3話
後半にナディエージ神の独白?があります。
どうするって、いきなり言われても。どうしたらいいの?直ぐに答えを決めないといけないの?
「出来れば直ぐに決めて貰いたいかな。時間が経ち過ぎると、転生させてあげられなくなってしまうからね。」
あれっ、私声に出してないのに。そう言えばさっきも声に出して無かった事の返答があった様な?混乱してたから気付いてなかったな。
と言うことは、この神様は私の心の声が聞こえてるのっ!?
「あぁ、ごめんね?
僕は僕の世界では唯一神だから、唯一の信仰の対象なんだよ。それに信仰心の強い民だから、僕自身の力が強いんだよ。だから、色んな情報が入ってきてしまうんだ。でも、その力が有ったから、茜ちゃんの魂の存在も直ぐに見つけられて消滅する前に保護出来たんだけどね。」
と言うことは、ここにいるとプライバシーが侵害さらるって事だよね、アリエナイー。あっ今の考えもバレちゃうよ。
「っはい、転生させて下さい。」
「ふはっ、茜ちゃんは面白いね。そんな茜ちゃんには特別に選択肢をあげるよ。
一つ目は、記憶を全て消して通常の転生をする。
二つ目は、記憶を残したまま転生をする。
三つ目は、取り敢えず記憶は消して、自我が芽生え出す時に徐々に記憶を思い出す方法の転生する。
どれがいいかな?」
「えっと、赤ちゃんの時に自我があるのは嫌なので、三つ目の徐々に記憶を思い出す方法でお願いします。」
「わかったよ。チート能力とか絶世の美女とか人外の様な寿命とかは付けてあげられないからね。」
「もちろんそんなの要りません!!普通が1番いいです。目立って何かに利用されるとか御免ですよ。」
「即答で‘もちろん’と言えちゃうのか、凄いね茜ちゃんは。」
わぁー、イケメンが微笑むのも、さっきみたいに楽しそうに笑うのも破壊力あるなあ。でも何がそんなに凄いのかな?それに私は変な事言ってない筈なのに何でウケてるのかな?
「僕は長い間ここに1人でいるから、誰かと話すのは楽しいんだよ。それに、茜ちゃんの反応は素直だから面白いよ。
何より素直な反応が出来る者ーー心の裏表がない者ーーは中々居ないから凄い事だと思うよ。茜ちゃんは転生してもそのまま素直な子でいてね。」
「わ、わかりました。記憶が戻った時に素直な子である事を願います。」
「それじゃあ茜ちゃん、名残惜しいけど、今から転生されるからね。
新しい人生を楽しんでね。」
「…ナディエージ様、色々ありがとうございます。
前世では無神論者でしたけど、今度の人生では毎日ナディエージ様に感謝して過ごします。
もう一度人生を歩める様にして下さり本当に感謝してます。」
「最後に礼儀正しい言葉遣いだね。
僕も楽しいひと時をありがとう。母なる揺りかごの中で十月十日、安らかに過ごしてね。茜ちゃんの新たな人生に幸多からん事を。」
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茜ちゃん、幸せになってね。
茜ちゃんの魂の片割れの和田君は先に転生して茜ちゃんを待ってるよ。
あの召喚魔法が行使された時、和田君は茜ちゃんの手を一瞬だけど掴めたんだよ。でも体が召喚魔法の中に入ってなかったから、魔法に弾かれて亡くなってしまったんだ。
優奈ちゃんには会えなくても、和田君だった人ーー和田君の魂を持った人ーーには会えるからね。
でも和田君は茜ちゃんを助けられなかったのが辛くて、記憶を消して普通の転生をしたんだ。だから、《エスペラ》の民としてお互い出会って、心を通わせてあげてね。
ごめんね、茜ちゃん。
僕等があの女神の監視をしていたのに、あの女神の道楽に巻き込んでしまって。
僕の世界だったら巻き込まれる事はないから、安心してね。
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それから10ヶ月後、《エスペラ》の中にある緑豊かな国のプランツェ王国の騎士であるハンス・ヴァグナークとその妻マーガレット・ヴァグナークの間に愛らしい女の子が産まれた。
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