4話
本日2話目です。
5/7脱字訂正しました。
「かぁしゃま、おてちゅだいしましゅ。」
「あらミーナありがとう、優しいわね。」
「えへへ。」
「でも今日はミーナの3歳のお誕生日だから、兄様達と遊んでていいわよ。もうすぐ、ルーカス伯父様達もいらっしゃるからね。」
「おじしゃま達くるの?わーい!カールにいしゃまにご本よんでもらいましゅ。それまでにいしゃま達にあしょんでもらいましゅ。
シルバにいしゃま、ロイにいしゃまあしょんで下しゃい。」
私の名前はミーナ、本日3歳になりました。
私には家族に言っていない秘密があるんです。それは、前世の記憶が有る事です。と言っても、完全に思い出したのは今朝で、1歳を過ぎたあたりから徐々に記憶が蘇ってきていました。だから、今そんなに混乱はしてはいませんし、ちょっとおませなの3歳児だと思ってます。
この世界は前世の《地球》とは違い、剣と魔法のファンタジーな世界です。良くラノベやネット小説に出てくる魔物も魔王も魔族もエルフもドワーフも精霊も妖精もいません。ちょっと残念です。
今の専らの悩みは舌足らずの為上手く話せない事です。いつ頃になったら流暢に話せるようになるんでしょうか?心の中では流暢に話せるんですがね。
そんな事を考えていると、兄様達がいるであろう庭に着きました。
=ズドーーン=
普通の庭からは聞こえない音が聞こえてきました。どうやら父様もいるみたいです。父様は脳筋では無いのですが、兄様達に稽古を付ける時は割とはっちゃけます。 ロイ兄様の放った魔法が外れたのか、父様に弾き飛ばされたのかも知れませんが。
「とうしゃま、シルバにいしゃま、ロイにいしゃま。ミーナも混ぜて下しゃい。」
「「「ミーナ!」」」
「ミーナにはまだ早い、ケガしたらどうするんだ!?」
シルバ兄様は、母様似の愛らしい顔立ちの中に父様の凛々しさが混ざった将来楽しみな顔立ちです。髪は亜麻色で瞳は若竹色です。シルバ兄様の髪と瞳の色は母様譲りです。
父様の剣の才能を引き継いでいるようで、8歳なのにそこら辺の青年よりも強いらしいです。将来は父様と同じ騎士様になる予定だそうです。
「でもシルバにいしゃま、ミーナも3しゃいになりました。シルバにいしゃまも3しゃいから訓練始めたのでしょう?」
「ミーナは女の子なんだから、危ない事はしちゃダメだよ!」
ロイ兄様は父様譲りの凛々しい顔立ちでイケメンと言うよりは、将来は美丈夫と言う言葉がしっくりくるような造形です。髪と瞳は烏羽色です。シルバ兄様と違いロイ兄様の造形は父様100%の遺伝です。
ただ、運動神経は母様譲りらしく剣の才能は無いみたいです。その代わり、シルバ兄様には受け継がれなかった魔法の才能は父様から受け継いだので将来は魔法士になる為に勉強と魔法を頑張っているそうです。6歳で将来の進む道をしっかり決めているのは凄いです。
シルバ兄様もロイ兄様も地に足がしっかり付いてて将来安泰ですね。
「でも、自分の身をまもりゅにはある程度、訓練しないとだめでしょ?」
「シルバもロイも諦めろ。本当だったら5歳ぐらいから護身術程度は教える予定だったから、それが早まっただけだと思え。」
やりました。ぶっちゃけ、母様の手伝いの家事は前世で毎日やっていたので、今更家事を覚える必要性がありません。洗濯物が手洗いで大変だと思う以外は。
我が家は貴族の血筋ではありますが、父様は伯爵家の庶子で成人して騎士団に入団した時に伯爵家の継承権を破棄して、母方の性に名を改めてます。なので、我が家は騎士爵の準貴族になります。因み母様は没落した男爵家の令嬢です。
準貴族ですが、我が家の収入は父様のお給金のみになるので、使用人はおらず家事は母様のお仕事なので、私も微力ながらお手伝いしてます。…私の方が要領良さそうなのですが。
「ミーナは女の子だから、剣では無く棍を習得してもらう。魔法の適性があるかは、お祖父様が手が空いている時にしよう。」
父様は必要以上には話さない寡黙な人です。そして剣も魔法も凄いチートで美丈夫と言う物語の主人公になれる人です。
「ミーナも魔法ちゅかえるのでしゅか?」
「可能性はある。」
この世界は、魔法が使える人は見た目で分かります。それは、黒系統の髪と瞳をしていることです。
父様とロイ兄様は烏羽色の髪と瞳をしています。そして、父方の祖父も同じ烏羽色の髪と瞳で現在の魔法士団の団長をしています。
見た目でわかるのに先程父様が私が魔法を使える可能性が有ると言ったのは、私の瞳が父様と同じ烏羽色の瞳だからです。但し、髪の色が母様譲りの亜麻色になります。
この世界では過去に髪か瞳だけが黒系統で産まれた人は記録にないそうです。なので、私は国家機密扱いされており、国王陛下と宰相様と各大臣様、騎士団・魔法士団の団長・副団長と各隊の隊長と副隊長が私の存在を知っているのみです。知っている人を挙げると異常ですね。
そして、私の産まれたプランツェ王国は大国ではない為、余り私の存在を知られるのはまずい様です。その為、私の外出は父様がいる時か、父方のルーカス伯父様が手配した護衛がいる時しか出来ません。同年代の女の子のお友達が欲しいです。ナディエージ様、私チートでない普通の娘に産まれたかったです。
お読み頂きありがとうございます。