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恐怖!! 越前ガニ男の逆襲

 本日の題目は『生贄』『儀式』『眼鏡』です。この3つのお題でお話作りに挑戦してみましょう 。http://shindanmaker.com/143168   

 これは,診断メーカーでお題をもらい、「すぴばる」でつぶやき小説にした作品です。「すぴばる」の小説なので略して「すぴのべ」(笑)と称します。

 今回の出演は、悪の秘密結社じゃみじゃみ団F県支部のみなさんです。くわしくは、前作「怪奇 深海人みずうお男」をごらんください。

 地元ネタ満載!! F県って、どこでしょう!!

 グワシャーン、ガラガラガラガラ。


 大幹部越前ガニ男様の部屋から、物凄い音が聞こえてくる。越前ガニ男様が暴れておられるのだ。

 我が秘密結社じゃみじゃみ団F県支部は、どんな豪雪にも耐えられるよう、しっかりと作られている。もちろん、防音もばっちりだ。

 それが、指令室まで、聞こえてくるということは、よほど大暴れされておられるのであろう。

私、31号戦闘員は、隣にいる75号戦闘員たぶんと顔を見合わせる。たぶん、というのは、戦闘員は、皆同じ覆面、レオタード姿なので、区別がつきにくいためである。

 ゔぃーん

 越前ガニ男様の部屋の扉が開く。

 私と75号戦闘員(いや、17号かもしれない)は、立ち上がり、越前ガニ男様に最敬礼を行った。


「ほやの~ぉ~」


 越前ガニ男様は、右足を引きづりながら、お立ち台に上がられた。なぜだろう。引きずっておられる方の足はゴミ箱に刺さっている。なるほど、お部屋での大きな音は、ゴミ箱を蹴飛ばした時の音なのだ。間違いない。越前ガニ男様はお怒りだ。

 恐ろしいことが起こるにちがいない。私と 75号戦闘員(いや38号かも)は、顔を見合わせた。


「諸君!」


と、越前ガニ男様は、マントを翻すと、大声を出された。

 かっこいーっ! 一斉拍手ーっ!我々、下っ端のお仕事の半分は、上司へのお追蹤・・・、いや、上司の気分を盛り上げることである。惜しむらくは、聴衆が私と75号戦闘員(以下略)しかいないことだが、その分は気合いでカバーだ。


「まずは、これを、視るがいい」


 越前ガニ男様は、一枚のDVDをさし出された。すかさず、75号戦闘員が再生する。モニターには、一人のおばちゃんが、映しだされ、せい甲がに(雌のズワイガニ)を解体していく。にこやかに、それも、道具を全く使わずにだ。


「これは、このF県の中学生の食育の教材である」


と、苦々しげに吐き捨てる越前ガニ男様。

「この冬も、外人部隊(観光客)と、地元の少年兵により、たくさんの同志が犠牲となった」

「ほやの~ぉ~~」

 越前ガニ男様の涙につられ、我々の掛け声も、湿っぽくなった。


「中三生には、給食で、せい甲がにが、一杯、給付される。カニを食べられない生徒には、代わりに鯖缶が給付される」


 怒りに身を震わせ、越前ガニ男様は叫んだ。


「許すマジ、F県教育委員会!」

「ほやの~ぉ~」


 盛りあがりが最高潮に達し、「F県、倒せ!」のシュプレヒコールが巻き起こる。どさくさまぎれに、「給料アップ」と叫んだが、労使合わせて、三人だけなのだから、誰が叫んだかは、一目瞭然。


「生け贄の儀式を行う」


 越前がに男様が、厳かに下されたのは、あまりにも邪悪な命令であった。


「囚人どもの肉体を引きちぎり、我が神への供物として捧げるのだ」


 越前ガニ男様は、マントを翻し、生け贄の囚人を選ぶために、地下牢へと赴かれた。そこには、我がじゃみじゃみ団に逆らったもの、改造人間や戦闘員に不適合なものたちが、死を待っている。


「生贄は、いけにぇえ(いけない)」


 歩きにくそうに去られる後ろ姿に、私は、そう、つぶやいた。



 さて、数分後、生け贄の祭壇のある部屋には、選びに選ばれた囚人達が引きすえられていた。彼らは、口々に、恨みつらみ、嘆き悲しみ、そして、命乞いの言葉を叫んでいる。

 さて、予定時間プラスF県時間15分、プラス重役出勤分15分、丁度に越前ガニ男様が入室された。祭壇に火がともされ、壁の巨大な越前がにの神像が脚を動かす。(他県で見るかに料理屋の看板のようだ)

 越前ガニ男様は、祭詞をろうろうと読みあげる。いやが上にも、増していく緊張感。やがて、祭詞の奏上が終わり、ふかぶかと越前ガニ男様が平伏する。

 ややあって・・・。

 ガシャリ。

 越前ガニ男様が体を起こされる。


「生贄をここへ」


 戦闘員が、二人掛かりで、暴れる男を祭壇の前に引き据える。


「貴様に恨みはないが、貴様の肉体の一部をむしり取り、我が神への供物として捧げる」


 ゆっくりと越前ガニ男様の手が、男の顔に伸びる。


「やめろー、やめてくれー。ぐわっ」


 男は、肉体の一部を引きちぎられ、気を失った。あれでは、もう生きてはいられまい。


「神、ご照覧!」


 越前ガニ男様が男の肉体の一部をたかだかと掲げ、そして、一息に握り潰した。

 バラバラバラ、握った拳の中から、ガラスの破片が落ちる。

 コトリ、拳を開くと、チタン合金の強くて軽いフレームの残骸が落ちる。


「見たか! 日本が誇る鯖江市の眼鏡など、我が手にかかれば、この通りだ」


 越前ガニ男様は、つぎつぎに、囚人達から、眼鏡をむしり取り、握りつぶしていく。


「片付けておけ!」


 死屍累々。眼鏡を奪われ、生きる気力を失った囚人達を見下ろして、悦に入る越前ガニ男様。

 なんと恐ろしい鯖江の眼鏡の一体感。

 なまじ、性能のよい眼鏡だったことがあだとなり、文字通り、命取りとなったのだ。


「せい甲がにの代わりに、鯖缶だと? 馬鹿にするな! せめて、キャビアの缶詰めにしろ」


 鯖缶の恨みは、鯖江の眼鏡ではらす。

 越前ガニ男様の高笑いが、基地中に響き渡った。


 すぴばる消滅後は、ツィッターに出没しています。

「『F県民は、カニの食べ方を学校で習う』というのは信じがたい!」

 と言う、ツィートについつい反応してしまいました。


 久々の更新ですが、このお話、じつはまだ、続きます。


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