ゲーム1
主人公のクズさがだんだんと出てきました。
この世界に来てからというもの、自分の欲望が抑えきれないな。
俺は昔から人の絶望する姿に美しさを感じている。
どんな芸術にも勝るよな、人の絶望する姿とは。
友達を借金まみれにして人生を潰したこともあった。
彼女の家のペットを事故と見せかけ、殺したこともあった。
その時のあいつらの顔ときたらそれはもう、傑作だったよ!
老若男女問わず絶望する姿は好きなのだが、容姿が綺麗な奴はもっと好きだ。
そして今中々悪くない男女4人の人間を絶望の淵に叩き込むゲームを思いついた。
突然声が聞こえて魔物がバラバラになったと思いきや、そこには悪夢のような光景が広がっていた。
闇のような真っ黒な黒髪、へその辺りに特大サイズの魔結晶、弱者を嘲笑っているかのような凶悪な笑み。
「魔、魔人!?」
俺は恐怖で足がすくんでいた。
それは仲間も同じだ、みんな動けない。
あぁ・・・これはダメだ、弱肉強食だなこの世界は。
俺が百人いてもこの怪物には、傷一つつけられない。
そのぐらいの肉体的差がある。
「俺たちは魔人にとって、ただの家畜でしかない。」
そう教官も言ってたっけ。
ちくしょう!諦めてたまるか!!
せめて仲間たちだけでも逃す。
魔人はさっきからぶつぶつ1人で呟いており、俺たちに興味を示していない。
「おい、みんな逃げろ!!」
俺は自分のアーツを握りしめ、さっきから自分の世界に入っている魔人に振り落とした。
ガギィッン!
鈍い音が鳴ったと同時に、俺の長年の相棒が粉々に砕け散った。
全く無意味だった。俺の渾身の一撃は。
「うん、いい表情だ」
そう聞こえた次の瞬間に、俺の首と胴体は離ればなれになっていた。
「リーダー!!クソ!クソ野郎!!」
そうそう!その顔だよ。憎悪と悲しみに塗れたその顔。
けどさ、ゲームの参加人数が減ったな。
俺の馬鹿!なんであそこで殺すのさ。
まぁいいか。
「さっきの奴が減って、3人か。よしお前ら!生きたいよなぁ?僕は優しいからなぁ。特別にチャンスをやろう。なぁに、簡単なことさ。お前らが1人ずつ僕と一対一で戦う。それで3人のうち1人でも僕に攻撃が当たれば全員生きて返してやるよ。なぁ?簡単だろ」
うんうん。生きる希望が見えてきたって顔だな。
馬鹿な奴らだ。
さぁ〜て始めようか。一方的な蹂躙を!
「これで2人目だなぁ!残ったのはお前だけ。
ほら、早く立てよ。泣くなよ!恋人とか心底どうでもいいからさぁ〜。今はバラバラの肉塊なんだし」
「クソクソクソクソクソクソクソクソクソ!!!
この悪魔め!どうしてこんなことができるんだ!?外道がぁ!」
「うるせぇ〜な。少し黙れゴミ」
俺は空気を糸の形にして喚いている男の指を切り刻んだ。
「ああっ・・・あーーーーーっ!!!俺の指がぁぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら征討者の男は森の深くへと逃げて行った。
「おい、待てよ。なんだよ!鬼ごっこか?いいぜ遊んでやるよ」
俺は蹂躙の幸せを噛み締めながら後を追って行った。
このチーム本当に報われないですね。