手粗い歓迎
「……あなた達は?」
村に入ると、一人の男性が出てきた。
その男性は痩せ細っていて元気がない。
「街に向かうのに陽が暮れたので、泊めてもらおうと思ったのですが……この通りお金も払いますので」
そう言って俺は銀貨二枚を取り出す。
街で素泊まり一人銅貨三枚だから俺たち三人で、銀貨二枚は破格だと思う。
可能なら、食事も欲しいってのもあるけど。
「そうですか……分かりました。着いて来てください」
そう言うと、男性は歩き出した。
「……何か不自然」
「タクト君、私も何か変だと思います」
「俺も同意見だ」
俺達は小声で言葉を交わす。
俺が差し出した銀貨を見た時の目といい、俺たち三人の素性を何も聞かずに家に招き入れるってのは何か違和感を感じる。
「えっ、分かってて着いて行くんですか?」
「まぁな。どっちにしても、もう夜だ。この村以外だと野宿だしな。それこそ魔物に襲われたら危ない。まして空腹でゴブリンと相打ちなんて事なったら目も当てられないし」
俺はチラッとミーアを見る。
「うっ……イタイところを……」
「ん? 今のミーアの事だったの?」
「ち、違うのリアンちゃん!! ほ、ほら! 野宿なんてしたらケダモノのタクト君に襲われちゃうしね! 行こう!!」
そう言ってミーアは歩き出す。
「……分かりやすい」
「はは、そうだな。俺たちも行こうか」
俺の言葉にリアンは頷き、二人でミーアの後を追った。
夜の闇に紛れて魔物に不意打ちを襲われるより、人相手で何か仕掛けてくるって分かっている方がやりやすい。
それに、俺たち三人なら遅れをとる事はないだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「……それで、泊めてくれるんじゃなかったんですか?」
俺達三人は男に着いて村の中心に行くと、俺達を囲むように男達が現れた。
その手には鍬やオノがある。
しかし、その男達も痩せ細っていて、やっとの事で鍬やオノを持っているような状態だ。
「……すまない、素直にお金を置いて行ってくれ。そうすれば危害は加えない」
「残念ながらそういう訳には行けません。それに俺たちは負けませんからっ!!」
「「「っ!?」」」
言葉を言い終わると同時に、俺は動き出す。
そして、一瞬の間に男と距離を詰め、鍬を取り上げる。
「危ない事はダメだよ!!」
俺と反対側ではミーアが同じようにオノを取り上げていた。
そして、男達が驚いている間に俺とミーアは次々と男達の手から鍬やオノを奪い取り、軽く鳩尾に拳を入れる。
男達はやはり見たままのように体力がなくて、やっとの事で立っているような状態みたいですぐに動けなくなっている。
「くっ、くそ!!」
俺とミーアが武器を奪う前に、男が動いて鍬を振るおうとする。
「させない」
「うわっ!?」
すると、リアンが手をかざして精霊魔法で突風……いや、小さな竜巻を発生させ、周囲の男達の手から武器を吹き飛ばす。
「さすがだな」
「当然」
「ミ、ミーアだって本気を出せばもっと動けるんですからね!」
「はいはい、分かった。次は期待してるさ。さて……」
そう言って俺は少し膨れているミーアをおいて、案内してきた男に向き直る。
「さて、どういう事かな?」
「……」
しかし、男は答えない。
「まぁ、何の理由もなく……まして、戦う素質を持ってない……いや、戦う体力もないのにこんな事したんだ、何か理由があるんだろ?」
「……あんたらには関係ない」
「そうか? こう見えて俺は回復魔法も使えるけど?」
「「「「「っ!?」」」」」
俺はあえて回復魔法が使えると伝える。
すると、案の定男達は反応を示した。
「どうやら正解みたいだな。何があったんだ?」
俺の言葉に男達は視線を交わし合う。
そして……
「頼む!! 村を……妻や子供達を助けてくれっ!!」




