はエルフの女の子に背を向け、奴隷商のボスの方へ向き直る。

 本来なら敵に背を向けるのは危ない事だが、俺はエルフの女の子が攻撃してくるとは思えなかった。


「何を偉そうに! ……その余裕が仇となるんだ! おいリアン! 殺れ!!」


 奴隷商のボスはエルフの女の子に向かって叫ぶ。

 そうか、あの子はリアンって言うのか。

 何の根拠もないけど、俺は背後を襲われるを感じずにそんな事を思っていた。


 すると、リアンは立ち尽くしたまま、身体を小刻みに震わせている。



「おい、リアンーーっ!!」


「リアン!! 下がってろ!!」


 

 奴隷商のボスの声に被せて俺は叫ぶ。

 すると、リアンはビクッとしながらも俺の言うように後ろへ下がった。


「タクト君大丈夫ですか!?」


 そうしている間にもミーアが男達を無効化してこっちに声をかけてきた。

 

 エルフ族が風の精霊との親和性があるような特性があるように、獣人族は身体能力が高いって聞いた事がある。

 それを生かしてスピードとパワーでミーアは冒険者をしていたのだろう。

 さすが獣人族だ。

 

 それにミーアが倒した男達の半数は、昨日俺が素質と能力をリカバリーして初期化した奴らだ。

 魔法を使えた奴はまだしも、武器適正の奴は自分の素質と能力がなくなってる事にすらまだ気づいてなかっだろう。

 そんな奴を相手に獣人族が遅れを取るはずもない。


 それを見た奴隷商のボスは舌打ちをする。


「どいつもこいつも役に立たねぇ!! しょうがねぇ! 俺が相手してやる!!」


 そう言うと奴隷商のボスはバトルアックスを構える。

 この圧倒的不利な状況でも逃げずに向かってくるか……さすが奴隷商のボスってところか、何度も死線を乗り越えて来たんだろう。


「あぁ、相手してくれ。俺がおまえ腐った根性を直してやるよ!!」


 俺は奴隷商のボスを指差して叫ぶ。

 でも、今回は相手が悪かった。 


 俺は修復魔法使い。

 俺に直せないものなんてほとんどない。

 あいつの自信をたたき折って根性を直してやる!


「ガキが良い気になりやがって!! 調子に乗るな!!」


 その言葉と同時に奴隷商のボスは駆け出しバトルアックスを振るう。

 そのスピードは逃げ出さないという自信があるだけあって速い。


 しかし、修復魔法によって極限まで効果を引き出せている補助魔法により、スピードを底上げした俺はそれを躱す。


 それには奴隷商のボスも驚いた表情を見せたが、それでも動きを止めずにバトルアックスを振るい続ける。対する俺はそれを全て避け続けた。


「なんだなんだ? それが全力か?」


「くそが!!!!」


 俺に攻撃を避け続けられた奴隷商のボスは俺の挑発に見事乗り、渾身の一撃を振るおうとバトルアックスを振りかぶる。

 それを見た俺は一気に距離を詰め、振り下ろす男の腕を受け止める。


「なにっ!?」


 パワーブーストで力が上がっている俺はいとも簡単に男の力をゼロにする。

 普通の補助魔法じゃこうはいかないだろうが、なんせ最高の効果のパワーブーストだ。

 これくらいの力を止めるくらい容易い。


「ほら、おまえはスピードだけじゃなく、力でも負けた。もう終わりだ。……リカバリー!!」


 そして、俺はリカバリーをかけて男の素質と能力を初期化する。


「くっ……」


 すると、男の力は段々と弱くなる。

 

「ちゃんと自分で痛みを感じて分かれ!!」


「グホッ!!」


 俺は男の鳩尾に一撃を入れて意識刈り取る。


「……リメイク!!」


 そして男の身体に触れてリメイクをかける。

 これでこの男も少しはリアンの気持ちが分かるかもしれない。


「タクト君!!」


 戦いが終わったと思ったのだろう、ミーアが駆け寄ってきた。


「タクト君凄いですね! この前の動きといい、今日といい、とても冒険者成り立てとは思えません! それも修復魔法ってやつの効果ですか!?」


「まぁ、そんなとこだな。でも、今はそれより……」


 俺は視線をミーアの奥へと向ける。

 すると、ミーアも分かったのは振り返って俺と同じところへ視線を送る。


 そこには俺と視線が合うエルフの女の子、リアンがいた。

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